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アリスのニャンコその名は“ポチ” 第十三話

第十三話




“プリマドンナ”

「この言葉にどんな印象持ってるかな? チミ達は? ナンチャッテ」

って、今回はパパさんっポイ台詞(せりふ)でのオープニングだ。

猫の俺様にとっちゃプリマって言えば、やっぱハムだよな~、ハム。
うん。

そしてこの問い掛けに、パパさんなら多分こう言う。
多分な。

『(怪しい)お風呂屋さんの名前だな』

とか、

『そんな名前の(ケバイ)ホテルがあったような、なかったような・・・。 も、勿論入った事はないぞ。 も、勿論入った事は』

わざわざ否定すると反って怪しいんだぜ、パパさん。
反ってな。
何つってもパパさん直ぐ顔に出ちまうヤツだからな。
正直もん、つーか。
間抜け、つーか。
幼稚、つーか。
何でも当てはまっちゃう所がこぇーぜ。

ま!?

そんな事より日本でプリマドンナって言ゃぁ。
そうょなぁ、クラッシクバレーの主役を指すのが一般的か?
『ジゼル』 だの 『白鳥の湖』 だのの主役のバレリーナ。
何を隠そう、この我輩もそう思っていた。

エッヘン!!

しか~~~し、

世界的にはオペラの 『歌姫』 の事を言うらしい。
俺様、最近それを知った。
美琴がパパさん達に話しているのを聞いたからだ。
その時、美琴はこう言った。

「アタシ、オペラのプリマドンナになりたいんだ」

そぅ。

『オペラのプリマドンナになる』

それが美琴の夢だ。


そして・・・


「アーアァー、アァアァ。 アーアァー、アァアァ」

何だ何だ!?
何の騒ぎだ!?
何が起こった!?
何だ!?

これが、初めて美琴の歌声を聴いたときの我輩のリアクションだ。
凄い声量だった。
まるでターザンの雄叫(おたけ)びのようだった。
ハッキリ言って、死ぬかと思ったぞ、あん時は。
全身の毛が逆立ってたからな。
あ~ゆうのを言うんだょな、 『身の毛がよだつ』 って。
そんな感じだったぜ。

ヶど、今は慣れた。
良~く聞くと、とっても上手だ。
美しく良く通る声だ。
だが、油断は禁物だ。
慣れたとはいえ、意表をつかれるとやっぱりビビル。
なんせ凄まじいからなぁ、美琴の声量。
超本格派だ。

でも、

我輩としては超本格派の美琴の歌よりも、調子っぱずれのアリスの鼻歌の方が好きだ。
アリスは今、ギターの練習をしている。
エレキギターだ。
時々、ギターを弾きながら歌っているのを聞く事がある。
ハッキリ言って下手糞だ。

ところが、

あんまり上手くないギターの伴奏。
微妙に外れた歌声。
しかし素直な歌い方。
澄んだ可愛い声。

これ等がまとまると、ある種何とも言えない “味わい” が出て来るから不思議だ。
“ハーモニー” ってヤツか???
上手く言えないが、実に下手糞なんだが又聞きたい。
それも何度も。
そんな感じだ。
こういう言い方が許されるなら、これが一番ピッタリ来る。

『上手に下手糞』

だから半年先、一年後が楽しみだ。

ところで、

田原家のリビングにはピアノが置いてある。
アップライトピアノだ。
6年前の引越しの時、美琴のために新しく買い替えたという話だ。
美琴はグランドピアノが欲しかったらしい。

が、

ママさんの一言でアップライトに決まったという事だ。

「ダメょ、狭いんだから。

つー、まー、りー、・・・

『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』

ょ、狭いんだから。 アップライトで我慢しなさい」

ママさん言う時ゃ、言うからな。
きっと、 “ピシャリ!!” って感じで言ったんだろうな。
流石の美琴も何にも言えなっかったらしい所を見ると。

という訳でリビングにピアノがある。

ある日、我輩がそのピアノの横で気持ち良~く 『お・ひ・る・ね』 していた。
猫は眠るのがお仕事だからな。
と、その時だ。
例の 『ターザンの雄たけび』 が起こったのは。
そん時の我輩のリアクションがどうであったか。
そ、れ、は、

「オマエはもう、知っている」

だ。
ろ?
な?

日本には二期会やら藤原歌劇団とかいうオペラを上演する団体があるらしい。
そしてそこへは、
音大を出てから入るのか?
素人でも入れるのか?
そのどっちなのか、詳しい事は知らない。

でも、美琴は・・・。
そう、美琴は・・・。
日本ではなく本場イタリアでやりたいらしい。
だからイタリア留学を希望している。

ママさんは、

「美琴が本気なら・・・」

と前向きだ。

しかしパパさんは、

「ダメだ、ゼタ~ィダメだ!!

つー、まー、りー、・・・

『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』

だ!! 日本だ日本だ!! 日本で勉強しなさい。 大事な娘をイタリア男の毒牙にかけてなるものか」

と猛反対だ。

イタリア男 = ス・ケ・ベ (助平)

パパさんの認識だ。
自分がスケベだからだ。
きっと。

アリスは、

「フ~ン。 美琴、プリマになりたいんだ。 なれると良いね」

とチョッとピンボケだ。

美琴の声楽の先生は、

「美琴さんには才能があります。 本人の希望、真剣に考えてあげて良いんじゃないですか。 私の考えを申し上げるなら、日本の音大で基礎を作り、声を作ってからでも遅くはないとは思いますが。 でも本人が望むなら、一応私にもイタリアに友人がおりますからご相談に乗る事は可能ですが・・・」

と美琴の才能を高く買っている。

担任の先生は、

「お宅のお嬢さんは成績優秀ですので、芸大を目指す事をお勧めします。 いきなり海外留学それも音楽でというのは我校には前例がないので・・・」

とチョッと消極的だ。

「おぅおぅ、美琴。 オメェ、そんなに簡単にプリマになれると思ってんのか? ケッ、ボォケが。 オメェ、チョッとバッカ、世間様なめてねぇか~? うん? チョッとバッカ」

これが俺様の反応だ。

比べてもらえれば分かる。
我輩が一番正鵠(せいこく)を得ている。
猫の我輩がだ。

だろ?
違うか?
ん?
だろ?
な?

