アリスのニャンコその名は“ポチ” 第十三話
2017-01-31
第十三話
“プリマドンナ”
「この言葉にどんな印象持ってるかな? チミ達は? ナンチャッテ」
って、今回はパパさんっポイ台詞(せりふ)でのオープニングだ。
猫の俺様にとっちゃプリマって言えば、やっぱハムだよな~、ハム。
うん。
そしてこの問い掛けに、パパさんなら多分こう言う。
多分な。
『(怪しい)お風呂屋さんの名前だな』
とか、
『そんな名前の(ケバイ)ホテルがあったような、なかったような・・・。 も、勿論入った事はないぞ。 も、勿論入った事は』
わざわざ否定すると反って怪しいんだぜ、パパさん。
反ってな。
何つってもパパさん直ぐ顔に出ちまうヤツだからな。
正直もん、つーか。
間抜け、つーか。
幼稚、つーか。
何でも当てはまっちゃう所がこぇーぜ。
ま!?
そんな事より日本でプリマドンナって言ゃぁ。
そうょなぁ、クラッシクバレーの主役を指すのが一般的か?
『ジゼル』 だの 『白鳥の湖』 だのの主役のバレリーナ。
何を隠そう、この我輩もそう思っていた。
エッヘン!!
しか~~~し、
世界的にはオペラの 『歌姫』 の事を言うらしい。
俺様、最近それを知った。
美琴がパパさん達に話しているのを聞いたからだ。
その時、美琴はこう言った。
「アタシ、オペラのプリマドンナになりたいんだ」
そぅ。
『オペラのプリマドンナになる』
それが美琴の夢だ。
そして・・・
「アーアァー、アァアァ。 アーアァー、アァアァ」
何だ何だ!?
何の騒ぎだ!?
何が起こった!?
何だ!?
これが、初めて美琴の歌声を聴いたときの我輩のリアクションだ。
凄い声量だった。
まるでターザンの雄叫(おたけ)びのようだった。
ハッキリ言って、死ぬかと思ったぞ、あん時は。
全身の毛が逆立ってたからな。
あ~ゆうのを言うんだょな、 『身の毛がよだつ』 って。
そんな感じだったぜ。
ヶど、今は慣れた。
良~く聞くと、とっても上手だ。
美しく良く通る声だ。
だが、油断は禁物だ。
慣れたとはいえ、意表をつかれるとやっぱりビビル。
なんせ凄まじいからなぁ、美琴の声量。
超本格派だ。
でも、
我輩としては超本格派の美琴の歌よりも、調子っぱずれのアリスの鼻歌の方が好きだ。
アリスは今、ギターの練習をしている。
エレキギターだ。
時々、ギターを弾きながら歌っているのを聞く事がある。
ハッキリ言って下手糞だ。
ところが、
あんまり上手くないギターの伴奏。
微妙に外れた歌声。
しかし素直な歌い方。
澄んだ可愛い声。
これ等がまとまると、ある種何とも言えない “味わい” が出て来るから不思議だ。
“ハーモニー” ってヤツか???
上手く言えないが、実に下手糞なんだが又聞きたい。
それも何度も。
そんな感じだ。
こういう言い方が許されるなら、これが一番ピッタリ来る。
『上手に下手糞』
だから半年先、一年後が楽しみだ。
ところで、
田原家のリビングにはピアノが置いてある。
アップライトピアノだ。
6年前の引越しの時、美琴のために新しく買い替えたという話だ。
美琴はグランドピアノが欲しかったらしい。
が、
ママさんの一言でアップライトに決まったという事だ。
「ダメょ、狭いんだから。
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
ょ、狭いんだから。 アップライトで我慢しなさい」
ママさん言う時ゃ、言うからな。
きっと、 “ピシャリ!!” って感じで言ったんだろうな。
流石の美琴も何にも言えなっかったらしい所を見ると。
という訳でリビングにピアノがある。
ある日、我輩がそのピアノの横で気持ち良~く 『お・ひ・る・ね』 していた。
猫は眠るのがお仕事だからな。
と、その時だ。
例の 『ターザンの雄たけび』 が起こったのは。
そん時の我輩のリアクションがどうであったか。
そ、れ、は、
「オマエはもう、知っている」
だ。
ろ?
な?
日本には二期会やら藤原歌劇団とかいうオペラを上演する団体があるらしい。
そしてそこへは、
音大を出てから入るのか?
素人でも入れるのか?
そのどっちなのか、詳しい事は知らない。
でも、美琴は・・・。
そう、美琴は・・・。
日本ではなく本場イタリアでやりたいらしい。
だからイタリア留学を希望している。
ママさんは、
「美琴が本気なら・・・」
と前向きだ。
しかしパパさんは、
「ダメだ、ゼタ~ィダメだ!!
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
だ!! 日本だ日本だ!! 日本で勉強しなさい。 大事な娘をイタリア男の毒牙にかけてなるものか」
と猛反対だ。
イタリア男 = ス・ケ・ベ (助平)
パパさんの認識だ。
自分がスケベだからだ。
きっと。
アリスは、
「フ~ン。 美琴、プリマになりたいんだ。 なれると良いね」
とチョッとピンボケだ。
美琴の声楽の先生は、
「美琴さんには才能があります。 本人の希望、真剣に考えてあげて良いんじゃないですか。 私の考えを申し上げるなら、日本の音大で基礎を作り、声を作ってからでも遅くはないとは思いますが。 でも本人が望むなら、一応私にもイタリアに友人がおりますからご相談に乗る事は可能ですが・・・」
と美琴の才能を高く買っている。
担任の先生は、
「お宅のお嬢さんは成績優秀ですので、芸大を目指す事をお勧めします。 いきなり海外留学それも音楽でというのは我校には前例がないので・・・」
とチョッと消極的だ。
「おぅおぅ、美琴。 オメェ、そんなに簡単にプリマになれると思ってんのか? ケッ、ボォケが。 オメェ、チョッとバッカ、世間様なめてねぇか~? うん? チョッとバッカ」
これが俺様の反応だ。
比べてもらえれば分かる。
我輩が一番正鵠(せいこく)を得ている。
猫の我輩がだ。
だろ?
違うか?
ん?
だろ?
な?
そうだ、我輩が一番だ!!
エッヘン!!
ケケケケケ。
『オペラのプリマドンナになる』
それが美琴の夢だ。
第十三話 完
“プリマドンナ”
「この言葉にどんな印象持ってるかな? チミ達は? ナンチャッテ」
って、今回はパパさんっポイ台詞(せりふ)でのオープニングだ。
猫の俺様にとっちゃプリマって言えば、やっぱハムだよな~、ハム。
うん。
そしてこの問い掛けに、パパさんなら多分こう言う。
多分な。
『(怪しい)お風呂屋さんの名前だな』
とか、
『そんな名前の(ケバイ)ホテルがあったような、なかったような・・・。 も、勿論入った事はないぞ。 も、勿論入った事は』
わざわざ否定すると反って怪しいんだぜ、パパさん。
反ってな。
何つってもパパさん直ぐ顔に出ちまうヤツだからな。
正直もん、つーか。
間抜け、つーか。
幼稚、つーか。
何でも当てはまっちゃう所がこぇーぜ。
ま!?
そんな事より日本でプリマドンナって言ゃぁ。
そうょなぁ、クラッシクバレーの主役を指すのが一般的か?
『ジゼル』 だの 『白鳥の湖』 だのの主役のバレリーナ。
何を隠そう、この我輩もそう思っていた。
エッヘン!!
しか~~~し、
世界的にはオペラの 『歌姫』 の事を言うらしい。
俺様、最近それを知った。
美琴がパパさん達に話しているのを聞いたからだ。
その時、美琴はこう言った。
「アタシ、オペラのプリマドンナになりたいんだ」
そぅ。
『オペラのプリマドンナになる』
それが美琴の夢だ。
そして・・・
「アーアァー、アァアァ。 アーアァー、アァアァ」
何だ何だ!?
何の騒ぎだ!?
何が起こった!?
何だ!?
これが、初めて美琴の歌声を聴いたときの我輩のリアクションだ。
凄い声量だった。
まるでターザンの雄叫(おたけ)びのようだった。
ハッキリ言って、死ぬかと思ったぞ、あん時は。
全身の毛が逆立ってたからな。
あ~ゆうのを言うんだょな、 『身の毛がよだつ』 って。
そんな感じだったぜ。
ヶど、今は慣れた。
良~く聞くと、とっても上手だ。
美しく良く通る声だ。
だが、油断は禁物だ。
慣れたとはいえ、意表をつかれるとやっぱりビビル。
なんせ凄まじいからなぁ、美琴の声量。
超本格派だ。
でも、
我輩としては超本格派の美琴の歌よりも、調子っぱずれのアリスの鼻歌の方が好きだ。
アリスは今、ギターの練習をしている。
エレキギターだ。
時々、ギターを弾きながら歌っているのを聞く事がある。
ハッキリ言って下手糞だ。
ところが、
あんまり上手くないギターの伴奏。
微妙に外れた歌声。
しかし素直な歌い方。
澄んだ可愛い声。
これ等がまとまると、ある種何とも言えない “味わい” が出て来るから不思議だ。
“ハーモニー” ってヤツか???
上手く言えないが、実に下手糞なんだが又聞きたい。
それも何度も。
そんな感じだ。
こういう言い方が許されるなら、これが一番ピッタリ来る。
『上手に下手糞』
だから半年先、一年後が楽しみだ。
ところで、
田原家のリビングにはピアノが置いてある。
アップライトピアノだ。
6年前の引越しの時、美琴のために新しく買い替えたという話だ。
美琴はグランドピアノが欲しかったらしい。
が、
ママさんの一言でアップライトに決まったという事だ。
「ダメょ、狭いんだから。
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
ょ、狭いんだから。 アップライトで我慢しなさい」
ママさん言う時ゃ、言うからな。
きっと、 “ピシャリ!!” って感じで言ったんだろうな。
流石の美琴も何にも言えなっかったらしい所を見ると。
という訳でリビングにピアノがある。
ある日、我輩がそのピアノの横で気持ち良~く 『お・ひ・る・ね』 していた。
猫は眠るのがお仕事だからな。
と、その時だ。
例の 『ターザンの雄たけび』 が起こったのは。
そん時の我輩のリアクションがどうであったか。
そ、れ、は、
「オマエはもう、知っている」
だ。
ろ?
な?
日本には二期会やら藤原歌劇団とかいうオペラを上演する団体があるらしい。
そしてそこへは、
音大を出てから入るのか?
素人でも入れるのか?
そのどっちなのか、詳しい事は知らない。
でも、美琴は・・・。
そう、美琴は・・・。
日本ではなく本場イタリアでやりたいらしい。
だからイタリア留学を希望している。
ママさんは、
「美琴が本気なら・・・」
と前向きだ。
しかしパパさんは、
「ダメだ、ゼタ~ィダメだ!!
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
だ!! 日本だ日本だ!! 日本で勉強しなさい。 大事な娘をイタリア男の毒牙にかけてなるものか」
と猛反対だ。
イタリア男 = ス・ケ・ベ (助平)
パパさんの認識だ。
自分がスケベだからだ。
きっと。
アリスは、
「フ~ン。 美琴、プリマになりたいんだ。 なれると良いね」
とチョッとピンボケだ。
美琴の声楽の先生は、
「美琴さんには才能があります。 本人の希望、真剣に考えてあげて良いんじゃないですか。 私の考えを申し上げるなら、日本の音大で基礎を作り、声を作ってからでも遅くはないとは思いますが。 でも本人が望むなら、一応私にもイタリアに友人がおりますからご相談に乗る事は可能ですが・・・」
と美琴の才能を高く買っている。
担任の先生は、
「お宅のお嬢さんは成績優秀ですので、芸大を目指す事をお勧めします。 いきなり海外留学それも音楽でというのは我校には前例がないので・・・」
とチョッと消極的だ。
「おぅおぅ、美琴。 オメェ、そんなに簡単にプリマになれると思ってんのか? ケッ、ボォケが。 オメェ、チョッとバッカ、世間様なめてねぇか~? うん? チョッとバッカ」
これが俺様の反応だ。
比べてもらえれば分かる。
我輩が一番正鵠(せいこく)を得ている。
猫の我輩がだ。
だろ?
