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アリスのお家 『ミルキー・ウェイ』 (第四話) 『6月24日のメリー・クリスマス』
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アリスのお家

創作お話作ってます。。。

『ミルキー・ウェイ』 (第四話) 『6月24日のメリー・クリスマス』

(第四話) 『6月24日のメリー・クリスマス』




ある真夏のとっても暑い日のチョッピリ暖かい・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お、は、な、し~~~


そのヒトはサンタクロースでした。
そしてそれは夢だったのです。

私は朝霧麻美(あさぎり・あさみ)。
ジャスト二十歳(はたち)の女子大生。
子供の時から読書が好きで、気が付いたら国文科に・・・。

私は今、大学の近くのカフェテラスでティータイム中です。
このお店はオープンカフェになっていて、私は歩道の中に出ているテーブルの内の一番端っこのテーブル・・いつものお気に入りのテーブル・・に座っています。
その私の直ぐ脇を色んな人達が通り過ぎて行きます。
サラリーマンにOL、学生に子供、年配の老夫婦に若いカップル、白人に黒人、西洋人に東洋人、etc.・・・。
それこそ様々な人種の色んな人々が私の直ぐ脇を、ある人はユックリと、ある人は早足で、ある人は小走りに・・・、通り過ぎて行きます。
みんな夫々(それぞれ)に人生という長~い旅の中のほんの一瞬の光を受け、影を落として行くのです。
ここに・・・私の座っている直ぐ側に。

って、私ったら今日はチョッピリ哲学者・・・かな?

「(クスッ)」

なんか変、自分でも少し可笑しいです。

今、私は左手にモカの入ったマグカップを持っていて丁度一口すすったところです。


(ゴクッ!!)


ミルクとシュガーでマイルドになっているとはいえチョッピリほろ苦いリキッドが、口の中から食道経由で胃までの間を3秒掛けて、ユックリとしかし短い旅をして行きます。

『フゥ~。 おいしい・・・』

コーヒー大好き人間の私にとって正に至福の一時です。
特に、最初の一口目は・・・。

その美味しいコーヒーの入ったマグカップを持つ反対の手には、一冊の文庫本が握られています。
ナゼかそれは詩集。
著者はポール・ヴェルレーヌ。
本当は源氏物語の一巻目だったはずなのに・・・。

そんな私ですが、今朝夢を見ました。
それも私の夢を。
そこには誰もいなかったのに。
でも私の夢でした。
見知らぬ場所にある、見覚えのない、奇麗で小さい部屋の中に姿の見えな私はいました。
姿の見えない子供の私が・・・。

「おゃ!? どぅしたんだい、お嬢ちゃん? 元気ないネェ」

不意に背後から声が。
太く大きな大人の男の人の、それでいて優しさに満ち溢れた声が。


(スゥ~)


反射的に振り返った私は、チョッとビックリしました。

ナゼかって?

「(フッ)」

簡単です。

私の目の前には真っ白なヒゲを豊かに生やした、お相撲さんのように大きくてデップリしたサンタさんが立っていたからです。
サンタさんは、所々白の入った真っ赤な服と帽子を被(かぶ)ってジッと私を見つめていました。
とても慈愛に満ちた目で。
そしてニッコリと微笑(ほほえ)んだのです。
その姿を見て姿の見えない私も思わずニッコリと微笑み返(がえ)しをしていました。

変ですネ。
姿が見えないのに。
でも、チャンと微笑み返しをしたんですょ。

そしてこう言いました。

「ウン。 独りぼっちで寂しいの」

するとサンタさんは、

「元気をお出し、お嬢ちゃん。 おじさんがいい物を上げよう」

そう言いながら白くて大きな袋の中から、花模様の奇麗な包み紙でキチンと包装された手の平サイズの小箱を取り出し、私の両手の上にソッと乗せてくれました。

「これはなぁに?」

「これはネ。 幸せの魔法の小箱だょ」

「幸せの魔法の小箱?」

「あぁ、そぅだょ」

「開けてもい~ぃ?」

「あぁ、いいょ。 開けてご覧」

私は急いで真っ赤なリボンを解き、包んである奇麗な包装紙を破かないように注意深く開き、その小箱の蓋を開けました。
ワクワクドキドキしていたのを覚えています。

蓋を開けた時、

「チチンプイプイ  アブダカダブラ  ホーヤレホー」

と一言、声が聞こえました。
否、聞こえたような気がしました。

でも・・・

箱の中には何も入ってはいませんでした。
その箱は空っぽだったのです。

「おじちゃん。 ナンにもないょ、空っぽだょ」

不意に私は悲しくなり、半べそをかいてそう言いました。
サンタさんはそんな私を慰めるように、

「いいゃ、チャンと入っていたょ。 何か声が聞こえなかったかい?」

優しくそう聞き返しました。

「ウン。 聞こえた」

「そぅ。 それがプレゼントだょ。 もぅお嬢ちゃんは独りぼっちじゃないょ。 いいかい、幸せを放しちゃ駄目だょ。


つー、まー、りー、・・・


『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』

だょ」

最後にそう言い残してサンタさんはソリに乗って空高く飛んで行き、やがて姿は空の彼方に。
私は八頭立(はちとうだ)てのトナカイに引かれるソリに乗ったサンタさんの後ろ姿が、空の果てへと消えて行くのをただ呆然として見上げているだけでした。