そうだ、我輩が一番だ!!
エッヘン!!

ケケケケケ。

『オペラのプリマドンナになる』

それが美琴の夢だ。




第十三話 完


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アリスのニャンコその名は“ポチ” 第十二話

第十二話




「ただ今ー!!」

「あら、美琴。 お帰り。 早かったのねぇ」

「うん、今日は半ドン。 あ~ぁ、お腹減った~。 ママ、ご飯」

「何にする」

「コイツと一緒じゃなかったら、何でもいい」

お!?

な、何だ、美琴。
俺様、指差して 『コイツと一緒じゃなかったら』 って。
その言い草。
第一、この俺様にはねぇのか 『ただ今ー!!』 の挨拶は。
ん?
ねぇのか?

「パンがいい? それともソーメン茹(ゆ)でようか? 暑いから」

「ウ~ン。 どーしようかな~。 ウ~ン。 ・・・。 ソーメン!!」

「じゃ、これから茹でるから、チョッと待っててね」

「うん。 あ、ママ。 アタシ、先、シャワー浴びてくる。 汗びっしょ」 

「そぅ。 じゃぁ、直ぐ出て来るのょ。 その間に茹でとくから」

「うん」

お、美琴がこっち向いてしゃがんだぞ。
俺様に顔近づけて来たぞ。
何する気だ?

「ニャ、ニャー!!」 (コ、コラ、止めろ美琴!!)

右手の人差し指で俺様の鼻先、突付くんじゃねぇー。

「おぅおぅ、ポチ」

何だょ。

「あたしゃ、これからシャワーだ」

それがどした?
勝手にシャワーすりゃ良(い)いじゃねーか。
何で俺様に断んだ?

「覗くんじゃねーぞ、このスケベ猫」

の、覗くわけねーだろ、オメェのシャワーなんか。
な~に、勘違いコイてんだ、オメェは。
な~に、勘違い。

あ!?

分かった。
さてはオメェ、この俺様に一緒に風呂入って貰いてぇんじゃねぇのか~。
ん? ちがーか?
ん? そーだろ?

嫌なこったい!!

だ~れがオメェなんかと・・・。

そんな事より。
おい、美琴。
オメェ、その “ウンコ座り” 止めた方が良いんじゃねぇのか。
その、ウ、ン、コ、す、わ、り。
パンツ丸見えだぞ、パ、ン、ツ。
つっても、見えてんのはブルマーだヶどもょ。
黒のブルマー。

“真っ黒ブルマー痴漢除けバージョン” ってか?

しっかし、オメぇなんだ~。
そんな短けぇスカートでそんな風に股開いてしゃがんじゃって。
人通りのある所でもやってんじゃねぇのか~?
そのウンコ座り。
ん?

気の毒だよなぁ、パパさんみたいな助平なオッサン。

ククククク。

目に浮かぶぜ。

ククククク。

『じょ、女子高生のパンツがー!? じょ、女子高生のパンツがー!?』

喜び勇んでオメーのスカート覗いたら。

ガ~ン!!

『ブ、ブルマーか・・・』

ガックリ。

肩落とすってか。

ケケケケケ。

おい、美琴。
ホンに罪作りなヤツだぜ、オメぇってヤツゎょー。

ケケケケケ。

「おい、ポチ。 付いて来んじゃねーぞ」

だ~れがオメェなんかに。
アリスなら喜んで付いて行っちまうヶどもょ。

ここで我輩の特技を紹介しておこう。

『我輩の特技』

そ、れ、は、

ジャーン!!

『猫掻(ねこか)き』

そぅ。
猫掻きである。
つまり我輩は泳げるという事だ。

思い返せば3年前のある日。
気が付いたら我輩はお風呂で泳いでいたのであった。
それも猫掻きで。
傍(かたわ)らではアリスが髪を洗っていた。
当時のアリスの髪は腰まで届く位長かった。
今はショートだ。
就職と同時に髪を切った。
失恋したからではない。

アリス曰く、

「長髪だとね、ポチ。 髪洗うのに時間掛かっちゃうからだょ。 だからね、ポチ。 髪切ったんだょ」

だ、そうだ。

だが、アリスには可哀そうだが我輩としては、

「失恋したから」

って言って欲しかった。
安心だからだ。

『あぁ、アリスも普通の女の子なんだな~』

そう思えるからだ。
前にも言ったが、アリスは失恋しようにも恋人が出来ない。
と、いうより作る気がない。
アリスが “キモイ女” なら話は別だ。
そぅ。
キモイ女ならな。
しかしアリスは実に可愛い。
恋人が出来ない訳がない位。
だが出来ない。

おい、アリス。 ダイジョブなんか~?
ホ~ント、俺様、心配だぞ~。
って、又ボヤいちまったぜ、つったく~。
いゃ~、その何だ~。

『アリスの事になると、つい向きになってしまう俺様がいる』

な~んてな。

ん?

待てょ、何でこんな話に・・・。

あ!?

そうかそうか。
猫掻き猫掻き。
そうだったそうだった。
猫掻き猫掻き。
猫掻きの話だったな。
うん。
猫掻き猫掻き。

つまり何だ~。
前振りが長かった割には簡単な話だ。
笑っちゃう位だ。

こうだ!!

アリスはお風呂に入る時、いつも子猫の我輩と一緒だった。
という訳だ。
今も時々一緒に入るが。
だから我輩は水が怖くない。
気が付いたら湯船でピチャピチャ泳いでいた。

ね、こ、か、き、で。

だから泳げる。
な。
簡単だったろ?
な?
笑っちゃたか?