違うか?
ん?
だろ?
な?
そうだ、我輩が一番だ!!
エッヘン!!
ケケケケケ。
『オペラのプリマドンナになる』
それが美琴の夢だ。
第十三話 完
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アリスのニャンコその名は“ポチ” 第十二話
2017-01-31
第十二話
「ただ今ー!!」
「あら、美琴。 お帰り。 早かったのねぇ」
「うん、今日は半ドン。 あ~ぁ、お腹減った~。 ママ、ご飯」
「何にする」
「コイツと一緒じゃなかったら、何でもいい」
お!?
な、何だ、美琴。
俺様、指差して 『コイツと一緒じゃなかったら』 って。
その言い草。
第一、この俺様にはねぇのか 『ただ今ー!!』 の挨拶は。
ん?
ねぇのか?
「パンがいい? それともソーメン茹(ゆ)でようか? 暑いから」
「ウ~ン。 どーしようかな~。 ウ~ン。 ・・・。 ソーメン!!」
「じゃ、これから茹でるから、チョッと待っててね」
「うん。 あ、ママ。 アタシ、先、シャワー浴びてくる。 汗びっしょ」
「そぅ。 じゃぁ、直ぐ出て来るのょ。 その間に茹でとくから」
「うん」
お、美琴がこっち向いてしゃがんだぞ。
俺様に顔近づけて来たぞ。
何する気だ?
「ニャ、ニャー!!」 (コ、コラ、止めろ美琴!!)
右手の人差し指で俺様の鼻先、突付くんじゃねぇー。
「おぅおぅ、ポチ」
何だょ。
「あたしゃ、これからシャワーだ」
それがどした?
勝手にシャワーすりゃ良(い)いじゃねーか。
何で俺様に断んだ?
「覗くんじゃねーぞ、このスケベ猫」
の、覗くわけねーだろ、オメェのシャワーなんか。
な~に、勘違いコイてんだ、オメェは。
な~に、勘違い。
あ!?
分かった。
さてはオメェ、この俺様に一緒に風呂入って貰いてぇんじゃねぇのか~。
ん? ちがーか?
ん? そーだろ?
嫌なこったい!!
だ~れがオメェなんかと・・・。
そんな事より。
おい、美琴。
オメェ、その “ウンコ座り” 止めた方が良いんじゃねぇのか。
その、ウ、ン、コ、す、わ、り。
パンツ丸見えだぞ、パ、ン、ツ。
つっても、見えてんのはブルマーだヶどもょ。
黒のブルマー。
“真っ黒ブルマー痴漢除けバージョン” ってか?
しっかし、オメぇなんだ~。
そんな短けぇスカートでそんな風に股開いてしゃがんじゃって。
人通りのある所でもやってんじゃねぇのか~?
そのウンコ座り。
ん?
気の毒だよなぁ、パパさんみたいな助平なオッサン。
ククククク。
目に浮かぶぜ。
ククククク。
『じょ、女子高生のパンツがー!? じょ、女子高生のパンツがー!?』
喜び勇んでオメーのスカート覗いたら。
ガ~ン!!
『ブ、ブルマーか・・・』
ガックリ。
肩落とすってか。
ケケケケケ。
おい、美琴。
ホンに罪作りなヤツだぜ、オメぇってヤツゎょー。
ケケケケケ。
「おい、ポチ。 付いて来んじゃねーぞ」
だ~れがオメェなんかに。
アリスなら喜んで付いて行っちまうヶどもょ。
ここで我輩の特技を紹介しておこう。
『我輩の特技』
そ、れ、は、
ジャーン!!
『猫掻(ねこか)き』
そぅ。
猫掻きである。
つまり我輩は泳げるという事だ。
思い返せば3年前のある日。
気が付いたら我輩はお風呂で泳いでいたのであった。
それも猫掻きで。
傍(かたわ)らではアリスが髪を洗っていた。
当時のアリスの髪は腰まで届く位長かった。
今はショートだ。
就職と同時に髪を切った。
失恋したからではない。
アリス曰く、
「長髪だとね、ポチ。 髪洗うのに時間掛かっちゃうからだょ。 だからね、ポチ。 髪切ったんだょ」
だ、そうだ。
だが、アリスには可哀そうだが我輩としては、
「失恋したから」
って言って欲しかった。
安心だからだ。
『あぁ、アリスも普通の女の子なんだな~』
そう思えるからだ。
前にも言ったが、アリスは失恋しようにも恋人が出来ない。
と、いうより作る気がない。
アリスが “キモイ女” なら話は別だ。
そぅ。
キモイ女ならな。
しかしアリスは実に可愛い。
恋人が出来ない訳がない位。
だが出来ない。
おい、アリス。 ダイジョブなんか~?
ホ~ント、俺様、心配だぞ~。
って、又ボヤいちまったぜ、つったく~。
いゃ~、その何だ~。
『アリスの事になると、つい向きになってしまう俺様がいる』
な~んてな。
ん?
待てょ、何でこんな話に・・・。
あ!?
そうかそうか。
猫掻き猫掻き。
そうだったそうだった。
猫掻き猫掻き。
猫掻きの話だったな。
うん。
猫掻き猫掻き。
つまり何だ~。
前振りが長かった割には簡単な話だ。
笑っちゃう位だ。
こうだ!!
アリスはお風呂に入る時、いつも子猫の我輩と一緒だった。
という訳だ。
今も時々一緒に入るが。
だから我輩は水が怖くない。
気が付いたら湯船でピチャピチャ泳いでいた。
ね、こ、か、き、で。
だから泳げる。
な。
簡単だったろ?
な?
笑っちゃたか?
これが我輩の特技 “猫掻き” である。
そしてこれにまつわる結構笑える話があるんだが、まぁ、それに関しては別の機会に、という事で・・・。
一方、美琴だが。
言い忘れていた。
美琴は今、夏休みの真っ最中だ。
だが、進学校に通う悲しさか?
サマースクールとかなんとかいうのがあるらしく、時々学校に行く。
大体、午前中で帰って来る。
が!?
遊ぶ時間はない。
塾とお稽古事で一日が終わる。
お稽古事はピアノ、声楽、ヴァイオリンそれにクラッシクバレーだ。
他にも何かやってるらしいが、我輩が知っているのはこれだけだ。
美琴は嫌なヤツだ。
でも、見ていて時々可哀そうになる。
全くと言っていい程、遊ぶ時間がない。
遊びたい盛りなのに。
だが、本人はそんな事は全く気にしてないみたいだ。
美琴は嫌なヤツだが、その努力には頭が下がる。
しかし、ナゼそんなに頑張るのか?
理由は簡単だ。
美琴には 『夢』 がある。
あり余る才能もある。
そして努力を惜しまない。
だからその夢が現実になる日が必ず来る。
これは我輩の直感だ。
チョッと褒め過ぎか?
ま、俺様にはどうでも良い事なんだけどもょ。
なんつっても嫌なヤツだからな、美琴は。
俺様がそんな事を考えているとは露知らず、美琴は今、鼻歌交じりでシャワーを浴びている。
第十二話 完
「ただ今ー!!」
「あら、美琴。 お帰り。 早かったのねぇ」
「うん、今日は半ドン。 あ~ぁ、お腹減った~。 ママ、ご飯」
「何にする」
「コイツと一緒じゃなかったら、何でもいい」
お!?
な、何だ、美琴。
俺様、指差して 『コイツと一緒じゃなかったら』 って。
その言い草。
第一、この俺様にはねぇのか 『ただ今ー!!』 の挨拶は。
ん?
ねぇのか?
「パンがいい? それともソーメン茹(ゆ)でようか? 暑いから」
「ウ~ン。 どーしようかな~。 ウ~ン。 ・・・。 ソーメン!!」
「じゃ、これから茹でるから、チョッと待っててね」
「うん。 あ、ママ。 アタシ、先、シャワー浴びてくる。 汗びっしょ」
「そぅ。 じゃぁ、直ぐ出て来るのょ。 その間に茹でとくから」
「うん」
お、美琴がこっち向いてしゃがんだぞ。
俺様に顔近づけて来たぞ。
何する気だ?
「ニャ、ニャー!!」 (コ、コラ、止めろ美琴!!)
右手の人差し指で俺様の鼻先、突付くんじゃねぇー。
「おぅおぅ、ポチ」
何だょ。
「あたしゃ、これからシャワーだ」
それがどした?
勝手にシャワーすりゃ良(い)いじゃねーか。
何で俺様に断んだ?
「覗くんじゃねーぞ、このスケベ猫」
の、覗くわけねーだろ、オメェのシャワーなんか。
な~に、勘違いコイてんだ、オメェは。
な~に、勘違い。
あ!?
分かった。
さてはオメェ、この俺様に一緒に風呂入って貰いてぇんじゃねぇのか~。
ん? ちがーか?
ん? そーだろ?
嫌なこったい!!
だ~れがオメェなんかと・・・。
そんな事より。
おい、美琴。
オメェ、その “ウンコ座り” 止めた方が良いんじゃねぇのか。
その、ウ、ン、コ、す、わ、り。
パンツ丸見えだぞ、パ、ン、ツ。
つっても、見えてんのはブルマーだヶどもょ。
黒のブルマー。
“真っ黒ブルマー痴漢除けバージョン” ってか?
しっかし、オメぇなんだ~。
そんな短けぇスカートでそんな風に股開いてしゃがんじゃって。
人通りのある所でもやってんじゃねぇのか~?
そのウンコ座り。
ん?
気の毒だよなぁ、パパさんみたいな助平なオッサン。
ククククク。
目に浮かぶぜ。
ククククク。
『じょ、女子高生のパンツがー!? じょ、女子高生のパンツがー!?』
喜び勇んでオメーのスカート覗いたら。
ガ~ン!!
『ブ、ブルマーか・・・』
ガックリ。
肩落とすってか。
ケケケケケ。
おい、美琴。
ホンに罪作りなヤツだぜ、オメぇってヤツゎょー。
ケケケケケ。
「おい、ポチ。 付いて来んじゃねーぞ」
だ~れがオメェなんかに。
アリスなら喜んで付いて行っちまうヶどもょ。
ここで我輩の特技を紹介しておこう。
『我輩の特技』
そ、れ、は、
ジャーン!!
『猫掻(ねこか)き』
そぅ。
猫掻きである。
つまり我輩は泳げるという事だ。
思い返せば3年前のある日。
気が付いたら我輩はお風呂で泳いでいたのであった。
それも猫掻きで。
傍(かたわ)らではアリスが髪を洗っていた。
当時のアリスの髪は腰まで届く位長かった。
今はショートだ。
就職と同時に髪を切った。
失恋したからではない。
アリス曰く、
「長髪だとね、ポチ。 髪洗うのに時間掛かっちゃうからだょ。 だからね、ポチ。 髪切ったんだょ」
だ、そうだ。
だが、アリスには可哀そうだが我輩としては、
「失恋したから」
って言って欲しかった。
安心だからだ。
『あぁ、アリスも普通の女の子なんだな~』
そう思えるからだ。
前にも言ったが、アリスは失恋しようにも恋人が出来ない。
と、いうより作る気がない。
アリスが “キモイ女” なら話は別だ。
そぅ。
キモイ女ならな。
しかしアリスは実に可愛い。
恋人が出来ない訳がない位。
だが出来ない。
おい、アリス。 ダイジョブなんか~?
