アリスのニャンコその名は“ポチ” 第十三話
第十三話
“プリマドンナ”
「この言葉にどんな印象持ってるかな? チミ達は? ナンチャッテ」
って、今回はパパさんっポイ台詞(せりふ)でのオープニングだ。
猫の俺様にとっちゃプリマって言えば、やっぱハムだよな~、ハム。
うん。
そしてこの問い掛けに、パパさんなら多分こう言う。
多分な。
『(怪しい)お風呂屋さんの名前だな』
とか、
『そんな名前の(ケバイ)ホテルがあったような、なかったような・・・。 も、勿論入った事はないぞ。 も、勿論入った事は』
わざわざ否定すると反って怪しいんだぜ、パパさん。
反ってな。
何つってもパパさん直ぐ顔に出ちまうヤツだからな。
正直もん、つーか。
間抜け、つーか。
幼稚、つーか。
何でも当てはまっちゃう所がこぇーぜ。
ま!?
そんな事より日本でプリマドンナって言ゃぁ。
そうょなぁ、クラッシクバレーの主役を指すのが一般的か?
『ジゼル』 だの 『白鳥の湖』 だのの主役のバレリーナ。
何を隠そう、この我輩もそう思っていた。
エッヘン!!
しか~~~し、
世界的にはオペラの 『歌姫』 の事を言うらしい。
俺様、最近それを知った。
美琴がパパさん達に話しているのを聞いたからだ。
その時、美琴はこう言った。
「アタシ、オペラのプリマドンナになりたいんだ」
そぅ。
『オペラのプリマドンナになる』
それが美琴の夢だ。
そして・・・
「アーアァー、アァアァ。 アーアァー、アァアァ」
何だ何だ!?
何の騒ぎだ!?
何が起こった!?
何だ!?
これが、初めて美琴の歌声を聴いたときの我輩のリアクションだ。
凄い声量だった。
まるでターザンの雄叫(おたけ)びのようだった。
ハッキリ言って、死ぬかと思ったぞ、あん時は。
全身の毛が逆立ってたからな。
あ~ゆうのを言うんだょな、 『身の毛がよだつ』 って。
そんな感じだったぜ。
ヶど、今は慣れた。
良~く聞くと、とっても上手だ。
美しく良く通る声だ。
だが、油断は禁物だ。
慣れたとはいえ、意表をつかれるとやっぱりビビル。
なんせ凄まじいからなぁ、美琴の声量。
超本格派だ。
でも、
我輩としては超本格派の美琴の歌よりも、調子っぱずれのアリスの鼻歌の方が好きだ。
アリスは今、ギターの練習をしている。
エレキギターだ。
時々、ギターを弾きながら歌っているのを聞く事がある。
ハッキリ言って下手糞だ。
ところが、
あんまり上手くないギターの伴奏。
微妙に外れた歌声。
しかし素直な歌い方。
澄んだ可愛い声。
これ等がまとまると、ある種何とも言えない “味わい” が出て来るから不思議だ。
“ハーモニー” ってヤツか???
上手く言えないが、実に下手糞なんだが又聞きたい。
それも何度も。
そんな感じだ。
こういう言い方が許されるなら、これが一番ピッタリ来る。
『上手に下手糞』
だから半年先、一年後が楽しみだ。
ところで、
田原家のリビングにはピアノが置いてある。
アップライトピアノだ。
6年前の引越しの時、美琴のために新しく買い替えたという話だ。
美琴はグランドピアノが欲しかったらしい。
が、
ママさんの一言でアップライトに決まったという事だ。
「ダメょ、狭いんだから。
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
ょ、狭いんだから。 アップライトで我慢しなさい」
ママさん言う時ゃ、言うからな。
きっと、 “ピシャリ!!” って感じで言ったんだろうな。
流石の美琴も何にも言えなっかったらしい所を見ると。
という訳でリビングにピアノがある。
ある日、我輩がそのピアノの横で気持ち良~く 『お・ひ・る・ね』 していた。
猫は眠るのがお仕事だからな。
と、その時だ。
例の 『ターザンの雄たけび』 が起こったのは。
そん時の我輩のリアクションがどうであったか。
そ、れ、は、
「オマエはもう、知っている」
だ。
ろ?
な?