これが我輩の特技 “猫掻き” である。
そしてこれにまつわる結構笑える話があるんだが、まぁ、それに関しては別の機会に、という事で・・・。

一方、美琴だが。

言い忘れていた。
美琴は今、夏休みの真っ最中だ。
だが、進学校に通う悲しさか?
サマースクールとかなんとかいうのがあるらしく、時々学校に行く。
大体、午前中で帰って来る。

が!?

遊ぶ時間はない。
塾とお稽古事で一日が終わる。
お稽古事はピアノ、声楽、ヴァイオリンそれにクラッシクバレーだ。
他にも何かやってるらしいが、我輩が知っているのはこれだけだ。

美琴は嫌なヤツだ。

でも、見ていて時々可哀そうになる。
全くと言っていい程、遊ぶ時間がない。
遊びたい盛りなのに。
だが、本人はそんな事は全く気にしてないみたいだ。
美琴は嫌なヤツだが、その努力には頭が下がる。
しかし、ナゼそんなに頑張るのか?
理由は簡単だ。
美琴には 『夢』 がある。
あり余る才能もある。
そして努力を惜しまない。
だからその夢が現実になる日が必ず来る。
これは我輩の直感だ。

チョッと褒め過ぎか?

ま、俺様にはどうでも良い事なんだけどもょ。
なんつっても嫌なヤツだからな、美琴は。

俺様がそんな事を考えているとは露知らず、美琴は今、鼻歌交じりでシャワーを浴びている。




第十二話 完


アリスのニャンコその名は“ポチ” 第十一話

第十一話




「ほ~ら、ポチー。 ご飯だょ~」

「ニャー」 (はーい、ママさん。 今行くぜー)

今日の昼飯は “何・か・な・?” っと。
俺様の大好きなミルクか? 

そ、れ、と、も、・・・。

ガーン!!

ね、猫マンマだ!?
ご、ご飯に味噌汁かけただけの!?

「さぁ、ポチ、お食べ」

食えるかょ、こんなもん。

「ほ~ら、煮干しも入ってるょ」

頭付いてんじゃねぇか~、頭~。
俺様、嫌いなんだょ、煮干しの頭~。

「どしたの、ポチ? お腹減ってんでしょ」

あぁ、減ってるょ。

「早くお食べ。 冷えたらまずいょ」

暖かくってもまずいょ。
あ~ぁ、また猫マンマかょ~。

ママさんはご飯に味噌汁かけるだヶで、アリスみたいにカチャカチャかき混ぜるような真似はしない。
だからカチャカチャかき混ぜるアリスの猫マンマとは一味違う。
元は同じなのに。
煮干しも原型留めているし。

しか~~~し、

マー、ズー、イー!!

どっちもマズイ~~~!!

やっぱ食わなきゃなんねぇのか~、この猫マンマ。
あ~ぁ、今日は厄日だぜ、ったく。
ママさ~ん、たまにはタイとかマグロで出汁(だし)取ってくれょー。
煮干しじゃなくってさぁ。
アンコウ何てどうだ。
良いんじゃねぇか~、リッチで。

「ポチ、どしたの? 早く食べなさい」

はいはい、食べますょ。
食べりゃいいんでしょ、食べりゃ。
はいはい。

う、マズ。

しかし、所詮猫の悲しさ・・・。
というより動物の悲しさか?
腹が減ってるとまずくっても結構食っちまう。
気が付いたら、茶碗をペロペロ舐めている始末だ。
つまり全部食っちまったという事だ。
勿論、煮干しの頭は残したが。

「まぁまぁ。 ポチったら、また頭残したのね」

しょうがねぇだろ~、嫌いなんだから。
ママさんなんか、頭どころか煮干しその物だって食わねぇじゃねぇか。
チャンと見てんだぞ、チャ~ンと。
味噌汁注ぐ時、シッカリ煮干し外してんの。

「全く、しょーがないコねぇ、このコは・・・」

とか何とかブツブツ言いながらも、ママさんは我輩の食器を洗ってくれる。
やっぱママさんは、良(い)いヤツだ。

ところで我輩の食器だが、我輩の食器には名前が付いている。
というより我輩が付けたのだが。
その名も、

『オレ様茶碗』

だ。
うん、中々良いネーミングだ。
我輩は気に入っている。
しかし、アリス達はオレ様茶碗とは言わない。

こうだ!!

『ポチ皿』

・・・!?

センスねぇょな~、センス。
ネーミングの、セ、ン、ス。
ポチ皿だってょ~、ポ、チ、ざ、ら。

ウウウウウ。

何か悲しくなって来るぞ。
第一、茶碗だろー、茶碗。
皿じゃなくって。

ちゃー、わー、ん~~~。

ま、言ってもしょうがない事なんだけどょ。
それにしても、な~。

『ポチ皿』

『ポチ皿』

『ポチ皿』

ウウウウウ。

悲しいぞ。

田原家は全てがこんな調子だ。
だから周りからはおよそ芸術とは無縁のファミリーに見られている。
無理もない事だ。

ところが、田原家には思いもよらない才能が・・・。




第十一話 完


アリスのニャンコその名は“ポチ” 第十話

第十話




あ~ぁ。

もうお昼だ。
とうとうメリーちゃん来なかったなぁ。

どしたんだ?
何かあったんか?

やっぱ、下痢か?
そうだ、下痢だ!!
うん、下痢だ下痢だ。
下痢に違いない。

なら心配ない、午後には来る。
あー、良かった。
って安心したら腹減って来たぞ。
一旦、家帰って飯にしよう。
うん、飯だ飯だ、飯にしよう。

オレ様山公園の花壇から田原家まで猫の足で3秒だ。
道路を一跨ぎすれば良いだけだからな。

お!?

庭に洗濯物が。

お!?

パパさんのシャツとパンツが。
チャンと真っ白になってるぞ。
パジャマもあるぞ。
こっちも綺麗だ。
ママさん洗濯したのか。
愛してるんだな、パパさんの事。

しっかし不思議だ!?