ホ~ント、俺様、心配だぞ~。
って、又ボヤいちまったぜ、つったく~。
いゃ~、その何だ~。
『アリスの事になると、つい向きになってしまう俺様がいる』
な~んてな。
ん?
待てょ、何でこんな話に・・・。
あ!?
そうかそうか。
猫掻き猫掻き。
そうだったそうだった。
猫掻き猫掻き。
猫掻きの話だったな。
うん。
猫掻き猫掻き。
つまり何だ~。
前振りが長かった割には簡単な話だ。
笑っちゃう位だ。
こうだ!!
アリスはお風呂に入る時、いつも子猫の我輩と一緒だった。
という訳だ。
今も時々一緒に入るが。
だから我輩は水が怖くない。
気が付いたら湯船でピチャピチャ泳いでいた。
ね、こ、か、き、で。
だから泳げる。
な。
簡単だったろ?
な?
笑っちゃたか?
これが我輩の特技 “猫掻き” である。
そしてこれにまつわる結構笑える話があるんだが、まぁ、それに関しては別の機会に、という事で・・・。
一方、美琴だが。
言い忘れていた。
美琴は今、夏休みの真っ最中だ。
だが、進学校に通う悲しさか?
サマースクールとかなんとかいうのがあるらしく、時々学校に行く。
大体、午前中で帰って来る。
が!?
遊ぶ時間はない。
塾とお稽古事で一日が終わる。
お稽古事はピアノ、声楽、ヴァイオリンそれにクラッシクバレーだ。
他にも何かやってるらしいが、我輩が知っているのはこれだけだ。
美琴は嫌なヤツだ。
でも、見ていて時々可哀そうになる。
全くと言っていい程、遊ぶ時間がない。
遊びたい盛りなのに。
だが、本人はそんな事は全く気にしてないみたいだ。
美琴は嫌なヤツだが、その努力には頭が下がる。
しかし、ナゼそんなに頑張るのか?
理由は簡単だ。
美琴には 『夢』 がある。
あり余る才能もある。
そして努力を惜しまない。
だからその夢が現実になる日が必ず来る。
これは我輩の直感だ。
チョッと褒め過ぎか?
ま、俺様にはどうでも良い事なんだけどもょ。
なんつっても嫌なヤツだからな、美琴は。
俺様がそんな事を考えているとは露知らず、美琴は今、鼻歌交じりでシャワーを浴びている。
第十二話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第十一話
2017-01-31
第十一話
「ほ~ら、ポチー。 ご飯だょ~」
「ニャー」 (はーい、ママさん。 今行くぜー)
今日の昼飯は “何・か・な・?” っと。
俺様の大好きなミルクか?
そ、れ、と、も、・・・。
ガーン!!
ね、猫マンマだ!?
ご、ご飯に味噌汁かけただけの!?
「さぁ、ポチ、お食べ」
食えるかょ、こんなもん。
「ほ~ら、煮干しも入ってるょ」
頭付いてんじゃねぇか~、頭~。
俺様、嫌いなんだょ、煮干しの頭~。
「どしたの、ポチ? お腹減ってんでしょ」
あぁ、減ってるょ。
「早くお食べ。 冷えたらまずいょ」
暖かくってもまずいょ。
あ~ぁ、また猫マンマかょ~。
ママさんはご飯に味噌汁かけるだヶで、アリスみたいにカチャカチャかき混ぜるような真似はしない。
だからカチャカチャかき混ぜるアリスの猫マンマとは一味違う。
元は同じなのに。
煮干しも原型留めているし。
しか~~~し、
マー、ズー、イー!!
どっちもマズイ~~~!!
やっぱ食わなきゃなんねぇのか~、この猫マンマ。
あ~ぁ、今日は厄日だぜ、ったく。
ママさ~ん、たまにはタイとかマグロで出汁(だし)取ってくれょー。
煮干しじゃなくってさぁ。
アンコウ何てどうだ。
良いんじゃねぇか~、リッチで。
「ポチ、どしたの? 早く食べなさい」
はいはい、食べますょ。
食べりゃいいんでしょ、食べりゃ。
はいはい。
う、マズ。
しかし、所詮猫の悲しさ・・・。
というより動物の悲しさか?
腹が減ってるとまずくっても結構食っちまう。
気が付いたら、茶碗をペロペロ舐めている始末だ。
つまり全部食っちまったという事だ。
勿論、煮干しの頭は残したが。
「まぁまぁ。 ポチったら、また頭残したのね」
しょうがねぇだろ~、嫌いなんだから。
ママさんなんか、頭どころか煮干しその物だって食わねぇじゃねぇか。
チャンと見てんだぞ、チャ~ンと。
味噌汁注ぐ時、シッカリ煮干し外してんの。
「全く、しょーがないコねぇ、このコは・・・」
とか何とかブツブツ言いながらも、ママさんは我輩の食器を洗ってくれる。
やっぱママさんは、良(い)いヤツだ。
ところで我輩の食器だが、我輩の食器には名前が付いている。
というより我輩が付けたのだが。
その名も、
『オレ様茶碗』
だ。
うん、中々良いネーミングだ。
我輩は気に入っている。
しかし、アリス達はオレ様茶碗とは言わない。
こうだ!!
『ポチ皿』
・・・!?
センスねぇょな~、センス。
ネーミングの、セ、ン、ス。
ポチ皿だってょ~、ポ、チ、ざ、ら。
ウウウウウ。
何か悲しくなって来るぞ。
第一、茶碗だろー、茶碗。
皿じゃなくって。
ちゃー、わー、ん~~~。
ま、言ってもしょうがない事なんだけどょ。
それにしても、な~。
『ポチ皿』
『ポチ皿』
『ポチ皿』
ウウウウウ。
悲しいぞ。
田原家は全てがこんな調子だ。
だから周りからはおよそ芸術とは無縁のファミリーに見られている。
無理もない事だ。
ところが、田原家には思いもよらない才能が・・・。
第十一話 完
「ほ~ら、ポチー。 ご飯だょ~」
「ニャー」 (はーい、ママさん。 今行くぜー)
今日の昼飯は “何・か・な・?” っと。
俺様の大好きなミルクか?
そ、れ、と、も、・・・。
ガーン!!
ね、猫マンマだ!?
ご、ご飯に味噌汁かけただけの!?
「さぁ、ポチ、お食べ」
食えるかょ、こんなもん。
「ほ~ら、煮干しも入ってるょ」
頭付いてんじゃねぇか~、頭~。
俺様、嫌いなんだょ、煮干しの頭~。
「どしたの、ポチ? お腹減ってんでしょ」
あぁ、減ってるょ。
「早くお食べ。 冷えたらまずいょ」
暖かくってもまずいょ。
あ~ぁ、また猫マンマかょ~。
ママさんはご飯に味噌汁かけるだヶで、アリスみたいにカチャカチャかき混ぜるような真似はしない。
だからカチャカチャかき混ぜるアリスの猫マンマとは一味違う。
元は同じなのに。
煮干しも原型留めているし。
しか~~~し、
マー、ズー、イー!!
どっちもマズイ~~~!!
やっぱ食わなきゃなんねぇのか~、この猫マンマ。
あ~ぁ、今日は厄日だぜ、ったく。
ママさ~ん、たまにはタイとかマグロで出汁(だし)取ってくれょー。
煮干しじゃなくってさぁ。
アンコウ何てどうだ。
良いんじゃねぇか~、リッチで。
「ポチ、どしたの? 早く食べなさい」
はいはい、食べますょ。
食べりゃいいんでしょ、食べりゃ。
はいはい。
う、マズ。
しかし、所詮猫の悲しさ・・・。
というより動物の悲しさか?
腹が減ってるとまずくっても結構食っちまう。
気が付いたら、茶碗をペロペロ舐めている始末だ。
つまり全部食っちまったという事だ。
勿論、煮干しの頭は残したが。
「まぁまぁ。 ポチったら、また頭残したのね」
しょうがねぇだろ~、嫌いなんだから。
ママさんなんか、頭どころか煮干しその物だって食わねぇじゃねぇか。
チャンと見てんだぞ、チャ~ンと。
味噌汁注ぐ時、シッカリ煮干し外してんの。
「全く、しょーがないコねぇ、このコは・・・」
とか何とかブツブツ言いながらも、ママさんは我輩の食器を洗ってくれる。
やっぱママさんは、良(い)いヤツだ。
ところで我輩の食器だが、我輩の食器には名前が付いている。
というより我輩が付けたのだが。
その名も、
『オレ様茶碗』
だ。
うん、中々良いネーミングだ。
我輩は気に入っている。
しかし、アリス達はオレ様茶碗とは言わない。
こうだ!!
『ポチ皿』
・・・!?
センスねぇょな~、センス。
ネーミングの、セ、ン、ス。
ポチ皿だってょ~、ポ、チ、ざ、ら。
ウウウウウ。
何か悲しくなって来るぞ。
第一、茶碗だろー、茶碗。
皿じゃなくって。
ちゃー、わー、ん~~~。
ま、言ってもしょうがない事なんだけどょ。
それにしても、な~。
『ポチ皿』
『ポチ皿』
『ポチ皿』
ウウウウウ。
悲しいぞ。
田原家は全てがこんな調子だ。
だから周りからはおよそ芸術とは無縁のファミリーに見られている。
無理もない事だ。
ところが、田原家には思いもよらない才能が・・・。
第十一話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第十話
2017-01-31
第十話
あ~ぁ。
もうお昼だ。
とうとうメリーちゃん来なかったなぁ。
どしたんだ?
何かあったんか?
やっぱ、下痢か?
そうだ、下痢だ!!
うん、下痢だ下痢だ。
下痢に違いない。
なら心配ない、午後には来る。
あー、良かった。
って安心したら腹減って来たぞ。
一旦、家帰って飯にしよう。
うん、飯だ飯だ、飯にしよう。
オレ様山公園の花壇から田原家まで猫の足で3秒だ。
道路を一跨ぎすれば良いだけだからな。
お!?
庭に洗濯物が。
お!?
パパさんのシャツとパンツが。
チャンと真っ白になってるぞ。
パジャマもあるぞ。
こっちも綺麗だ。
ママさん洗濯したのか。
愛してるんだな、パパさんの事。
しっかし不思議だ!?
確かにパパさんは背が高い。
だから押し出しは立派だ。
そこそこ金だって稼いで来る。
だが、幼稚なヤツだ。
ウンチ漏らすヤツだ。
このママさんなら他に幾らでもいい話があったろうに。
何であんなパパさんと?
小指と小指が赤い糸?
そんな美しい話か~!?
あんなパパさんとこのママさんが。
ちがーう!! ちがーう!! ゼタ~ィ、ちがーう!!
こりゃ、前世の因縁だわな。
そう、因縁。
ぜ・ん・せ・の・イ・ン・ネ・ン・!!
『天は今世(こんせ)でママさんに、パパさんという “試練” を与えた』 ってか!?
そうだそうだ、そうに相違ない。
で、なきゃぁ、あのパパさんにこのママさんが・・・。
有得ん!! 有得ん!! ゼタ~ィ、有得ん!!
「あら、ポチ!! 帰ってたの?」
うん。
「お。 元気ないぞー」
そんな事ねーょ。
「さてはメリーちゃんに会えなかったなぁ」
う!?