そこで目が覚めました。

6月なのにサンタさん。

「(フッ)」

お、 か、 し、 い、 ・・・。

そんな夢を今朝、私は見たのです。

目が覚めた後、チョッピリ私はセンチになっていました。
そんな事をボンヤリ思い出しながら、ヴェルレーヌの詩集を一旦テーブルの上に置き右手でパラパラとページを繰(く)っていました。

『「言葉なき恋唄」 巷(ちまた)に雨の降るごとくわが心にも涙ふる かくも心ににじみ入る このかなしみは何やらん? ・・・。 か。 フーン』

詩の一節を目で追いながら、二口目のコーヒーをすすろうと左手に持ったマグを口元に持ってきた正にその時です。

「あれ!? もしかして・・・?」

不意に誰かに声を掛けられました。
その声に引っ張られ、私は顔を上げました。

「ヤッパリそぅだ!! 君だ君だ!!」

「エッ!? 貴方は?」

「ホラッ!? 僕ですょ、僕。 今朝、新宿の○○書店でぶつかった」

「あぁ、あの時の・・・」

私はチョッとムッとしました。
その人は今朝、私が源氏物語の文庫本を買った書店で私を突き飛ばすようにぶつかり、たった一言、

「ご免!!」

そう言っただけで、ぶつかった弾みで床に落とした本の入ったその書店の紙袋を自分の分だけササッと拾い上げ、逃げるように立ち去って行った無礼なヤツだったからです。

「アッ!? その本その本!! それ!! 僕のですょネ。 僕の」

そう言いながらソヤツは持っていた○○書店の紙袋から源氏物語の文庫本を取り出して私に差し出しました。

「これ、君のでしょ」

「アッ!?」

確かに私が買った本です。
否、だと思います。
状況からして。

「いやぁ。 さっきはホンッッッッットご免。 超急いでたモンで。 君を突き飛ばしちゃったのに、散らばった君の手荷物拾うの手伝いもしないで。 それに間違えて君の袋拾っちゃって。 ホンッッッッットご免」

『私の源氏物語の文庫本を両手で挟んで拝まれた日ニャ、勘弁せぬ訳には行かぬ。 コイツいい奴かも・・・』

「いいですょ。 もぅ済んだ事だし。 じゃぁ、交換しましょ」

そう言って私はヴェルレーヌを彼に差し出しました。
彼も源氏物語を私に。

「あの~。 今一人? 待ち合わせ?」

「一人」

「なら、チョッとここいっ? 貴女とお話しがしたい。 これもきっと何かの縁じゃないかと・・・」

って、チョッと強引。

でも、


(コクッ)


成り行き上、私は無意識に頷いていました。
ま、思ったほど悪い人でもなさそうだったので。

「じゃ、失礼して」

私は彼が俯(うつむ)きがちにテーブルの反対側の椅子に座るのを見ていました。
そして彼が顔を上げました。

その時です。


(ドキッ!!)


突然の出来事にやはり少しばかり取り乱していたのでしょうか、平静さを取り戻し、間近で見る彼の顔はとても美形だったのです。
それまで全く気付きませんでした。
それにスリムで長身。
年齢は24、5位・・・かな?
紺のスーツが良く似合っていて、深くて濃い赤っぽいシルクのネクタイが純白のワイシャツにセンス良く引き立てられています。
それらがバランスよくマッチングしていて彼をモダンな都会っ子に仕立てていました。