確かにパパさんは背が高い。
だから押し出しは立派だ。
そこそこ金だって稼いで来る。
だが、幼稚なヤツだ。
ウンチ漏らすヤツだ。
このママさんなら他に幾らでもいい話があったろうに。
何であんなパパさんと?

小指と小指が赤い糸?

そんな美しい話か~!?
あんなパパさんとこのママさんが。

ちがーう!! ちがーう!! ゼタ~ィ、ちがーう!!

こりゃ、前世の因縁だわな。
そう、因縁。

ぜ・ん・せ・の・イ・ン・ネ・ン・!!

『天は今世(こんせ)でママさんに、パパさんという “試練” を与えた』 ってか!?

そうだそうだ、そうに相違ない。
で、なきゃぁ、あのパパさんにこのママさんが・・・。

有得ん!! 有得ん!! ゼタ~ィ、有得ん!!

「あら、ポチ!! 帰ってたの?」

うん。

「お。 元気ないぞー」

そんな事ねーょ。

「さてはメリーちゃんに会えなかったなぁ」

う!?

な、何で分かっちまうんだ? 何で?

「どうだポチ~、図星だろー。 ン?」

うん、図星だ。

ママさんは勘がいい。
それも異常な程だ。
時々ドキッとさせられる。
否、しょっちゅうドキッとだ。

「全くオマエってヤツは、ホント分かり易い猫だ」

え!?

そ、そうかぁ?
お、俺様そんなに分かり易いかぁ?

「ほれ、ポチー。 ウリウリウリー、ウリウリウリー」

「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (う!? そ、その 「ウリウリウリー」 って言いながら俺様の額にママさんのおでこグリグリすんの止めてくれ)

「高い高い高~い。 高い高い高~い」

「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (そ、その 「高い高い高~い」 つぅーのも止めてくれ。 お、俺様の “アソコ” がママさんの目の前なっちまうだろー。 は、恥ずかしいじゃねぇーか)

ア、アリスと同じ事すんじゃねーょ、ママさ~ん。
い、いっくら若く見えるからって、ママさん歳なんだぜー、と、し。
こ、子供っぽい真似すんじゃねーょ、子供っぽい真似ー。
コイツらやっぱ親子だぜ。
全く同(おんな)じ事しやがる。

否!?

ママさんはアリス以上だ。
その後、我輩を軽く投げ上げたり、頬擦りしたり。
我輩の両手を取り、二本足で立たせ、フォークダンスの真似事させたりと軽く10分はいじくり回す。

“ママさん流猫の可愛がり方”

らしい。

が!?

非常に迷惑だ!!

冗談じゃねーぜ、ママさん。
俺様は玩具じゃねーんだからょ、俺様使って遊ぼうとすんじゃねーょ。
ママさん直ぐ俺様投げ上げんじゃねーか、あれって一瞬スゲー緊張すんだぜ。
ママさんは楽しいかも知んねえけどょ~。
命懸けなんだぜ、こっちゎー。
命懸け。
分かる? 

い・の・ち・が・け・!!

「おいで、ポチ。 ご飯だよ。 お腹空いてんだろ?」

「にゃー」(うん)

ママさんは異常に勘が良い。




第十話 完


アリスのニャンコその名は“ポチ” 第九話

第九話




あれ~?

おかしいなぁ、メリーちゃん今日は来てないぞ。
いつもなら、俺様より先にオレ様山公園来てんのに。

ナゼだ? 

ナンカあったんか?
下痢でもしたんか?

メリーちゃんは早起きだ。
というより、山田さん家が早い。
何をしている家か知らないが、7時前にはもう食事は終わっている。
だから大体いつも、メリーちゃんの方が先にオレ様山公園に来ている。

我が田原家も決して遅くはないんだが。

ま、たまにはこういう日があってもいっか。
陽気もいい事だし日向ぼっこでもして待つとするか。

ファ~、眠い。

前にも言ったがオレ様山公園は、わりとリッチな住宅街の一角にある。
だから人通りも多くはない。
特に朝なんかは、誰も来ないなんて事はザラだ。
昼頃からようやく人が集まりだす。
大体が近所の子連れのママさん達だ。
つーか、マダム達だ。
それも見事 “公園デビュー” を済ませたマダム達だ。
あの地獄の公園デビューを既に済ませた・・・な。

たまに新参者が来る。
一目でそれと分かる。
オドオドしているからだ。
勿論、周りからは離れている。
マダムの世界って大変なんだな~。
見ていてツクヅクそう思う。
オイラ猫でよかったぜ。
ホントそう思う。
素直な実感だ。

で!?

マダム達だが、やる事はいつも決まっている。
どうでもいい世間話か、お互いの持ち物の褒めっこだ。
それも白々しく。
本気じゃないのが良く分かる。
聞いてて歯が浮きそうだ。
でも、この公園での唯一の救いは、主(ぬし)が居ない事だ。
そう。
この公園には、主が居ない。
つまり “お局様” が居ないという事だ。
だからほかの公園と違って陰険な雰囲気は余り感じられない。
もっとも、我輩は “ほかの公園” とやらは知らないのだが。

で!?

マダム達がペチャクチャやってる間子供達はどうしているかといえば、
砂場やブランコなんかで遊んでいる。

オレ様山公園には他にジャングルジムや鉄棒、滑り台等がある。
一応フル装備だ。
規模のわりにはな。
トイレだってある。
もちろん人間様用だ。
猫様用ではない。
猫様用は花壇だ。
否、花壇だった昨日までは。

オレ様山公園の大きさはといえば、そうだなぁ、田原家十軒分位かな~。
適当に想像して欲しい。

・・・。

そうだ、その位だ!?