な、何で分かっちまうんだ? 何で?
「どうだポチ~、図星だろー。 ン?」
うん、図星だ。
ママさんは勘がいい。
それも異常な程だ。
時々ドキッとさせられる。
否、しょっちゅうドキッとだ。
「全くオマエってヤツは、ホント分かり易い猫だ」
え!?
そ、そうかぁ?
お、俺様そんなに分かり易いかぁ?
「ほれ、ポチー。 ウリウリウリー、ウリウリウリー」
「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (う!? そ、その 「ウリウリウリー」 って言いながら俺様の額にママさんのおでこグリグリすんの止めてくれ)
「高い高い高~い。 高い高い高~い」
「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (そ、その 「高い高い高~い」 つぅーのも止めてくれ。 お、俺様の “アソコ” がママさんの目の前なっちまうだろー。 は、恥ずかしいじゃねぇーか)
ア、アリスと同じ事すんじゃねーょ、ママさ~ん。
い、いっくら若く見えるからって、ママさん歳なんだぜー、と、し。
こ、子供っぽい真似すんじゃねーょ、子供っぽい真似ー。
コイツらやっぱ親子だぜ。
全く同(おんな)じ事しやがる。
否!?
ママさんはアリス以上だ。
その後、我輩を軽く投げ上げたり、頬擦りしたり。
我輩の両手を取り、二本足で立たせ、フォークダンスの真似事させたりと軽く10分はいじくり回す。
“ママさん流猫の可愛がり方”
らしい。
が!?
非常に迷惑だ!!
冗談じゃねーぜ、ママさん。
俺様は玩具じゃねーんだからょ、俺様使って遊ぼうとすんじゃねーょ。
ママさん直ぐ俺様投げ上げんじゃねーか、あれって一瞬スゲー緊張すんだぜ。
ママさんは楽しいかも知んねえけどょ~。
命懸けなんだぜ、こっちゎー。
命懸け。
分かる?
い・の・ち・が・け・!!
「おいで、ポチ。 ご飯だよ。 お腹空いてんだろ?」
「にゃー」(うん)
ママさんは異常に勘が良い。
第十話 完
あ~ぁ。
もうお昼だ。
とうとうメリーちゃん来なかったなぁ。
どしたんだ?
何かあったんか?
やっぱ、下痢か?
そうだ、下痢だ!!
うん、下痢だ下痢だ。
下痢に違いない。
なら心配ない、午後には来る。
あー、良かった。
って安心したら腹減って来たぞ。
一旦、家帰って飯にしよう。
うん、飯だ飯だ、飯にしよう。
オレ様山公園の花壇から田原家まで猫の足で3秒だ。
道路を一跨ぎすれば良いだけだからな。
お!?
庭に洗濯物が。
お!?
パパさんのシャツとパンツが。
チャンと真っ白になってるぞ。
パジャマもあるぞ。
こっちも綺麗だ。
ママさん洗濯したのか。
愛してるんだな、パパさんの事。
しっかし不思議だ!?
確かにパパさんは背が高い。
だから押し出しは立派だ。
そこそこ金だって稼いで来る。
だが、幼稚なヤツだ。
ウンチ漏らすヤツだ。
このママさんなら他に幾らでもいい話があったろうに。
何であんなパパさんと?
小指と小指が赤い糸?
そんな美しい話か~!?
あんなパパさんとこのママさんが。
ちがーう!! ちがーう!! ゼタ~ィ、ちがーう!!
こりゃ、前世の因縁だわな。
そう、因縁。
ぜ・ん・せ・の・イ・ン・ネ・ン・!!
『天は今世(こんせ)でママさんに、パパさんという “試練” を与えた』 ってか!?
そうだそうだ、そうに相違ない。
で、なきゃぁ、あのパパさんにこのママさんが・・・。
有得ん!! 有得ん!! ゼタ~ィ、有得ん!!
「あら、ポチ!! 帰ってたの?」
うん。
「お。 元気ないぞー」
そんな事ねーょ。
「さてはメリーちゃんに会えなかったなぁ」
う!?
な、何で分かっちまうんだ? 何で?
「どうだポチ~、図星だろー。 ン?」
うん、図星だ。
ママさんは勘がいい。
それも異常な程だ。
時々ドキッとさせられる。
否、しょっちゅうドキッとだ。
「全くオマエってヤツは、ホント分かり易い猫だ」
え!?
そ、そうかぁ?
お、俺様そんなに分かり易いかぁ?
「ほれ、ポチー。 ウリウリウリー、ウリウリウリー」
「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (う!? そ、その 「ウリウリウリー」 って言いながら俺様の額にママさんのおでこグリグリすんの止めてくれ)
「高い高い高~い。 高い高い高~い」
「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (そ、その 「高い高い高~い」 つぅーのも止めてくれ。 お、俺様の “アソコ” がママさんの目の前なっちまうだろー。 は、恥ずかしいじゃねぇーか)
ア、アリスと同じ事すんじゃねーょ、ママさ~ん。
い、いっくら若く見えるからって、ママさん歳なんだぜー、と、し。
こ、子供っぽい真似すんじゃねーょ、子供っぽい真似ー。
コイツらやっぱ親子だぜ。
全く同(おんな)じ事しやがる。
否!?
ママさんはアリス以上だ。
その後、我輩を軽く投げ上げたり、頬擦りしたり。
我輩の両手を取り、二本足で立たせ、フォークダンスの真似事させたりと軽く10分はいじくり回す。
“ママさん流猫の可愛がり方”
らしい。
が!?
非常に迷惑だ!!
冗談じゃねーぜ、ママさん。
俺様は玩具じゃねーんだからょ、俺様使って遊ぼうとすんじゃねーょ。
ママさん直ぐ俺様投げ上げんじゃねーか、あれって一瞬スゲー緊張すんだぜ。
ママさんは楽しいかも知んねえけどょ~。
命懸けなんだぜ、こっちゎー。
命懸け。
分かる?
い・の・ち・が・け・!!
「おいで、ポチ。 ご飯だよ。 お腹空いてんだろ?」
「にゃー」(うん)
ママさんは異常に勘が良い。
第十話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第九話
2017-01-31
第九話
あれ~?
おかしいなぁ、メリーちゃん今日は来てないぞ。
いつもなら、俺様より先にオレ様山公園来てんのに。
ナゼだ?
ナンカあったんか?
下痢でもしたんか?
メリーちゃんは早起きだ。
というより、山田さん家が早い。
何をしている家か知らないが、7時前にはもう食事は終わっている。
だから大体いつも、メリーちゃんの方が先にオレ様山公園に来ている。
我が田原家も決して遅くはないんだが。
ま、たまにはこういう日があってもいっか。
陽気もいい事だし日向ぼっこでもして待つとするか。
ファ~、眠い。
前にも言ったがオレ様山公園は、わりとリッチな住宅街の一角にある。
だから人通りも多くはない。
特に朝なんかは、誰も来ないなんて事はザラだ。
昼頃からようやく人が集まりだす。
大体が近所の子連れのママさん達だ。
つーか、マダム達だ。
それも見事 “公園デビュー” を済ませたマダム達だ。
あの地獄の公園デビューを既に済ませた・・・な。
たまに新参者が来る。
一目でそれと分かる。
オドオドしているからだ。
勿論、周りからは離れている。
マダムの世界って大変なんだな~。
見ていてツクヅクそう思う。
オイラ猫でよかったぜ。
ホントそう思う。
素直な実感だ。
で!?
マダム達だが、やる事はいつも決まっている。
どうでもいい世間話か、お互いの持ち物の褒めっこだ。
それも白々しく。
本気じゃないのが良く分かる。
聞いてて歯が浮きそうだ。
でも、この公園での唯一の救いは、主(ぬし)が居ない事だ。
そう。
この公園には、主が居ない。
つまり “お局様” が居ないという事だ。
だからほかの公園と違って陰険な雰囲気は余り感じられない。
もっとも、我輩は “ほかの公園” とやらは知らないのだが。
で!?
マダム達がペチャクチャやってる間子供達はどうしているかといえば、
砂場やブランコなんかで遊んでいる。
オレ様山公園には他にジャングルジムや鉄棒、滑り台等がある。
一応フル装備だ。
規模のわりにはな。
トイレだってある。
もちろん人間様用だ。
猫様用ではない。
猫様用は花壇だ。
否、花壇だった昨日までは。
オレ様山公園の大きさはといえば、そうだなぁ、田原家十軒分位かな~。
適当に想像して欲しい。
・・・。
そうだ、その位だ!?
今アンタが想像した、その位の大きさだ。
ご協力ありがとう。
そこに猫とマダム達とその子供達がいるという訳だ。
犬を連れてくるヤツはいない。
子供がいるからだと思う。
暗黙の了解があるらしい。
これは嬉しい事だ。
何といっても犬は天敵だからな~、我輩の。
我輩が砂場で日向ぼっこをしていると、たまに子供が触りに来る。
我輩は誰かに体を触られるのが大っ嫌いだ。
だからすぐ逃げる。
パパさんやママさんに触られるのもいやな位だ。
でも、食い物の為にいつも我慢している。
というのも、パパさんもママさんも猫を抱くのが大好きだからだ。
二人とも我輩を見るとすぐいじくり回そうとする。
暑い日なんかたまったもんじゃない。
美琴に至っては鳥肌が立つ位嫌だ。
もっとも美琴は猫が嫌いだ。
だから我輩を触るような真似は絶対にしない。
これはいい事だ。
ホントは猫じゃなく、我輩が嫌いなだけかも知れないが。
だが、アリスは。
そう、アリスだけは例外だ。
触られても不快感はない。
むしろ嬉しい位だ。
不思議な話だ。
もっとも、 「ウリウリウリー」 と 「高い高い高~い」 は別だが。
アリスは優しい子だ。
そして猫が好きだ。
我輩を見ると直ぐに抱き上げ、撫でてくれる。
我輩も気持ちよくて、ついゴロゴロ喉を鳴らしてしまう。
完全武装解除。
無防備だ。
休みの日などは何時も、我輩を膝の上乗せてノミを捕ってくれる。
これは嬉しい。
ママさんも時々捕ってくれるんで感謝しているんだが、やっぱりアリスの方がいい。
捕ったノミを両手の親指の爪でプチプチ潰しながら、アリスはいつもペチャクチャ独り言を言う。
否、我輩に話し掛けて来る。
我輩は目を瞑ってゴロゴロ喉を鳴らしながら、それを聞いている。
こんな調子だ。
「あのね、ポチ。
あたしさぁ、今度ギターのアンプ買うんだょ。
アンプ無いと音小っちゃくってさ。
良く聴こえないんだょね~。
夜中なら良いんだけどさ。
昼間はね、昼間は外うるさくって良く聴こえないから。
だから買うんだょ。
お友達に相談したら “ローランドのアンプ” が良いんだって。
でもねポチ。
インターネットで調べたら10月に新しいのが出るんだって、だからそれ迄買えないんだょ。
10月っていったらさ、あと一ヶ月以上あるんだー。
長いよね、一ヶ月って。
それ迄我慢しなくちゃなんないのか~。
あ~ぁ、早く10月なんないかなぁ。
ねぇ、ポチ。
あたし絶対、上手になってみせるからね。
上手んなったらさ、ポチ。
大塚愛みたいにギター弾きながら歌うんだょ。
ポチにも聴かせて上げるからね」
「ゴロニャー」 (うん、楽しみにしてるぜアリス。頑張れよ)
アリスは今 “エレキギター” に凝っている。
第九話 完
あれ~?
