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タイタン2011 #77

#77




「馴染むまで・・・その腕が馴染むまで。 確か、さっき君はそう言ったな?」

不良がセレーネに聞いた。

ここはヘラの寝室。

「あぁ、言(ゆ)ぅた」

「どういう意味だ?」

「それは何(いず)れ分る」

「否!? 今知りたい」

不良がキッパリと言い切った。

「・・・」

セレーネが黙った。
そして、何も言わずジッと不良の眼(め)を見つめた。

「・・・」

不良も黙っていた。
ただ、眼でその答えを催促していた。
セレーネがそれを理解した。

「フゥ~」

セレーネが溜め息を付いた。
それから言った。

「仕様(しよう)のないヤツじゃ。 仕方ない。 良く聞くのじゃ、不良孔雀」

「・・・」

「ソナタの左腕は既にない。 ポセイドンのトライデントにもぎ取られてしもぅたのじゃ。 それは承知しておるか?」

「あぁ」

この時点で、ある程度不良の記憶は戻っていた。
時系列で物を考えられるようになったという意味でだ。

「ならば良い。 だからヘラがソナタに新たな左腕を与えたのじゃ」

「!?」

「ヘパイストスに頼んで作らせたのじゃ、ソナタの新たな左腕を。 ヘラがヘパイストスに頼み込んで、作らせたのじゃ、ソナタの左腕を、オリハルコンで、新たにな。 そしてそれをソナタの治療を行(おこの)ぅたアスクレピウスがその腕に縫い付けたのじゃ」

【ヘパイストスは “火と鍛冶の神” であり、オリンポス十二神の内の一神である。 又、アスクレピウスはオリンポス十二神の内の一神にして太陽神であるアポロンの子で “医療の神” である : 作者注】

「・・・」

「だから馴染むまでと申したのじゃ」

「そうかぁ」

納得したようにそう言って、不良がもう一度右手で左腕に触れてみた。
確かにそこに何かがあるのは分った。
だが、相変わらず感覚が麻痺していてそれが普通の腕なのか、あるいは単なる金属の棒なのか、そういった区別は全くつかなかった。
そんな不良をセレーネが、

「案ずるでない。 何(いず)れ元のようになる。 それまでの辛抱じゃ」

励ました。

「あぁ」

「必ずや、前のよりもズッと役に立つはずじゃ。 何せあのヘパイストスが丹精込めて作り上げた傑作じゃからな、ソナタのその左腕は。 三日三晩も掛けたのじゃ、ヘパイストスがそれを作り上げるのに。 トロイ戦争の時のアキレウスのあの鎧ですら、たったの一晩で打ち上げたあのヘパイストスが、三日三晩も掛けたのじゃ。 ソナタのその左腕を作り上げるのに」

そうセレーネが、


(クィッ!!)


顎で不良の左腕を指し示しながらそう言った。

「・・・」

不良は黙ってそれを聞いていた。
そして、

「ナゼ?」

ボソッと聞いた。

「ん!? 『ナゼ』?」

セレーネが聞き返した。

「ナゼそこまでしてくれる」

「あぁ、そういう事か・・・。 それはのぅ。 ソナタはヘラの・・・。 否、今は止めて置こう。 これ以上は聞くな。 何(いず)れ分る事じゃ。 一度に何もかも知ろうとするでない。 良いな、不良孔雀」

「あぁ。 分った」

「ならば、今少し休むが良い。 眠れ、眠るのじゃ、不良孔雀。 今は眠るのじゃ」

その言葉がまるで誘発剤にでもなったかのように、


(スゥ~)


不良の意識が遠くなった。
そしてそのまま不良は深い眠りに落ちた。
月神セレーネに見つめられながら。










一瞬にして・・・











つづく







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