今アンタが想像した、その位の大きさだ。
ご協力ありがとう。

そこに猫とマダム達とその子供達がいるという訳だ。
犬を連れてくるヤツはいない。
子供がいるからだと思う。
暗黙の了解があるらしい。
これは嬉しい事だ。
何といっても犬は天敵だからな~、我輩の。

我輩が砂場で日向ぼっこをしていると、たまに子供が触りに来る。
我輩は誰かに体を触られるのが大っ嫌いだ。
だからすぐ逃げる。
パパさんやママさんに触られるのもいやな位だ。
でも、食い物の為にいつも我慢している。
というのも、パパさんもママさんも猫を抱くのが大好きだからだ。
二人とも我輩を見るとすぐいじくり回そうとする。
暑い日なんかたまったもんじゃない。

美琴に至っては鳥肌が立つ位嫌だ。
もっとも美琴は猫が嫌いだ。
だから我輩を触るような真似は絶対にしない。
これはいい事だ。
ホントは猫じゃなく、我輩が嫌いなだけかも知れないが。

だが、アリスは。
そう、アリスだけは例外だ。
触られても不快感はない。
むしろ嬉しい位だ。
不思議な話だ。
もっとも、 「ウリウリウリー」 と 「高い高い高~い」 は別だが。

アリスは優しい子だ。
そして猫が好きだ。
我輩を見ると直ぐに抱き上げ、撫でてくれる。
我輩も気持ちよくて、ついゴロゴロ喉を鳴らしてしまう。
完全武装解除。
無防備だ。

休みの日などは何時も、我輩を膝の上乗せてノミを捕ってくれる。
これは嬉しい。
ママさんも時々捕ってくれるんで感謝しているんだが、やっぱりアリスの方がいい。

捕ったノミを両手の親指の爪でプチプチ潰しながら、アリスはいつもペチャクチャ独り言を言う。
否、我輩に話し掛けて来る。
我輩は目を瞑ってゴロゴロ喉を鳴らしながら、それを聞いている。

こんな調子だ。

「あのね、ポチ。
 あたしさぁ、今度ギターのアンプ買うんだょ。
 アンプ無いと音小っちゃくってさ。
 良く聴こえないんだょね~。
 夜中なら良いんだけどさ。
 昼間はね、昼間は外うるさくって良く聴こえないから。
 だから買うんだょ。
 お友達に相談したら “ローランドのアンプ” が良いんだって。
 でもねポチ。
 インターネットで調べたら10月に新しいのが出るんだって、だからそれ迄買えないんだょ。
 10月っていったらさ、あと一ヶ月以上あるんだー。
 長いよね、一ヶ月って。
 それ迄我慢しなくちゃなんないのか~。
 あ~ぁ、早く10月なんないかなぁ。
 ねぇ、ポチ。
 あたし絶対、上手になってみせるからね。
 上手んなったらさ、ポチ。
 大塚愛みたいにギター弾きながら歌うんだょ。
 ポチにも聴かせて上げるからね」

「ゴロニャー」 (うん、楽しみにしてるぜアリス。頑張れよ)

アリスは今 “エレキギター” に凝っている。




第九話 完


アリスのニャンコその名は“ポチ” 第八話

第八話




「ここは公園である。 名前はまだない」

って、ダサいフレーズで出ちまったぜ。
明治時代なら良かったんだろうけどな、こんなんでも。
今じゃチョッとな、うん、今じゃチョッとだ。
ま、どうでもいい事なんだヶどもょ。

と!?

いう訳で、我輩が今いる場所は田原家の道を挟んで真ん前にある公園だ。
初めにも言ったようにこの公園に名前はない。
仮にあっても、

『東京都なんとか市なんとか町なんとか番地公園』

だ。
ちなみに我が田原家は東京都下にある。
だが、この公園 『・・・なんとか番地公園』 では面白くないので、我輩はこう呼んでいる。

『オレ様山公園』

そう。

『オレ様山公園』

名前の由来はパパさんだ。
パパさん、時々 『西郷山公園』 (東京都目黒区にある) に行くらしい。
仕事で近くに行く事があって、たまに立ち寄るそうだ。
パパさんお気に入りの公園だそうだ。
よくママさん達にその話をする。
我輩も横で聞いている。
だからチョッとアレンジさせて貰った。

『オレ様山公園』

うん、中々いい響きだ。

『オレ様山公園』

うん、中々。


全く関係ないが東京都新宿区には、

『おとめ山公園』

というマイナーな公園もある。

「メジャーだ!!」

地元の人達はそうほざく。
だが、マイナーだ。
誰も知らない。
そう、誰も。

さて、この公園から見た我が田原家だが、まぁまぁの造りだ。
決して豪邸ではない。
が、
この辺りはそこそこの人達が住んで居る。
だから割りとリッチな造りの家が多い。
その中にあって見劣りはしない。

白いお家だ。
築25年以上の中古らしいが、詳しい事は知らない。
6年前、パパさんが儲けた金で買ったらしい、バイアグラで儲けた金だ。
我輩が来る3年前の話だそうだ。

この家だが、アリスはとても気に入っている。
でも、ママさんと美琴は好きではないらしい。
というより、この場所が気に入らないようだ。
ホントは二人とも、それこそ西郷山公園の有る目黒区青葉台や港区白金台辺りに住みたいらしい。

白金台といゃー 『シロガネーゼ』 で有名だ。
シロガネーゼか。
うん、ママさんや美琴にはシロガネーゼという言葉がピッタリだ。
二人とも超美人だし、上品だし、スタイル良(い)いし。

だが、一番ピッタリ来るのはアリスだ。
確かに、ママさんや美琴と比べるとアリスは背が低い。
スタイルという点ではこの二人に見劣りする。
でも、アリスはこの二人をはるかに凌ぐ物を持っている。
それは “気品” だ。
天性の “気品” だ。
それに、なんといってもアリスは可愛い。
前にも言ったが、守ってやりたくなるような女の子だ。
しかし、恋人は出来ない。

不思議だ?

本人も欲しがっている様子はない。

ナゼだ?