おかしいなぁ、メリーちゃん今日は来てないぞ。
いつもなら、俺様より先にオレ様山公園来てんのに。
ナゼだ?
ナンカあったんか?
下痢でもしたんか?
メリーちゃんは早起きだ。
というより、山田さん家が早い。
何をしている家か知らないが、7時前にはもう食事は終わっている。
だから大体いつも、メリーちゃんの方が先にオレ様山公園に来ている。
我が田原家も決して遅くはないんだが。
ま、たまにはこういう日があってもいっか。
陽気もいい事だし日向ぼっこでもして待つとするか。
ファ~、眠い。
前にも言ったがオレ様山公園は、わりとリッチな住宅街の一角にある。
だから人通りも多くはない。
特に朝なんかは、誰も来ないなんて事はザラだ。
昼頃からようやく人が集まりだす。
大体が近所の子連れのママさん達だ。
つーか、マダム達だ。
それも見事 “公園デビュー” を済ませたマダム達だ。
あの地獄の公園デビューを既に済ませた・・・な。
たまに新参者が来る。
一目でそれと分かる。
オドオドしているからだ。
勿論、周りからは離れている。
マダムの世界って大変なんだな~。
見ていてツクヅクそう思う。
オイラ猫でよかったぜ。
ホントそう思う。
素直な実感だ。
で!?
マダム達だが、やる事はいつも決まっている。
どうでもいい世間話か、お互いの持ち物の褒めっこだ。
それも白々しく。
本気じゃないのが良く分かる。
聞いてて歯が浮きそうだ。
でも、この公園での唯一の救いは、主(ぬし)が居ない事だ。
そう。
この公園には、主が居ない。
つまり “お局様” が居ないという事だ。
だからほかの公園と違って陰険な雰囲気は余り感じられない。
もっとも、我輩は “ほかの公園” とやらは知らないのだが。
で!?
マダム達がペチャクチャやってる間子供達はどうしているかといえば、
砂場やブランコなんかで遊んでいる。
オレ様山公園には他にジャングルジムや鉄棒、滑り台等がある。
一応フル装備だ。
規模のわりにはな。
トイレだってある。
もちろん人間様用だ。
猫様用ではない。
猫様用は花壇だ。
否、花壇だった昨日までは。
オレ様山公園の大きさはといえば、そうだなぁ、田原家十軒分位かな~。
適当に想像して欲しい。
・・・。
そうだ、その位だ!?
今アンタが想像した、その位の大きさだ。
ご協力ありがとう。
そこに猫とマダム達とその子供達がいるという訳だ。
犬を連れてくるヤツはいない。
子供がいるからだと思う。
暗黙の了解があるらしい。
これは嬉しい事だ。
何といっても犬は天敵だからな~、我輩の。
我輩が砂場で日向ぼっこをしていると、たまに子供が触りに来る。
我輩は誰かに体を触られるのが大っ嫌いだ。
だからすぐ逃げる。
パパさんやママさんに触られるのもいやな位だ。
でも、食い物の為にいつも我慢している。
というのも、パパさんもママさんも猫を抱くのが大好きだからだ。
二人とも我輩を見るとすぐいじくり回そうとする。
暑い日なんかたまったもんじゃない。
美琴に至っては鳥肌が立つ位嫌だ。
もっとも美琴は猫が嫌いだ。
だから我輩を触るような真似は絶対にしない。
これはいい事だ。
ホントは猫じゃなく、我輩が嫌いなだけかも知れないが。
だが、アリスは。
そう、アリスだけは例外だ。
触られても不快感はない。
むしろ嬉しい位だ。
不思議な話だ。
もっとも、 「ウリウリウリー」 と 「高い高い高~い」 は別だが。
アリスは優しい子だ。
そして猫が好きだ。
我輩を見ると直ぐに抱き上げ、撫でてくれる。
我輩も気持ちよくて、ついゴロゴロ喉を鳴らしてしまう。
完全武装解除。
無防備だ。
休みの日などは何時も、我輩を膝の上乗せてノミを捕ってくれる。
これは嬉しい。
ママさんも時々捕ってくれるんで感謝しているんだが、やっぱりアリスの方がいい。
捕ったノミを両手の親指の爪でプチプチ潰しながら、アリスはいつもペチャクチャ独り言を言う。
否、我輩に話し掛けて来る。
我輩は目を瞑ってゴロゴロ喉を鳴らしながら、それを聞いている。
こんな調子だ。
「あのね、ポチ。
あたしさぁ、今度ギターのアンプ買うんだょ。
アンプ無いと音小っちゃくってさ。
良く聴こえないんだょね~。
夜中なら良いんだけどさ。
昼間はね、昼間は外うるさくって良く聴こえないから。
だから買うんだょ。
お友達に相談したら “ローランドのアンプ” が良いんだって。
でもねポチ。
インターネットで調べたら10月に新しいのが出るんだって、だからそれ迄買えないんだょ。
10月っていったらさ、あと一ヶ月以上あるんだー。
長いよね、一ヶ月って。
それ迄我慢しなくちゃなんないのか~。
あ~ぁ、早く10月なんないかなぁ。
ねぇ、ポチ。
あたし絶対、上手になってみせるからね。
上手んなったらさ、ポチ。
大塚愛みたいにギター弾きながら歌うんだょ。
ポチにも聴かせて上げるからね」
「ゴロニャー」 (うん、楽しみにしてるぜアリス。頑張れよ)
アリスは今 “エレキギター” に凝っている。
第九話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第八話
2017-01-30
第八話
「ここは公園である。 名前はまだない」
って、ダサいフレーズで出ちまったぜ。
明治時代なら良かったんだろうけどな、こんなんでも。
今じゃチョッとな、うん、今じゃチョッとだ。
ま、どうでもいい事なんだヶどもょ。
と!?
いう訳で、我輩が今いる場所は田原家の道を挟んで真ん前にある公園だ。
初めにも言ったようにこの公園に名前はない。
仮にあっても、
『東京都なんとか市なんとか町なんとか番地公園』
だ。
ちなみに我が田原家は東京都下にある。
だが、この公園 『・・・なんとか番地公園』 では面白くないので、我輩はこう呼んでいる。
『オレ様山公園』
そう。
『オレ様山公園』
名前の由来はパパさんだ。
パパさん、時々 『西郷山公園』 (東京都目黒区にある) に行くらしい。
仕事で近くに行く事があって、たまに立ち寄るそうだ。
パパさんお気に入りの公園だそうだ。
よくママさん達にその話をする。
我輩も横で聞いている。
だからチョッとアレンジさせて貰った。
『オレ様山公園』
うん、中々いい響きだ。
『オレ様山公園』
うん、中々。
全く関係ないが東京都新宿区には、
『おとめ山公園』
というマイナーな公園もある。
「メジャーだ!!」
地元の人達はそうほざく。
だが、マイナーだ。
誰も知らない。
そう、誰も。
さて、この公園から見た我が田原家だが、まぁまぁの造りだ。
決して豪邸ではない。
が、
この辺りはそこそこの人達が住んで居る。
だから割りとリッチな造りの家が多い。
その中にあって見劣りはしない。
白いお家だ。
築25年以上の中古らしいが、詳しい事は知らない。
6年前、パパさんが儲けた金で買ったらしい、バイアグラで儲けた金だ。
我輩が来る3年前の話だそうだ。
この家だが、アリスはとても気に入っている。
でも、ママさんと美琴は好きではないらしい。
というより、この場所が気に入らないようだ。
ホントは二人とも、それこそ西郷山公園の有る目黒区青葉台や港区白金台辺りに住みたいらしい。
白金台といゃー 『シロガネーゼ』 で有名だ。
シロガネーゼか。
うん、ママさんや美琴にはシロガネーゼという言葉がピッタリだ。
二人とも超美人だし、上品だし、スタイル良(い)いし。
だが、一番ピッタリ来るのはアリスだ。
確かに、ママさんや美琴と比べるとアリスは背が低い。
スタイルという点ではこの二人に見劣りする。
でも、アリスはこの二人をはるかに凌ぐ物を持っている。
それは “気品” だ。
天性の “気品” だ。
それに、なんといってもアリスは可愛い。
前にも言ったが、守ってやりたくなるような女の子だ。
しかし、恋人は出来ない。
不思議だ?
本人も欲しがっている様子はない。
ナゼだ?
だからチョッと心配だ。
いつまでも女の子じゃないんだぜアリス。
ダイジョブか?
俺様、チョッと不安だぜ。
オットー!?
もう一人大事な人を忘れていたぜ。
パパさんだ。
パパさんはこのお家が超お気に入りだ。
「駅から20分、スーパーまで10分。 不便だー、不便だー、不便だ~~~!!」
って、ママさんや美琴にブーブー言われてもお構いなし。
「田原さんちの白いお城。 ナンチャッテ、ナンチャッテ、ナンチャッテ」
ナンゾとうそぶいてる。
「なーなー、ポチ。 田原さんちの白いお城。 お茶目でいい名前だよな、お茶目で」
お、俺様に振るんじゃねーょ、俺様に。
第一どこがお茶目だ?
ん?
どこが?
いつもこれだ。
こんな調子だ。
家の名前より、そんな言い方するパパさんの方がよっぽどお茶目だ。
というより幼稚だ。
大丈夫なんかパパさん、いい歳こいてそんなに幼稚で。
「はいはい。 田原さんちの白いお城、田原さんちの白いお城」
ママさんの投げやりな反応だ。
「パパちゃんの白いお城って言ったら。 パパちゃんの・シ・ロ・イ・オ・シ・ロ」
美琴はもっとだ。
二人とももうチッと愛着持った方がいいんじゃねぇか。
住めば都って言うじゃねぇか、住めば都って。
確かに、不便は不便なんだけどもょ。
ま、猫の俺様には関係ねぇか。
だが、ママさんも美琴もパパさんがいない時はそうは言わない。
こうだ!!
『バイアグラ・ハウス』
バイアグラ・ハウスか~。
そんな名前で呼んじゃ、家が可哀そうじゃねぇか~、この家が~。
そして、この家に関していうならパパさんの味方はアリスだヶだ。
もっともそのアリスも、田原さんちの白いお城とは言わない。
夢見る夢子の夢見るアリスは、夢見る夢子の夢見るアリスらしい名前を付けている。
そう、その名も・・・
『アリスのお家』
第八話 完
「ここは公園である。 名前はまだない」
って、ダサいフレーズで出ちまったぜ。
明治時代なら良かったんだろうけどな、こんなんでも。
今じゃチョッとな、うん、今じゃチョッとだ。
ま、どうでもいい事なんだヶどもょ。
と!?