日本には二期会やら藤原歌劇団とかいうオペラを上演する団体があるらしい。
そしてそこへは、
音大を出てから入るのか?
素人でも入れるのか?
そのどっちなのか、詳しい事は知らない。
でも、美琴は・・・。
そう、美琴は・・・。
日本ではなく本場イタリアでやりたいらしい。
だからイタリア留学を希望している。
ママさんは、
「美琴が本気なら・・・」
と前向きだ。
しかしパパさんは、
「ダメだ、ゼタ~ィダメだ!!
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
だ!! 日本だ日本だ!! 日本で勉強しなさい。 大事な娘をイタリア男の毒牙にかけてなるものか」
と猛反対だ。
イタリア男 = ス・ケ・ベ (助平)
パパさんの認識だ。
自分がスケベだからだ。
きっと。
アリスは、
「フ~ン。 美琴、プリマになりたいんだ。 なれると良いね」
とチョッとピンボケだ。
美琴の声楽の先生は、
「美琴さんには才能があります。 本人の希望、真剣に考えてあげて良いんじゃないですか。 私の考えを申し上げるなら、日本の音大で基礎を作り、声を作ってからでも遅くはないとは思いますが。 でも本人が望むなら、一応私にもイタリアに友人がおりますからご相談に乗る事は可能ですが・・・」
と美琴の才能を高く買っている。
担任の先生は、
「お宅のお嬢さんは成績優秀ですので、芸大を目指す事をお勧めします。 いきなり海外留学それも音楽でというのは我校には前例がないので・・・」
とチョッと消極的だ。
「おぅおぅ、美琴。 オメェ、そんなに簡単にプリマになれると思ってんのか? ケッ、ボォケが。 オメェ、チョッとバッカ、世間様なめてねぇか~? うん? チョッとバッカ」
これが俺様の反応だ。
比べてもらえれば分かる。
我輩が一番正鵠(せいこく)を得ている。
猫の我輩がだ。
だろ?
違うか?
ん?
だろ?
な?
そうだ、我輩が一番だ!!
エッヘン!!
ケケケケケ。
『オペラのプリマドンナになる』
それが美琴の夢だ。
第十三話 完
“プリマドンナ”
「この言葉にどんな印象持ってるかな? チミ達は? ナンチャッテ」
って、今回はパパさんっポイ台詞(せりふ)でのオープニングだ。
猫の俺様にとっちゃプリマって言えば、やっぱハムだよな~、ハム。
うん。
そしてこの問い掛けに、パパさんなら多分こう言う。
多分な。
『(怪しい)お風呂屋さんの名前だな』
とか、
『そんな名前の(ケバイ)ホテルがあったような、なかったような・・・。 も、勿論入った事はないぞ。 も、勿論入った事は』
わざわざ否定すると反って怪しいんだぜ、パパさん。
反ってな。
何つってもパパさん直ぐ顔に出ちまうヤツだからな。
正直もん、つーか。
間抜け、つーか。
幼稚、つーか。
何でも当てはまっちゃう所がこぇーぜ。
ま!?
そんな事より日本でプリマドンナって言ゃぁ。
そうょなぁ、クラッシクバレーの主役を指すのが一般的か?
『ジゼル』 だの 『白鳥の湖』 だのの主役のバレリーナ。
何を隠そう、この我輩もそう思っていた。
エッヘン!!
しか~~~し、
世界的にはオペラの 『歌姫』 の事を言うらしい。
俺様、最近それを知った。
美琴がパパさん達に話しているのを聞いたからだ。
その時、美琴はこう言った。
「アタシ、オペラのプリマドンナになりたいんだ」
そぅ。
『オペラのプリマドンナになる』
それが美琴の夢だ。
そして・・・
「アーアァー、アァアァ。 アーアァー、アァアァ」
何だ何だ!?
何の騒ぎだ!?
何が起こった!?
何だ!?