だからチョッと心配だ。
いつまでも女の子じゃないんだぜアリス。
ダイジョブか?
俺様、チョッと不安だぜ。

オットー!?

もう一人大事な人を忘れていたぜ。
パパさんだ。
パパさんはこのお家が超お気に入りだ。

「駅から20分、スーパーまで10分。 不便だー、不便だー、不便だ~~~!!」

って、ママさんや美琴にブーブー言われてもお構いなし。

「田原さんちの白いお城。 ナンチャッテ、ナンチャッテ、ナンチャッテ」

ナンゾとうそぶいてる。

「なーなー、ポチ。 田原さんちの白いお城。 お茶目でいい名前だよな、お茶目で」

お、俺様に振るんじゃねーょ、俺様に。
第一どこがお茶目だ?
ん?
どこが?

いつもこれだ。
こんな調子だ。

家の名前より、そんな言い方するパパさんの方がよっぽどお茶目だ。
というより幼稚だ。
大丈夫なんかパパさん、いい歳こいてそんなに幼稚で。

「はいはい。 田原さんちの白いお城、田原さんちの白いお城」

ママさんの投げやりな反応だ。

「パパちゃんの白いお城って言ったら。 パパちゃんの・シ・ロ・イ・オ・シ・ロ」

美琴はもっとだ。

二人とももうチッと愛着持った方がいいんじゃねぇか。
住めば都って言うじゃねぇか、住めば都って。
確かに、不便は不便なんだけどもょ。
ま、猫の俺様には関係ねぇか。

だが、ママさんも美琴もパパさんがいない時はそうは言わない。

こうだ!!

『バイアグラ・ハウス』

バイアグラ・ハウスか~。
そんな名前で呼んじゃ、家が可哀そうじゃねぇか~、この家が~。

そして、この家に関していうならパパさんの味方はアリスだヶだ。
もっともそのアリスも、田原さんちの白いお城とは言わない。

夢見る夢子の夢見るアリスは、夢見る夢子の夢見るアリスらしい名前を付けている。

そう、その名も・・・

『アリスのお家』




第八話 完


アリスのニャンコその名は“ポチ” 第七話

第七話




良し!!

ミルクも飲んだ、ウンチも済んだ。
さぁ、公園でも行ってくっとすっか。
メリーちゃん待っててね~、今行くからね~。

「あら、ポチ」

「にゃー」 (何だいママさん)

「又、公園行くのね? メリーちゃんに会いに」

う!?

マ、ママさん知ってたんか。

「駄目よ、エッチな事しちゃ」

エ、エッチな事って。
そ、そんなにハッキリ言うんじゃねーよママさん。
は、恥ずかしいじゃねーか。

「メリーちゃんは山田さんご自慢の血統書付き猫なんだからね」

知ってるよ、そん位。

「オマエは捨てられてた雑種。 それも生ゴミと一緒に」

え!?

な、何!?
生ゴミと一緒に!?

俺様、生ゴミと一緒に捨てられてたんか?
つー事はゴミ捨て場にか?
なんてこったい!?

「だからメリーちゃんに変な事しちゃダメなのょ。


つー、まー、りー、・・・


『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』

なのょ。 分かったわね?」

お!?

それってママさん聞き捨てなんねーな。
そういうのキャベツ じゃなくって 差別って言うんじゃねーのか、サー、ベー、ツー。
人権団体に訴えられんぞ、ママさん。
って、忘れてた。 
俺様、猫だった。
猫にゃ人権はねーよな、人権は。

チッキショー!!

悔しいぜ。

「それと花壇にウンチしちゃ駄目ょ」

え!?

そ、それも知ってたんか。
でもょーママさん、いいんじゃねーかウンチは。
肥やしじゃん。
な。
肥やし。

「まぁ、オマエがしたんじゃないとは思うヶど」

俺様だょ。

チョッと我慢出来なくってさぁ、やっちまったんょ~。
でもょーママさん。
肥やしじゃん。
な。
肥やし。

かー、だー、んー、のー、こー、やー、し~~~。

だから良(い)いんじゃねぇーかぁ、チョッとぐれぇ。

「此間(こないだ)、子供が踏んだって問題になってたからねぇ」

え!?

そ、そうかぁ、そういう事があったんかぁ。
いくなかったぜー。

「だから駄目よ、ウンチしちゃ」

うん。
分かったよママさん。
もうしねぇょ。
っていうかぁ、しねぇようにするぜ。

「な~んて、猫のオマエに言ってもムダょね。


つー、まー、りー、・・・


『無駄ーーー!! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』

ょね」

ムダじゃねーょ。

「分かる訳ないもんね」

それが分かるんだょな~、ママさん。
ナゼか。

ナゼだ?

「さぁ、行っといで」

『さぁ、行っといで』 って、ママさん。
チョッと心配んなっちまったじゃねーか。
も一遍ウンチしてからにしよっと。

我輩のトイレ位置は・・・。

ここで簡単に田原家の間取りを紹介しておこう。

二階は前にも言ったが六畳、六畳、四畳半だ。
一階は十畳位の立派なキッチン付きのリビングダイニング。
L字型だ。
それに玄関、階段、バス、トイレ、洗面所がある。
玄関は吹き抜けになっている。
ここを上手にリフォームすれば二階にもトイレが出来そうだ。
それと小さい床の間付きの八畳の和室。
これは普段使ってはいない。
客間にしているからだ。
その名も 『客の間』。
そのまんまだ。
名付けの親はパパさんだ。
お茶目なパパさんが、お茶目に付けたと威張っていたが、どこがお茶目か分からない。
どこだ?
ん?
どこがお茶目だ?
教えてくれ。
ん?
どこだ?
そしてリビングの端っこに我輩のトイレがある。