一方、私は紺のデニムのジーンズにオレンジのティーシャツ。
それにかかとの高い赤いパンプス。
一見ドコにでもいる普通の女の子ルックです。

『ハ、ハンサム!? チョ、チョッと負けソ』

予想外の展開に付いて行けず私の胸はドキドキしていました。
でも次の瞬間、私は目が “点” になったのです。
彼のこの一言で。

「ワシっ。 あ!? いいい、否、ぼ、僕。 ・・・」

どぅやら私だけではなく、彼もまた緊張していたようです。
強引だった割には。

「プッ!?」

思わず私は吹き出してしまいました。

「(フッ)」

彼も照れ笑いを浮かべています。
この短いやり取りが、二人の間に有った何とも言えない緊張感を一気に吹き飛ばしてくれました。

「僕、加藤健一。 リーマン。 君は?」

「朝霧麻美。 学生、大学生」

「ウ~ム。 朝霧麻美さんかぁ」

「はい」

「実はこの本もう諦めてたんだ。 だから買い直すつもりだったんだ。 でも・・・」

彼はチョッと口ごもりました。

『ン!? でも?』

ここで一旦会話が途切れました。

「何になさいますか?」

ウエイトレスが注文を取りに来たからです。

「あぁ。 コーヒー。 モカ、なければ・・・。 ウ~ン。 彼女と同じの」

そう言って、私の左手にあるマグを右手人差し指で指さしました。

「あの~、これ。 モカなんだヶど」

マグを指差された弾みでそんな余計な言葉が口を突いて出てしまいました。

『ハッ!? し、しまった!? 揚げ足取っちまったゼ』

この時、既に私は彼に何となく好意を寄せ始めていたのです。

『マ、マズイ!?』

彼の心証を害してしまったのではないかと一瞬不安になりました。
下手をすると空気が・・・。

すると彼は、

「ビンゴ!!」

もう一度、今度は力強く弾みを付けて私のマグを指さしてそう言い、

「じゃ、ないかと思ったんだ」

と付け加えました。
そして改めてウエイトレスに向かって一言、

「モカ」

キッパリとそう言い直したのです。

「はい。 モカお一つですネ」

「ウン」

彼のこのチョッと気の利いたって言うかぁ、イナセなって言うかぁ、見事な切り返しのお陰で私は救われました。
空気が悪くならずに済んだのです。
それと同時にそんな彼に完全に心を開いてしまいました。
完全武装解除です。
つまり無防備になっちゃったって事ですネ。
だから、立ち去るウエイトレスの後ろ姿を見送ってから再び私の方を向いた彼に、素直にこう聞くことが出来ました。

「『でも』 って?」

「でも? ・・・。 あぁ!? でも奇遇だねって言うつもりだったんだ。 違う?」

「ウゥン、違わない」

既にわだかまりは全くなし。
会話はもう自然。
たった今出会ったばかりなのに。

『アッ!? 違うか? 二度目だった』

そして・・・

それから30分が過ぎました。
それもアッという間に。
それ程会話が弾んだのです。

でも、そろそろ私は午後の授業に。
彼はもう10分、そこで時間を潰してから得意先との約束の場所に。
お互い行かねばなりません。

その別れ際です。

「麻美さん。 今夜開いてる?」

この時既に、苗字ではなく名前にさん付けです。
早いでしょ。
もう、いい感じになっちゃてたんです。

『アッ!?』

でも断わっとくけど、私はそれ程軽くはありませんょ。
二人の波長がぴったんこカンカンだっただけですょ。
それにお互い付き合ってる人もいなかったし。

「ウン。 開いてるょ」

「良かった。 あのさぁ、食事に誘いたいんだけど・・・。 駄目?


つー、まー、りー、・・・


『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』

駄目?」

「ウゥン。 いいょ」

「ヨッシャー!! デート決定!!」

「(クスッ) ドコで?」

「ウ~ム。 それはまだ考えてはオラヌ。 取りあえず7時にここ。 じゃ、なくってぇ。 新宿の○○書店。 初めてワシラが出会ったトコ。 どう?」

「ウゥン。 初めて出会ったトコは嫌」

「エッ!?」

「(クスッ) 初めて “ぶっかった” トコ。 なら・・・おk」

「ナイス!! それ、採用!!」

「(フッ) なら、7時。 ○○書店。 アチキラがぶっかったトコネ」

「そ」

「最高のハンサムさんで待っててくれる?」

「あぁ。 トビっきりの笑顔で来てくれるんならネ」

「(クスッ) ・・・。 じゃ、ネ。 バーィ」

「ウン。 バーィ」

手を振りながら立ち去る私に向かって手を振る彼に見送られ、私は大学に戻りました。
気分は最高。
もぅ、ルンルンです。
そこでの30分で恋人宣言はまだでした。

ヶど、今夜それは間違いなく・・・。

そして思い出したのです。

何をかって?

そ、れ、は、・・・・・・・・・・今朝の夢。

サンタさんの夢。
幸せの魔法の小箱の夢。

そう、あれは・・あの言葉は・・小箱を開けた時に聞こえたあの言葉は、きっと 『恋の・ジ・ュ・モ・ン(呪文)』。

そうです!!

恋の呪文・・・それがサンタさんの贈り物だったのです。

今日は6月24日。
夏真っ盛り。
真冬の12月24日のクリスマス・イブまで、まだあと半年。
チッチャイ私達二人を乗せてるおっきな地球の休む事のない旅は、太陽の周りをあと半周分残しています。

でも・・・

でも私は今、胸を張ってこう言いたいし、言わせて欲しい。
だってルンルン気分でハッピーだもン。
だから言います。
感謝を込めて。
天に向かって両手を広げ、たったの一言、大きな声で・・・






「メリー・クリスマ~~~ス!!」






(第四話) 『6月24日のメリー・クリスマス』 お・す・ま・ひ





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