いう訳で、我輩が今いる場所は田原家の道を挟んで真ん前にある公園だ。
初めにも言ったようにこの公園に名前はない。
仮にあっても、
『東京都なんとか市なんとか町なんとか番地公園』
だ。
ちなみに我が田原家は東京都下にある。
だが、この公園 『・・・なんとか番地公園』 では面白くないので、我輩はこう呼んでいる。
『オレ様山公園』
そう。
『オレ様山公園』
名前の由来はパパさんだ。
パパさん、時々 『西郷山公園』 (東京都目黒区にある) に行くらしい。
仕事で近くに行く事があって、たまに立ち寄るそうだ。
パパさんお気に入りの公園だそうだ。
よくママさん達にその話をする。
我輩も横で聞いている。
だからチョッとアレンジさせて貰った。
『オレ様山公園』
うん、中々いい響きだ。
『オレ様山公園』
うん、中々。
全く関係ないが東京都新宿区には、
『おとめ山公園』
というマイナーな公園もある。
「メジャーだ!!」
地元の人達はそうほざく。
だが、マイナーだ。
誰も知らない。
そう、誰も。
さて、この公園から見た我が田原家だが、まぁまぁの造りだ。
決して豪邸ではない。
が、
この辺りはそこそこの人達が住んで居る。
だから割りとリッチな造りの家が多い。
その中にあって見劣りはしない。
白いお家だ。
築25年以上の中古らしいが、詳しい事は知らない。
6年前、パパさんが儲けた金で買ったらしい、バイアグラで儲けた金だ。
我輩が来る3年前の話だそうだ。
この家だが、アリスはとても気に入っている。
でも、ママさんと美琴は好きではないらしい。
というより、この場所が気に入らないようだ。
ホントは二人とも、それこそ西郷山公園の有る目黒区青葉台や港区白金台辺りに住みたいらしい。
白金台といゃー 『シロガネーゼ』 で有名だ。
シロガネーゼか。
うん、ママさんや美琴にはシロガネーゼという言葉がピッタリだ。
二人とも超美人だし、上品だし、スタイル良(い)いし。
だが、一番ピッタリ来るのはアリスだ。
確かに、ママさんや美琴と比べるとアリスは背が低い。
スタイルという点ではこの二人に見劣りする。
でも、アリスはこの二人をはるかに凌ぐ物を持っている。
それは “気品” だ。
天性の “気品” だ。
それに、なんといってもアリスは可愛い。
前にも言ったが、守ってやりたくなるような女の子だ。
しかし、恋人は出来ない。
不思議だ?
本人も欲しがっている様子はない。
ナゼだ?
だからチョッと心配だ。
いつまでも女の子じゃないんだぜアリス。
ダイジョブか?
俺様、チョッと不安だぜ。
オットー!?
もう一人大事な人を忘れていたぜ。
パパさんだ。
パパさんはこのお家が超お気に入りだ。
「駅から20分、スーパーまで10分。 不便だー、不便だー、不便だ~~~!!」
って、ママさんや美琴にブーブー言われてもお構いなし。
「田原さんちの白いお城。 ナンチャッテ、ナンチャッテ、ナンチャッテ」
ナンゾとうそぶいてる。
「なーなー、ポチ。 田原さんちの白いお城。 お茶目でいい名前だよな、お茶目で」
お、俺様に振るんじゃねーょ、俺様に。
第一どこがお茶目だ?
ん?
どこが?
いつもこれだ。
こんな調子だ。
家の名前より、そんな言い方するパパさんの方がよっぽどお茶目だ。
というより幼稚だ。
大丈夫なんかパパさん、いい歳こいてそんなに幼稚で。
「はいはい。 田原さんちの白いお城、田原さんちの白いお城」
ママさんの投げやりな反応だ。
「パパちゃんの白いお城って言ったら。 パパちゃんの・シ・ロ・イ・オ・シ・ロ」
美琴はもっとだ。
二人とももうチッと愛着持った方がいいんじゃねぇか。
住めば都って言うじゃねぇか、住めば都って。
確かに、不便は不便なんだけどもょ。
ま、猫の俺様には関係ねぇか。
だが、ママさんも美琴もパパさんがいない時はそうは言わない。
こうだ!!
『バイアグラ・ハウス』
バイアグラ・ハウスか~。
そんな名前で呼んじゃ、家が可哀そうじゃねぇか~、この家が~。
そして、この家に関していうならパパさんの味方はアリスだヶだ。
もっともそのアリスも、田原さんちの白いお城とは言わない。
夢見る夢子の夢見るアリスは、夢見る夢子の夢見るアリスらしい名前を付けている。
そう、その名も・・・
『アリスのお家』
第八話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第七話
2017-01-30
第七話
良し!!
ミルクも飲んだ、ウンチも済んだ。
さぁ、公園でも行ってくっとすっか。
メリーちゃん待っててね~、今行くからね~。
「あら、ポチ」
「にゃー」 (何だいママさん)
「又、公園行くのね? メリーちゃんに会いに」
う!?
マ、ママさん知ってたんか。
「駄目よ、エッチな事しちゃ」
エ、エッチな事って。
そ、そんなにハッキリ言うんじゃねーよママさん。
は、恥ずかしいじゃねーか。
「メリーちゃんは山田さんご自慢の血統書付き猫なんだからね」
知ってるよ、そん位。
「オマエは捨てられてた雑種。 それも生ゴミと一緒に」
え!?
な、何!?
生ゴミと一緒に!?
俺様、生ゴミと一緒に捨てられてたんか?
つー事はゴミ捨て場にか?
なんてこったい!?
「だからメリーちゃんに変な事しちゃダメなのょ。
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
なのょ。 分かったわね?」
お!?
それってママさん聞き捨てなんねーな。
そういうのキャベツ じゃなくって 差別って言うんじゃねーのか、サー、ベー、ツー。
人権団体に訴えられんぞ、ママさん。
って、忘れてた。
俺様、猫だった。
猫にゃ人権はねーよな、人権は。
チッキショー!!
悔しいぜ。
「それと花壇にウンチしちゃ駄目ょ」
え!?
そ、それも知ってたんか。
でもょーママさん、いいんじゃねーかウンチは。
肥やしじゃん。
な。
肥やし。
「まぁ、オマエがしたんじゃないとは思うヶど」
俺様だょ。
チョッと我慢出来なくってさぁ、やっちまったんょ~。
でもょーママさん。
肥やしじゃん。
な。
肥やし。
かー、だー、んー、のー、こー、やー、し~~~。
だから良(い)いんじゃねぇーかぁ、チョッとぐれぇ。
「此間(こないだ)、子供が踏んだって問題になってたからねぇ」
え!?
そ、そうかぁ、そういう事があったんかぁ。
いくなかったぜー。
「だから駄目よ、ウンチしちゃ」
うん。
分かったよママさん。
もうしねぇょ。
っていうかぁ、しねぇようにするぜ。
「な~んて、猫のオマエに言ってもムダょね。
つー、まー、りー、・・・
『無駄ーーー!! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
ょね」
ムダじゃねーょ。
「分かる訳ないもんね」
それが分かるんだょな~、ママさん。
ナゼか。
ナゼだ?
「さぁ、行っといで」
『さぁ、行っといで』 って、ママさん。
チョッと心配んなっちまったじゃねーか。
も一遍ウンチしてからにしよっと。
我輩のトイレ位置は・・・。
ここで簡単に田原家の間取りを紹介しておこう。
二階は前にも言ったが六畳、六畳、四畳半だ。
一階は十畳位の立派なキッチン付きのリビングダイニング。
L字型だ。
それに玄関、階段、バス、トイレ、洗面所がある。
玄関は吹き抜けになっている。
ここを上手にリフォームすれば二階にもトイレが出来そうだ。
それと小さい床の間付きの八畳の和室。
これは普段使ってはいない。
客間にしているからだ。
その名も 『客の間』。
そのまんまだ。
名付けの親はパパさんだ。
お茶目なパパさんが、お茶目に付けたと威張っていたが、どこがお茶目か分からない。
どこだ?
ん?
どこがお茶目だ?
教えてくれ。
ん?
どこだ?
そしてリビングの端っこに我輩のトイレがある。
さ~。
ウンチだウンチだ、ウンチしよっと。
第七話 完
良し!!
ミルクも飲んだ、ウンチも済んだ。
さぁ、公園でも行ってくっとすっか。
メリーちゃん待っててね~、今行くからね~。
「あら、ポチ」
「にゃー」 (何だいママさん)
「又、公園行くのね? メリーちゃんに会いに」
う!?
マ、ママさん知ってたんか。
「駄目よ、エッチな事しちゃ」
エ、エッチな事って。
そ、そんなにハッキリ言うんじゃねーよママさん。
は、恥ずかしいじゃねーか。
「メリーちゃんは山田さんご自慢の血統書付き猫なんだからね」
知ってるよ、そん位。
「オマエは捨てられてた雑種。 それも生ゴミと一緒に」
え!?
な、何!?
生ゴミと一緒に!?
俺様、生ゴミと一緒に捨てられてたんか?
つー事はゴミ捨て場にか?
なんてこったい!?
「だからメリーちゃんに変な事しちゃダメなのょ。
つー、まー、りー、・・・
『駄目ーーー!! 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
なのょ。 分かったわね?」
お!?
それってママさん聞き捨てなんねーな。
そういうのキャベツ じゃなくって 差別って言うんじゃねーのか、サー、ベー、ツー。
人権団体に訴えられんぞ、ママさん。
って、忘れてた。
俺様、猫だった。
猫にゃ人権はねーよな、人権は。
チッキショー!!
悔しいぜ。
「それと花壇にウンチしちゃ駄目ょ」
え!?
そ、それも知ってたんか。
でもょーママさん、いいんじゃねーかウンチは。
肥やしじゃん。
な。
肥やし。
「まぁ、オマエがしたんじゃないとは思うヶど」
俺様だょ。
チョッと我慢出来なくってさぁ、やっちまったんょ~。
でもょーママさん。
肥やしじゃん。
な。
肥やし。
かー、だー、んー、のー、こー、やー、し~~~。
だから良(い)いんじゃねぇーかぁ、チョッとぐれぇ。
「此間(こないだ)、子供が踏んだって問題になってたからねぇ」
え!?
そ、そうかぁ、そういう事があったんかぁ。
いくなかったぜー。
「だから駄目よ、ウンチしちゃ」
うん。
分かったよママさん。
もうしねぇょ。
っていうかぁ、しねぇようにするぜ。
「な~んて、猫のオマエに言ってもムダょね。
つー、まー、りー、・・・
『無駄ーーー!! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
ょね」
ムダじゃねーょ。
「分かる訳ないもんね」
それが分かるんだょな~、ママさん。
ナゼか。
ナゼだ?
「さぁ、行っといで」
『さぁ、行っといで』 って、ママさん。
チョッと心配んなっちまったじゃねーか。
も一遍ウンチしてからにしよっと。
我輩のトイレ位置は・・・。
ここで簡単に田原家の間取りを紹介しておこう。
二階は前にも言ったが六畳、六畳、四畳半だ。
一階は十畳位の立派なキッチン付きのリビングダイニング。
L字型だ。
それに玄関、階段、バス、トイレ、洗面所がある。
玄関は吹き抜けになっている。
ここを上手にリフォームすれば二階にもトイレが出来そうだ。
それと小さい床の間付きの八畳の和室。
これは普段使ってはいない。
客間にしているからだ。
その名も 『客の間』。
そのまんまだ。
名付けの親はパパさんだ。
お茶目なパパさんが、お茶目に付けたと威張っていたが、どこがお茶目か分からない。
どこだ?
ん?
どこがお茶目だ?
教えてくれ。
ん?
どこだ?
そしてリビングの端っこに我輩のトイレがある。
さ~。
ウンチだウンチだ、ウンチしよっと。
第七話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第六話
2017-01-30
第六話
「じゃ、ママ行って来るよ」
「はい。 行ってらっしゃい」
「おい、ポチ!! しっかり留守番するんだぞ、良いな!? ママに悪い虫が付かないようにだぞ、分かったな!? 何つってもママ美人だからな~。 パパちゃん心配~ィ。 ナンチャッテ、ナンチャッテ、ナンチャッテ。 ワハハハハハ」
「もう、パパったら。 遅刻するでしょ。 早く行きなさい」
「は~い、ママー。 じゃぁなポチ、しっかり頼むぞ、しっかりな。 うん。 ワハハハハハ」
「にゃー」 (分かったよ、パパさん。 心配いらね~ょ)
しっかし、パパさんいい歳こいてデレデレと。
見~ちゃいらんねーぜ、デレデレと。
でもょ~。
気持ち分かんねーでもねえょな~。
何つっても、ママさん美人だからな~。
スタイルいいし、ボインボインだし、肌なんかツベツベだし。
とっても45にゃ見えねーぜ。
25歳で通用すんじゃねーか。
ま、俺様にゃどうでも良い事なんだけどょ。
それよっか、まぁ、慌しいひと時だったぜ。
もう、ヘットヘト。
一日終わった気分だ。
今何時だ?