さ~。

ウンチだウンチだ、ウンチしよっと。




第七話 完


アリスのニャンコその名は“ポチ” 第六話

第六話




「じゃ、ママ行って来るよ」

「はい。 行ってらっしゃい」

「おい、ポチ!! しっかり留守番するんだぞ、良いな!? ママに悪い虫が付かないようにだぞ、分かったな!? 何つってもママ美人だからな~。 パパちゃん心配~ィ。 ナンチャッテ、ナンチャッテ、ナンチャッテ。 ワハハハハハ」

「もう、パパったら。 遅刻するでしょ。 早く行きなさい」

「は~い、ママー。 じゃぁなポチ、しっかり頼むぞ、しっかりな。 うん。 ワハハハハハ」

「にゃー」 (分かったよ、パパさん。 心配いらね~ょ)

しっかし、パパさんいい歳こいてデレデレと。
見~ちゃいらんねーぜ、デレデレと。

でもょ~。
気持ち分かんねーでもねえょな~。
何つっても、ママさん美人だからな~。
スタイルいいし、ボインボインだし、肌なんかツベツベだし。
とっても45にゃ見えねーぜ。
25歳で通用すんじゃねーか。
ま、俺様にゃどうでも良い事なんだけどょ。

それよっか、まぁ、慌しいひと時だったぜ。
もう、ヘットヘト。
一日終わった気分だ。

今何時だ?
7時半かぁ。
アリスの 『ウリウリウリー』 が確か6時頃だったょな、確か。
つー事は1時間半。 たったの1時間半!?

おいおい、こんな凄いドラマがたったの1時間半で起こる家なんて他に有るのかょ。
普通ねーんじゃねーか、普通。
慌しくったってもうチットのどかだろぅ。

でもな~。
パパさんの “お漏らし” は別にしても、ここじゃ毎日(まいんち)こうだもんなぁ、ほとんど毎日(まいんち)。
つまり田原家お得意、朝の恒例行事。
まぁ、一言で言うなら何だぁ。

『田原家今日も正常運転』

ってか?

さ!?

ミルクも飲んだことだし俺様も出掛けるとするか。
何処へかって?
決まってるじゃん。
隣の公園ょ、と、な、り、の、こ、う、え、ん。

当田原家には、道を挟んで反対側にチョッとした公園がある。
そこが我輩の遊び場だ。
そこの花壇が我輩の臨時のトイレだ。
ウンチだって出来る。
勿論、ちゃんとしたトイレは田原家の中にある。
俺様専用のトイレがな。
だから公園の花壇は臨時のトイレだ。
そしてその公園はJR中央線の某駅から歩いて20分位の所に有る。
周りは閑静な住宅街だ。
しかし、これ以上は言えない。
今は個人情報保護のうるさい時代だからな。

三軒先の山田さん家の三毛猫メリーちゃん今日も来てっかなぁ?




第六話 完


アリスのニャンコその名は“ポチ” 第五話

第五話




「あ~、スキッリした」

お!?

パパさん風呂から出て来たぞ。

「あら、パパどしたの? 裸で腰にバスタオルなんか巻いて。 それに頭濡れてるじゃない」

「あぁ、チョッとな。 うん、チョッとシャワーをな。 うん。 トイレで気張ったら汗かいちゃってな。 だからチョッとシャワーをな。 うん。 チョッとシャワーを」

ククククク。

苦しい嘘を。
でも良かったなパパさん、ママさん気が付かなかったみたいで。
トイレからでた時、パパさんのパジャマあんなに臭かったのにな。

「いゃー、トイレと比べてここは冷房が効いてて、快適快適。 やっぱリビングはこうでなくっちゃな。 うん。 しっかし今年の夏は暑い。 もう8月も半ば近いのにこの暑さだ」

それは言える。
確かに今年の夏は暑い。
今年とは平成18年だ。

「パパは人一倍暑がりだから、なお更ね」

「あぁ」

「ところでパパ。 汚れた下着は?」

「うん、洗濯機に入れた」

「パジャマは?」

お!?

雲行きが。
パパさん大丈夫か、雲行きが怪しくなって来たぞ。

「え!? パジャマ」

「そ、パジャマ」

「・・・。 パ、パジャマも洗濯機。 チョ、チョッと汚れてたからな~。 うん」

「汚れてた? 変ね。 昨夜取り替えたばっかりなのにねぇ」

「え!? そ、そうなんだけどさ~。 ・・・。 あ、ほら、昨夜暑かったじゃないか、な。 だから寝汗かいちまってさ~。 汗びっしょ。 な、だから、うん。 そう、そういう事」

「フ~ン。 寝汗ね~。 昨夜、冷房効かせ過ぎて毛布被って寝てた人がいたような、いないような」

あ~ぁ、駄目だこりゃ。
ママさんの目見てみろ、笑ってるぞ。
どうするパパさん、完全にばれてるぞ。
寝汗かいたなんて言わねーで、トイレで汗びっしょで押し通しゃ良かったものを。
こういうのを自爆って言うんか?
それにしてもママさん、性格悪くねーか。 チクチクと。

「いや、その、だからな。 その~。 ・・・。 あ、そうそう、寝汗もそうなんだがな、夜トイレに起きた時にさ~、喉渇いちゃってさ~。 ジュース飲んだんだょ、ジュース。 そん時ジュースこぼしちゃってさ~。 胸にばっちりジュースのしみが。 うん」

「『胸にばっちりジュースのしみが』。 フ~ン。 そんなのあったかしらねぇ。 気が付かなかったな~」

「あ、あったんだょ。 ママが気付かなかっただヶで。 うん、そう、あったんだょ」

「フ~ン。 お尻にはあったような、なかったような」

「う!? ・・・」

プププププ。

も、もう駄目だ。
き、聞いちゃらんねー。

ククククク。

諦めろパパさん。
パパさんの勝てるような相手じゃない。
分かってた事だヶど。
考えてみりゃ~。 猫の俺様にも分かっちまう事が、しっかり者のママさんに分かんないはずねぇんだょな~。
甘かったぜ、俺様も。

「い、否! そんな事はない!! む、胸だ!? た、確かに胸にあったんだ!? 確かに胸にばっちりジュースの印!? なんちゃってなんちゃって」

お!?