これが、初めて美琴の歌声を聴いたときの我輩のリアクションだ。
凄い声量だった。
まるでターザンの雄叫(おたけ)びのようだった。
ハッキリ言って、死ぬかと思ったぞ、あん時は。
全身の毛が逆立ってたからな。
あ~ゆうのを言うんだょな、 『身の毛がよだつ』 って。
そんな感じだったぜ。
ヶど、今は慣れた。
良~く聞くと、とっても上手だ。
美しく良く通る声だ。
だが、油断は禁物だ。
慣れたとはいえ、意表をつかれるとやっぱりビビル。
なんせ凄まじいからなぁ、美琴の声量。
超本格派だ。
でも、
我輩としては超本格派の美琴の歌よりも、調子っぱずれのアリスの鼻歌の方が好きだ。
アリスは今、ギターの練習をしている。
エレキギターだ。
時々、ギターを弾きながら歌っているのを聞く事がある。
ハッキリ言って下手糞だ。
ところが、
あんまり上手くないギターの伴奏。
微妙に外れた歌声。
しかし素直な歌い方。
澄んだ可愛い声。
これ等がまとまると、ある種何とも言えない “味わい” が出て来るから不思議だ。
“ハーモニー” ってヤツか???
上手く言えないが、実に下手糞なんだが又聞きたい。
それも何度も。
そんな感じだ。
こういう言い方が許されるなら、これが一番ピッタリ来る。
『上手に下手糞』
だから半年先、一年後が楽しみだ。
ところで、
田原家のリビングにはピアノが置いてある。
アップライトピアノだ。
6年前の引越しの時、美琴のために新しく買い替えたという話だ。
美琴はグランドピアノが欲しかったらしい。
が、
ママさんの一言でアップライトに決まったという事だ。
「ダメょ、狭いんだから。
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
ょ、狭いんだから。 アップライトで我慢しなさい」
ママさん言う時ゃ、言うからな。
きっと、 “ピシャリ!!” って感じで言ったんだろうな。
流石の美琴も何にも言えなっかったらしい所を見ると。
という訳でリビングにピアノがある。
ある日、我輩がそのピアノの横で気持ち良~く 『お・ひ・る・ね』 していた。
猫は眠るのがお仕事だからな。
と、その時だ。
例の 『ターザンの雄たけび』 が起こったのは。
そん時の我輩のリアクションがどうであったか。
そ、れ、は、
「オマエはもう、知っている」
だ。
ろ?
な?
日本には二期会やら藤原歌劇団とかいうオペラを上演する団体があるらしい。
そしてそこへは、
音大を出てから入るのか?
素人でも入れるのか?
そのどっちなのか、詳しい事は知らない。
でも、美琴は・・・。
そう、美琴は・・・。
日本ではなく本場イタリアでやりたいらしい。
だからイタリア留学を希望している。
ママさんは、
「美琴が本気なら・・・」
と前向きだ。
しかしパパさんは、
「ダメだ、ゼタ~ィダメだ!!
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
だ!! 日本だ日本だ!! 日本で勉強しなさい。 大事な娘をイタリア男の毒牙にかけてなるものか」
と猛反対だ。
イタリア男 = ス・ケ・ベ (助平)
パパさんの認識だ。
自分がスケベだからだ。
きっと。
アリスは、
「フ~ン。 美琴、プリマになりたいんだ。 なれると良いね」
とチョッとピンボケだ。
美琴の声楽の先生は、
「美琴さんには才能があります。 本人の希望、真剣に考えてあげて良いんじゃないですか。 私の考えを申し上げるなら、日本の音大で基礎を作り、声を作ってからでも遅くはないとは思いますが。 でも本人が望むなら、一応私にもイタリアに友人がおりますからご相談に乗る事は可能ですが・・・」
と美琴の才能を高く買っている。
担任の先生は、
「お宅のお嬢さんは成績優秀ですので、芸大を目指す事をお勧めします。 いきなり海外留学それも音楽でというのは我校には前例がないので・・・」
とチョッと消極的だ。
「おぅおぅ、美琴。 オメェ、そんなに簡単にプリマになれると思ってんのか? ケッ、ボォケが。 オメェ、チョッとバッカ、世間様なめてねぇか~? うん? チョッとバッカ」
これが俺様の反応だ。
比べてもらえれば分かる。
我輩が一番正鵠(せいこく)を得ている。
猫の我輩がだ。
だろ?
違うか?
ん?
だろ?
な?
そうだ、我輩が一番だ!!
エッヘン!!
ケケケケケ。
『オペラのプリマドンナになる』
それが美琴の夢だ。
第十三話 完
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