7時半かぁ。
アリスの 『ウリウリウリー』 が確か6時頃だったょな、確か。
つー事は1時間半。 たったの1時間半!?
おいおい、こんな凄いドラマがたったの1時間半で起こる家なんて他に有るのかょ。
普通ねーんじゃねーか、普通。
慌しくったってもうチットのどかだろぅ。
でもな~。
パパさんの “お漏らし” は別にしても、ここじゃ毎日(まいんち)こうだもんなぁ、ほとんど毎日(まいんち)。
つまり田原家お得意、朝の恒例行事。
まぁ、一言で言うなら何だぁ。
『田原家今日も正常運転』
ってか?
さ!?
ミルクも飲んだことだし俺様も出掛けるとするか。
何処へかって?
決まってるじゃん。
隣の公園ょ、と、な、り、の、こ、う、え、ん。
当田原家には、道を挟んで反対側にチョッとした公園がある。
そこが我輩の遊び場だ。
そこの花壇が我輩の臨時のトイレだ。
ウンチだって出来る。
勿論、ちゃんとしたトイレは田原家の中にある。
俺様専用のトイレがな。
だから公園の花壇は臨時のトイレだ。
そしてその公園はJR中央線の某駅から歩いて20分位の所に有る。
周りは閑静な住宅街だ。
しかし、これ以上は言えない。
今は個人情報保護のうるさい時代だからな。
三軒先の山田さん家の三毛猫メリーちゃん今日も来てっかなぁ?
第六話 完
「じゃ、ママ行って来るよ」
「はい。 行ってらっしゃい」
「おい、ポチ!! しっかり留守番するんだぞ、良いな!? ママに悪い虫が付かないようにだぞ、分かったな!? 何つってもママ美人だからな~。 パパちゃん心配~ィ。 ナンチャッテ、ナンチャッテ、ナンチャッテ。 ワハハハハハ」
「もう、パパったら。 遅刻するでしょ。 早く行きなさい」
「は~い、ママー。 じゃぁなポチ、しっかり頼むぞ、しっかりな。 うん。 ワハハハハハ」
「にゃー」 (分かったよ、パパさん。 心配いらね~ょ)
しっかし、パパさんいい歳こいてデレデレと。
見~ちゃいらんねーぜ、デレデレと。
でもょ~。
気持ち分かんねーでもねえょな~。
何つっても、ママさん美人だからな~。
スタイルいいし、ボインボインだし、肌なんかツベツベだし。
とっても45にゃ見えねーぜ。
25歳で通用すんじゃねーか。
ま、俺様にゃどうでも良い事なんだけどょ。
それよっか、まぁ、慌しいひと時だったぜ。
もう、ヘットヘト。
一日終わった気分だ。
今何時だ?
7時半かぁ。
アリスの 『ウリウリウリー』 が確か6時頃だったょな、確か。
つー事は1時間半。 たったの1時間半!?
おいおい、こんな凄いドラマがたったの1時間半で起こる家なんて他に有るのかょ。
普通ねーんじゃねーか、普通。
慌しくったってもうチットのどかだろぅ。
でもな~。
パパさんの “お漏らし” は別にしても、ここじゃ毎日(まいんち)こうだもんなぁ、ほとんど毎日(まいんち)。
つまり田原家お得意、朝の恒例行事。
まぁ、一言で言うなら何だぁ。
『田原家今日も正常運転』
ってか?
さ!?
ミルクも飲んだことだし俺様も出掛けるとするか。
何処へかって?
決まってるじゃん。
隣の公園ょ、と、な、り、の、こ、う、え、ん。
当田原家には、道を挟んで反対側にチョッとした公園がある。
そこが我輩の遊び場だ。
そこの花壇が我輩の臨時のトイレだ。
ウンチだって出来る。
勿論、ちゃんとしたトイレは田原家の中にある。
俺様専用のトイレがな。
だから公園の花壇は臨時のトイレだ。
そしてその公園はJR中央線の某駅から歩いて20分位の所に有る。
周りは閑静な住宅街だ。
しかし、これ以上は言えない。
今は個人情報保護のうるさい時代だからな。
三軒先の山田さん家の三毛猫メリーちゃん今日も来てっかなぁ?
第六話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第五話
2017-01-30
第五話
「あ~、スキッリした」
お!?
パパさん風呂から出て来たぞ。
「あら、パパどしたの? 裸で腰にバスタオルなんか巻いて。 それに頭濡れてるじゃない」
「あぁ、チョッとな。 うん、チョッとシャワーをな。 うん。 トイレで気張ったら汗かいちゃってな。 だからチョッとシャワーをな。 うん。 チョッとシャワーを」
ククククク。
苦しい嘘を。
でも良かったなパパさん、ママさん気が付かなかったみたいで。
トイレからでた時、パパさんのパジャマあんなに臭かったのにな。
「いゃー、トイレと比べてここは冷房が効いてて、快適快適。 やっぱリビングはこうでなくっちゃな。 うん。 しっかし今年の夏は暑い。 もう8月も半ば近いのにこの暑さだ」
それは言える。
確かに今年の夏は暑い。
今年とは平成18年だ。
「パパは人一倍暑がりだから、なお更ね」
「あぁ」
「ところでパパ。 汚れた下着は?」
「うん、洗濯機に入れた」
「パジャマは?」
お!?
雲行きが。
パパさん大丈夫か、雲行きが怪しくなって来たぞ。
「え!? パジャマ」
「そ、パジャマ」
「・・・。 パ、パジャマも洗濯機。 チョ、チョッと汚れてたからな~。 うん」
「汚れてた? 変ね。 昨夜取り替えたばっかりなのにねぇ」
「え!? そ、そうなんだけどさ~。 ・・・。 あ、ほら、昨夜暑かったじゃないか、な。 だから寝汗かいちまってさ~。 汗びっしょ。 な、だから、うん。 そう、そういう事」
「フ~ン。 寝汗ね~。 昨夜、冷房効かせ過ぎて毛布被って寝てた人がいたような、いないような」
あ~ぁ、駄目だこりゃ。
ママさんの目見てみろ、笑ってるぞ。
どうするパパさん、完全にばれてるぞ。
寝汗かいたなんて言わねーで、トイレで汗びっしょで押し通しゃ良かったものを。
こういうのを自爆って言うんか?
それにしてもママさん、性格悪くねーか。 チクチクと。
「いや、その、だからな。 その~。 ・・・。 あ、そうそう、寝汗もそうなんだがな、夜トイレに起きた時にさ~、喉渇いちゃってさ~。 ジュース飲んだんだょ、ジュース。 そん時ジュースこぼしちゃってさ~。 胸にばっちりジュースのしみが。 うん」
「『胸にばっちりジュースのしみが』。 フ~ン。 そんなのあったかしらねぇ。 気が付かなかったな~」
「あ、あったんだょ。 ママが気付かなかっただヶで。 うん、そう、あったんだょ」
「フ~ン。 お尻にはあったような、なかったような」
「う!? ・・・」
プププププ。
も、もう駄目だ。
き、聞いちゃらんねー。
ククククク。
諦めろパパさん。
パパさんの勝てるような相手じゃない。
分かってた事だヶど。
考えてみりゃ~。 猫の俺様にも分かっちまう事が、しっかり者のママさんに分かんないはずねぇんだょな~。
甘かったぜ、俺様も。
「い、否! そんな事はない!! む、胸だ!? た、確かに胸にあったんだ!? 確かに胸にばっちりジュースの印!? なんちゃってなんちゃって」
お!?
パパさん開き直ってやんの。
子供だね~、全く。
「まさかその、 『確かに胸にばっちりジュースの印!? なんちゃってなんちゃって』 とやらを、そのまんま洗濯機に入れたんじゃないでしょうね」
「そ、そのまんま入れる訳ないだろー。 あんな汚い物」
「あんな汚い物?」
あ~ぁ、とうとう語るに落ちたか。
「い、いゃ。 ジュ、ジュースの印だジュースの印。 綺麗ーに綺麗ーに洗ってから入れたぞ。 跡形もない位、綺麗ーに洗ってからな」
「そう、だったら良いのょ。 それならね。 それよりパパ、早くしないと遅刻ょ」
「おぅおぅ。 そうだったそうだった。 遅刻だ遅刻だ。 急がねば」
いょっ、ママさん大人だねぇ。
この勝負ママさんの勝ちー。
って分かってた事なんだヶど。
それからが大変だ。
第二波が来て、パパさん慌ててトイレに飛び込む。
今度は大丈夫だったが、何時第三波がくるか分からない。
チョッと心配だ。
しかし、本人は全く気にしてない様子だ。
のんびりした性格とは裏腹に着替えは素早い。
この辺はアリスと全く一緒だ。
やっぱアリスはパパさんの子だったんだな~。 そう思う。
しっかし、スーツ姿のパパさんか~。
背が高いから押し出しが立派だ。
加えてハンサムだ。
映画スターみたいだ。
だが、さっきお漏らししたヤツだ。
パパさん、会社で粗相(そそう)すんじゃねーぞ~。
こんなパパさんだが、ママさんにとっては頼もしい人なのかも知れない。
「じゃ、ママ行って来るょ。 はい。 行ってらっしゃいのチューは? チュー!! チューしてくんなきゃ、ヤダー。 僕ちゃんチューして欲しいょー。 チュー」
「しょうがない人ねぇ。 はい、チュッ」
否、
ママさんにとってパパさんは・・・第3番目の子であった。
第五話 完
「あ~、スキッリした」
お!?
パパさん風呂から出て来たぞ。
「あら、パパどしたの? 裸で腰にバスタオルなんか巻いて。 それに頭濡れてるじゃない」
「あぁ、チョッとな。 うん、チョッとシャワーをな。 うん。 トイレで気張ったら汗かいちゃってな。 だからチョッとシャワーをな。 うん。 チョッとシャワーを」
ククククク。
苦しい嘘を。
でも良かったなパパさん、ママさん気が付かなかったみたいで。
トイレからでた時、パパさんのパジャマあんなに臭かったのにな。
「いゃー、トイレと比べてここは冷房が効いてて、快適快適。 やっぱリビングはこうでなくっちゃな。 うん。 しっかし今年の夏は暑い。 もう8月も半ば近いのにこの暑さだ」
それは言える。
確かに今年の夏は暑い。
今年とは平成18年だ。
「パパは人一倍暑がりだから、なお更ね」
「あぁ」
「ところでパパ。 汚れた下着は?」
「うん、洗濯機に入れた」
「パジャマは?」
お!?
雲行きが。
パパさん大丈夫か、雲行きが怪しくなって来たぞ。
「え!? パジャマ」
「そ、パジャマ」
「・・・。 パ、パジャマも洗濯機。 チョ、チョッと汚れてたからな~。 うん」
「汚れてた? 変ね。 昨夜取り替えたばっかりなのにねぇ」
「え!? そ、そうなんだけどさ~。 ・・・。 あ、ほら、昨夜暑かったじゃないか、な。 だから寝汗かいちまってさ~。 汗びっしょ。 な、だから、うん。 そう、そういう事」
「フ~ン。 寝汗ね~。 昨夜、冷房効かせ過ぎて毛布被って寝てた人がいたような、いないような」
あ~ぁ、駄目だこりゃ。
ママさんの目見てみろ、笑ってるぞ。
どうするパパさん、完全にばれてるぞ。
寝汗かいたなんて言わねーで、トイレで汗びっしょで押し通しゃ良かったものを。
こういうのを自爆って言うんか?