パパさん開き直ってやんの。
子供だね~、全く。

「まさかその、 『確かに胸にばっちりジュースの印!? なんちゃってなんちゃって』 とやらを、そのまんま洗濯機に入れたんじゃないでしょうね」

「そ、そのまんま入れる訳ないだろー。 あんな汚い物」

「あんな汚い物?」

あ~ぁ、とうとう語るに落ちたか。

「い、いゃ。 ジュ、ジュースの印だジュースの印。 綺麗ーに綺麗ーに洗ってから入れたぞ。 跡形もない位、綺麗ーに洗ってからな」

「そう、だったら良いのょ。 それならね。 それよりパパ、早くしないと遅刻ょ」

「おぅおぅ。 そうだったそうだった。 遅刻だ遅刻だ。 急がねば」

いょっ、ママさん大人だねぇ。
この勝負ママさんの勝ちー。
って分かってた事なんだヶど。

それからが大変だ。
第二波が来て、パパさん慌ててトイレに飛び込む。
今度は大丈夫だったが、何時第三波がくるか分からない。
チョッと心配だ。
しかし、本人は全く気にしてない様子だ。
のんびりした性格とは裏腹に着替えは素早い。
この辺はアリスと全く一緒だ。
やっぱアリスはパパさんの子だったんだな~。 そう思う。

しっかし、スーツ姿のパパさんか~。
背が高いから押し出しが立派だ。
加えてハンサムだ。
映画スターみたいだ。
だが、さっきお漏らししたヤツだ。
パパさん、会社で粗相(そそう)すんじゃねーぞ~。

こんなパパさんだが、ママさんにとっては頼もしい人なのかも知れない。

「じゃ、ママ行って来るょ。 はい。 行ってらっしゃいのチューは? チュー!! チューしてくんなきゃ、ヤダー。 僕ちゃんチューして欲しいょー。 チュー」

「しょうがない人ねぇ。 はい、チュッ」

否、

ママさんにとってパパさんは・・・第3番目の子であった。




第五話 完


アリスのニャンコその名は“ポチ” 第四話

第四話




「さ、トイレでも行くとするか」

「待ってパパ、アタシが先」

「『アタシが先』 って、なぁー美琴」

「駄目ょ、パパ。 アタシが先」

「パパ、行きたいんだょ」

「大きいほうでしょ?」

「あぁ」

「だったら絶対、アタシが先」

「何で?」

「だって、パパが入った後、10分以上待たないと入れないから。 臭くて」

「『臭くて』 って、換気扇まわしゃいいじゃないか。 そんなの」

「回して10分なの」

(バタン!!)

「ちぇっ、先に入られたか~。 なんてヤツだ親不孝もんめ。 誰に似たんだー? 全く」

「アナタ」

お!?

出ました。
田原家お家芸。

「誰に似たんだ?」

「アナタ」

本日も絶好調。
いゃ~、朝から期待を裏切りませんな~。
楽しい家族だ。

でもょ、パパさん。
パパさんのトイレ、ホント臭いんだぜ。
幸か不幸かこの俺様もパパさんがトイレから出てきた瞬間に何度か遭遇したが、その臭さといったらアンタ、そりゃぁ、もう・・・。

お!?

パパさん顔色悪(わり)ぃぞ!!
どしたんだ?
何か変だぞ。

(ドンドンドンドンドン・・・)

トイレのドア叩き出したぞ。

「頼む、美琴。 は、早く出てくれ!! パパもお前が着替えてる時ミルク飲んでだなー、チョッと腹に来てんだ。 ポチにねだられんの嫌で一気飲みしてだなー」

な、何ぃー!?

そ、そういうヤツだったんか、パパさんは・・・。

苦しめ~、もっと苦しめ~。
祟りジャー、ミルクの祟りジャー。

「た、頼む、美琴。 は、早くしてくれー!!」

ヤバッ!!

パパさん、顔、青ざめたぞ。
も、もういいだろ美琴、早く出てやれ。
パパさんやばいぞ、かなりやばいぞ。

「た、頼む、美琴~。 た、頼む~。 マ、ママからも言ってくれ」

「美琴~。 早く出てあげなさいー、パパ我慢出来ないって~」

俺からも言ってやるぞ。
美琴~、早く出てやれ。
パパさん死ぬぞ。
死んだらオメェが犯人だ。

(ガチャ!!)

「あーあーあー。 トイレもゆっくり入れねーのか~。 ったく。 ホレ、パパ出たよ」

「どけ、美琴ー!!」

(バタン!!)

「まぁまぁパパったら。 美琴、突き飛ばして」

「ママー。 この家新築するなり、リフォームで2階にトイレ作るかして。 でないと毎日これだょ」

「そうねぇ」

俺様としては新築がいいと思うぞ、俺様の遊び場作ってくれんなら。

ところでママさん気付いてたかぁ?
パパさんの顔。
美琴がドア開ける直前。
パパさん “ヘブンなお顔” になってたぞ。
小声で 『ぁ、ぁ~』 ともって言ってたぞ。
ガンガレ、パパさん!!

「ママ、ちゃんと考えといてね。 行ってきまーす」

「はい、行ってらっしゃい」

おい、美琴!!

俺様にゃぁ 『行ってきまーす』 はねえのか、俺様にゃぁ?
あ~ぁ、行っちまいやがった。
俺様には挨拶なしか、なんてヤツだ。

美琴は知らない。
この朝、究極奥義 『超・親不肛門(おやふこうもん)』 を放った事を。

それにママさんは知っていたのだろうか?
パパさんがトイレから出た後、そっとシャワーを浴びに行った事を。




第四話 完


プロフィール

コマル

Author:コマル
ジョーク大好き お話作んの大好き な!? 銀河系宇宙の外れ、太陽系第三番惑星『地球』 の!? 住人 death 。

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