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アリスのお家 『ミルキー・ウェイ』 (第五話) 『道 ― 3は想い出そしてサヨナラの数字―』 Part2
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アリスのお家

創作お話作ってます。。。

『ミルキー・ウェイ』 (第五話) 『道 ― 3は想い出そしてサヨナラの数字―』 Part2

(第五話) 『道 ― 3は想い出そしてサヨナラの数字―』 Part2




「何? 健ちゃん、話って?」

「ウン。 ・・・」

チョッと口ごもる俺。
そんな俺の様子を不可解そうに見つめる麻美。

しばし続くぎこちない間(ま)。

ここは東京は渋谷にあるとあるビルの中にある喫茶店。
駅からさほど遠くない上、窓越しに眺める景色が好きで待ち合わせするには最高の場所。
俺の、否、俺達の秘密の隠れ家・・・って、チョッと大袈裟か。
それでも、まぁ、秘密基地ってトコかな?

その秘密基地で今俺は恋人の朝霧麻美とデート中。
時間は夜の7時。
俺達お気に入りの窓際の4人掛けのテーブル。
俺がベンチシートで麻美が椅子。
向かい合って座っている。
いつも通りだ。
どっちが先に来ようと関係なし。
このテーブルに着ける時はいつも、決まって麻美が椅子で俺がベンチシート。
二人だけの暗黙のルールってヤツだ。

丁度そこへ頼んだコーヒーが運ばれて来た。
慣れた手つきで俺の前にカップと伝票を置いてウェイトレスが戻って行く。
俺よっか早く来ていた麻美の前にはティーカップ。
中には飲みかけのレモンティ。

「ごゆっくりどうぞ」

一言、そう言って立ち去るウェイトレスの後ろ姿を見送ってから、

「ウン。 実は、いい話つーかぁ、困った事になったつーかぁ。 ・・・」

と、またまた口ごもる俺。

「何? 意味分かんない? 分かるように言って」

「ウン。 あのさぁ、麻美。 俺達って結婚すんのかなぁ?」

「エッ!? 突然どしたの、結婚だなんて? 今日の健ちゃん、なんか変だょ」

「ウン。 俺、今日専務に呼ばれちゃって・・・」

「・・・」

「ブラジル行けって言われちゃって・・・」

「ブ、ブラジル!?」

「ウン」

「ど、どういう事?」

「栄転て事。 つまり出世。 それも大出世。 専務は三階級つったけど、五階級位特進の」

「どの位行ってるの?」

「たぶん最低でも3年、いや5年は・・・。 あるいはもっとかも」

「エェー!? そ、そんなに~!?」

「たぶん」

「・・・」

「行ったら行きっぱなしになると思う。 なんせ地球の反対側だし」

「じゃ、じゃぁ、あたし達。 ・・・」

「そ。 一緒に行くか、遠距離恋愛か、それとも・・・」

「・・・」

「・・・」

「い、いつ行くの?」

「明日、返事して。 今月中」

「エェー!? そ、そんな直ぐ~!? あ、あと2週間もないじゃない!?」

「ウン」

「・・・」

「・・・」

「あたし・・・。 あたし行けないょ・・・」

「ウン」

「・・・」

「・・・」

「断われないの?」

「断わったら、俺、会社止めなきゃなんない。 たぶん」

「・・・」

「・・・」

「あたしダメだょ、行けないょ。 ・・・。 パパ、パパの・・・」

「・・・」

「・・・」

「ウン。 分かってる」

「・・・」

「俺も、行けばダイダイ大出世。 行かなきゃ辞表」

「・・・」

「親は兄貴が見てくれてるから、その心配は要らないんだけど・・・。 会社は止めらんない」

「・・・」

「俺、行かなきゃなんない」

「・・・」

「・・・」

「わ、悪いけど、あたし帰るネ」


(ガタッ!!)


椅子を引く大きな音を立て、隣の椅子に置いてあったバッグを引っ手繰(たぐ)るように取り、それを開け、財布を取り出し中から千円札をつかみ出し、テーブルに置くと逃げるように麻美は店を出て行った。
俺の顔を見る事もなく。

突然の麻美のこの行動に一瞬俺は呆然となった。
ただ、麻美を見つめている事だけしか出来なかった。
だが直ぐに、

『ハッ!?』

我に返った。
そして、

「麻美!!」

俺は大声で麻美の名を呼び、横に置いてあったカバンを慌ててつかみ。
伝票をわしづかみにし、急いで会計を済ませ、麻美の後を追った。
店内にいた客の殆(ほと)んどが、何事だという表情を浮かべて俺の様子を好奇心丸出しで見ていた。
しかし、その時の俺にとってそんな事はどうでも良かった。
どうでも良くないのは大切な人。

そぅ。

その時の俺にとって両親の次に、否、それ以上に大切な人の後を追う事だった。


(タタタタタ・・・)


店の外に出た。
麻美が小走りに道を横断していた。
信号は既に赤。
信号無視して俺も渡ろうとした。
一歩足を踏み出した。

その時、


(ププゥーーー!!)


既に車が走り始めていた。
俺は慌てて渡るのを止めた。
一旦クラクションに反応してその音のする方に移した目線を、再び麻美の後ろ姿に向けた。
そして思った。

『もうダメだ!? 追いつけない!!』

渡りきった道の人込みの中に麻美の姿が消えて行く。
俺はその消えて行く後ろ姿を黙って見ていた。
駅まで追い掛ければ追い掛けられたのだが、それをしなかった。
麻美が駅とは反対方向に走って行ったからだ。
だがそれだけではなかった。
俺が最後まで麻美を追わなかった理由、それは・・・。
分かっていたからだ。
麻美が俺に涙を見せたくなかった気持ちが。
そして俺にレモンティ代をおごらせる事なく、ツリさえも無視して立ち去った訳が。

麻美には半身不随の父親がいる。
半年前、交通事故にあった。
同乗していた母親は即死。
運良く生き残った父親は、不遇な体に。
一人娘の麻美は働きながら献身的に父親の介護をしていた。
否、
しなければならなかった。

俺も麻美の両親は良く知っている。
否、俺だけじゃない。
俺の両親、兄貴さえもだ。
何せ付き合い長いから。
もうかれこれ10年位・・・かな?
俺達が付き合い始めて。
そうだ、10年だ。
早いもんだなぁ、月日の経つのって。

そうかぁ、アレからもうそんなに・・・。

俺達が出会ったのは、俺が高校2年、麻美が同じ高校1年の春。
通学途中のバスの中。

そぅ。

あれは俺が高2で、麻美が高1の春の事だった。

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

つづく





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