ps. I love you #347 『若年性認知症』
2020-07-01
#347 『若年性認知症』
不意に・・・
女が男に聞いた。
「ねぇ?」
「ん?」
「もしもアタシが・・・」
「・・・。 『もしもアタシが』?」
「うん。 もしもアタシが、若年性認知症になっちゃってさぁ・・・。 健ちゃんの事忘れちゃったら、健ちゃんどぅする~?」
「何だ、藪から棒に?」
「うん。 此間(こないだ)テレビ見てたらね。 ボケ老人の事やっててさ。 今それ、チョット、思い出しちゃって」
「そぅかぁ・・・。 オレの事忘れちゃったらって・・・。 そぅだなぁ・・・」
「・・・」
「ウ~ン」
「ねぇ、どぅする~? アタシの事、見捨てる~?」
「そんな事しねぇょ。 見捨てやしねぇょ」
「じゃ、どぅする~?」
「ウ~ン。 ま。 俺を忘れる前に、俺の事だヶは忘れられないように頑張る」
「それでも忘れたら?」
「そんときゃ、オマエが頑張れょ」
「え!? アタシが頑張る?」
「そぅ。 オマエが頑張って、もぅ一度、真剣に受ける」
「何を?」
「このオレの・・・。 ほ、ん、き、の、プ、ロ、ポ、オ、ズ」
『!?』
「な」
「ウン!!」
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