それにしてもママさん、性格悪くねーか。 チクチクと。
「いや、その、だからな。 その~。 ・・・。 あ、そうそう、寝汗もそうなんだがな、夜トイレに起きた時にさ~、喉渇いちゃってさ~。 ジュース飲んだんだょ、ジュース。 そん時ジュースこぼしちゃってさ~。 胸にばっちりジュースのしみが。 うん」
「『胸にばっちりジュースのしみが』。 フ~ン。 そんなのあったかしらねぇ。 気が付かなかったな~」
「あ、あったんだょ。 ママが気付かなかっただヶで。 うん、そう、あったんだょ」
「フ~ン。 お尻にはあったような、なかったような」
「う!? ・・・」
プププププ。
も、もう駄目だ。
き、聞いちゃらんねー。
ククククク。
諦めろパパさん。
パパさんの勝てるような相手じゃない。
分かってた事だヶど。
考えてみりゃ~。 猫の俺様にも分かっちまう事が、しっかり者のママさんに分かんないはずねぇんだょな~。
甘かったぜ、俺様も。
「い、否! そんな事はない!! む、胸だ!? た、確かに胸にあったんだ!? 確かに胸にばっちりジュースの印!? なんちゃってなんちゃって」
お!?
パパさん開き直ってやんの。
子供だね~、全く。
「まさかその、 『確かに胸にばっちりジュースの印!? なんちゃってなんちゃって』 とやらを、そのまんま洗濯機に入れたんじゃないでしょうね」
「そ、そのまんま入れる訳ないだろー。 あんな汚い物」
「あんな汚い物?」
あ~ぁ、とうとう語るに落ちたか。
「い、いゃ。 ジュ、ジュースの印だジュースの印。 綺麗ーに綺麗ーに洗ってから入れたぞ。 跡形もない位、綺麗ーに洗ってからな」
「そう、だったら良いのょ。 それならね。 それよりパパ、早くしないと遅刻ょ」
「おぅおぅ。 そうだったそうだった。 遅刻だ遅刻だ。 急がねば」
いょっ、ママさん大人だねぇ。
この勝負ママさんの勝ちー。
って分かってた事なんだヶど。
それからが大変だ。
第二波が来て、パパさん慌ててトイレに飛び込む。
今度は大丈夫だったが、何時第三波がくるか分からない。
チョッと心配だ。
しかし、本人は全く気にしてない様子だ。
のんびりした性格とは裏腹に着替えは素早い。
この辺はアリスと全く一緒だ。
やっぱアリスはパパさんの子だったんだな~。 そう思う。
しっかし、スーツ姿のパパさんか~。
背が高いから押し出しが立派だ。
加えてハンサムだ。
映画スターみたいだ。
だが、さっきお漏らししたヤツだ。
パパさん、会社で粗相(そそう)すんじゃねーぞ~。
こんなパパさんだが、ママさんにとっては頼もしい人なのかも知れない。
「じゃ、ママ行って来るょ。 はい。 行ってらっしゃいのチューは? チュー!! チューしてくんなきゃ、ヤダー。 僕ちゃんチューして欲しいょー。 チュー」
「しょうがない人ねぇ。 はい、チュッ」
否、
ママさんにとってパパさんは・・・第3番目の子であった。
第五話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第四話
2017-01-29
第四話
「さ、トイレでも行くとするか」
「待ってパパ、アタシが先」
「『アタシが先』 って、なぁー美琴」
「駄目ょ、パパ。 アタシが先」
「パパ、行きたいんだょ」
「大きいほうでしょ?」
「あぁ」
「だったら絶対、アタシが先」
「何で?」
「だって、パパが入った後、10分以上待たないと入れないから。 臭くて」
「『臭くて』 って、換気扇まわしゃいいじゃないか。 そんなの」
「回して10分なの」
(バタン!!)
「ちぇっ、先に入られたか~。 なんてヤツだ親不孝もんめ。 誰に似たんだー? 全く」
「アナタ」
お!?
出ました。
田原家お家芸。
「誰に似たんだ?」
「アナタ」
本日も絶好調。
いゃ~、朝から期待を裏切りませんな~。
楽しい家族だ。
でもょ、パパさん。
パパさんのトイレ、ホント臭いんだぜ。
幸か不幸かこの俺様もパパさんがトイレから出てきた瞬間に何度か遭遇したが、その臭さといったらアンタ、そりゃぁ、もう・・・。
お!?
パパさん顔色悪(わり)ぃぞ!!
どしたんだ?
何か変だぞ。
(ドンドンドンドンドン・・・)
トイレのドア叩き出したぞ。
「頼む、美琴。 は、早く出てくれ!! パパもお前が着替えてる時ミルク飲んでだなー、チョッと腹に来てんだ。 ポチにねだられんの嫌で一気飲みしてだなー」
な、何ぃー!?
そ、そういうヤツだったんか、パパさんは・・・。
苦しめ~、もっと苦しめ~。
祟りジャー、ミルクの祟りジャー。
「た、頼む、美琴。 は、早くしてくれー!!」
ヤバッ!!
パパさん、顔、青ざめたぞ。
も、もういいだろ美琴、早く出てやれ。
パパさんやばいぞ、かなりやばいぞ。
「た、頼む、美琴~。 た、頼む~。 マ、ママからも言ってくれ」
「美琴~。 早く出てあげなさいー、パパ我慢出来ないって~」
俺からも言ってやるぞ。
美琴~、早く出てやれ。
パパさん死ぬぞ。
死んだらオメェが犯人だ。
(ガチャ!!)
「あーあーあー。 トイレもゆっくり入れねーのか~。 ったく。 ホレ、パパ出たよ」
「どけ、美琴ー!!」
(バタン!!)
「まぁまぁパパったら。 美琴、突き飛ばして」
「ママー。 この家新築するなり、リフォームで2階にトイレ作るかして。 でないと毎日これだょ」
「そうねぇ」
俺様としては新築がいいと思うぞ、俺様の遊び場作ってくれんなら。
ところでママさん気付いてたかぁ?
パパさんの顔。
美琴がドア開ける直前。
パパさん “ヘブンなお顔” になってたぞ。
小声で 『ぁ、ぁ~』 ともって言ってたぞ。
ガンガレ、パパさん!!
「ママ、ちゃんと考えといてね。 行ってきまーす」
「はい、行ってらっしゃい」
おい、美琴!!
俺様にゃぁ 『行ってきまーす』 はねえのか、俺様にゃぁ?
あ~ぁ、行っちまいやがった。
俺様には挨拶なしか、なんてヤツだ。
美琴は知らない。
この朝、究極奥義 『超・親不肛門(おやふこうもん)』 を放った事を。
それにママさんは知っていたのだろうか?
パパさんがトイレから出た後、そっとシャワーを浴びに行った事を。
第四話 完
「さ、トイレでも行くとするか」
「待ってパパ、アタシが先」
「『アタシが先』 って、なぁー美琴」
「駄目ょ、パパ。 アタシが先」
「パパ、行きたいんだょ」
「大きいほうでしょ?」
「あぁ」
「だったら絶対、アタシが先」
「何で?」
「だって、パパが入った後、10分以上待たないと入れないから。 臭くて」
「『臭くて』 って、換気扇まわしゃいいじゃないか。 そんなの」
「回して10分なの」
(バタン!!)
「ちぇっ、先に入られたか~。 なんてヤツだ親不孝もんめ。 誰に似たんだー? 全く」
「アナタ」
お!?
出ました。
田原家お家芸。
「誰に似たんだ?」
「アナタ」
本日も絶好調。
いゃ~、朝から期待を裏切りませんな~。
楽しい家族だ。
でもょ、パパさん。
パパさんのトイレ、ホント臭いんだぜ。
幸か不幸かこの俺様もパパさんがトイレから出てきた瞬間に何度か遭遇したが、その臭さといったらアンタ、そりゃぁ、もう・・・。
お!?
パパさん顔色悪(わり)ぃぞ!!
どしたんだ?
何か変だぞ。
(ドンドンドンドンドン・・・)
トイレのドア叩き出したぞ。
「頼む、美琴。 は、早く出てくれ!! パパもお前が着替えてる時ミルク飲んでだなー、チョッと腹に来てんだ。 ポチにねだられんの嫌で一気飲みしてだなー」
な、何ぃー!?
そ、そういうヤツだったんか、パパさんは・・・。
苦しめ~、もっと苦しめ~。
祟りジャー、ミルクの祟りジャー。
「た、頼む、美琴。 は、早くしてくれー!!」
ヤバッ!!
パパさん、顔、青ざめたぞ。
も、もういいだろ美琴、早く出てやれ。
パパさんやばいぞ、かなりやばいぞ。
「た、頼む、美琴~。 た、頼む~。 マ、ママからも言ってくれ」
「美琴~。 早く出てあげなさいー、パパ我慢出来ないって~」
俺からも言ってやるぞ。
美琴~、早く出てやれ。
パパさん死ぬぞ。
死んだらオメェが犯人だ。
(ガチャ!!)
「あーあーあー。 トイレもゆっくり入れねーのか~。 ったく。 ホレ、パパ出たよ」
「どけ、美琴ー!!」
(バタン!!)
「まぁまぁパパったら。 美琴、突き飛ばして」
「ママー。 この家新築するなり、リフォームで2階にトイレ作るかして。 でないと毎日これだょ」
「そうねぇ」
俺様としては新築がいいと思うぞ、俺様の遊び場作ってくれんなら。
ところでママさん気付いてたかぁ?
パパさんの顔。
美琴がドア開ける直前。
パパさん “ヘブンなお顔” になってたぞ。
小声で 『ぁ、ぁ~』 ともって言ってたぞ。
ガンガレ、パパさん!!
「ママ、ちゃんと考えといてね。 行ってきまーす」
「はい、行ってらっしゃい」
おい、美琴!!
俺様にゃぁ 『行ってきまーす』 はねえのか、俺様にゃぁ?
あ~ぁ、行っちまいやがった。
俺様には挨拶なしか、なんてヤツだ。
美琴は知らない。
この朝、究極奥義 『超・親不肛門(おやふこうもん)』 を放った事を。
それにママさんは知っていたのだろうか?
パパさんがトイレから出た後、そっとシャワーを浴びに行った事を。
第四話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第三話
2017-01-29
第三話
「あーあー。 うるせーな~。 朝っぱらから~。 ポチがどしたって~。 ポチが~」
いよいよ田原家最後の家族の登場だ。
名前は 『美琴(みこと)』 16歳。
現役女子高生だ。
はっきり言って超美人だ。
加えて八頭身のボインボインでもある。
更に成績優秀ときている。
トップクラスらしい。
それも都内有数の名門校の。
性格は姉のアリスとは全く逆で気が強い上に几帳面だ。
美琴がどういうヤツかは我輩に対する態度を見れば追々分かって頂ける事と思う。
が!?
断言しよう。
この美琴ってヤツは、超ーーーーー!!!!! やなヤツだ。
そしてコイツが二階の四畳半の住人だ。
ちなみに六畳の和室はパパさんとママさんが使っている。
「おう、美琴か。 いや、何、な~。 うん、チョッとな~。 うん、チョッとだ。 ワハハハハハ」
「『うん、チョッとな~。 うん、チョッとだ』 じゃないでしょう。 もう、パパったらポチにオナラかけたのょ」
な、何ー!?
オ、オナラかけたってー!?
こ、この俺様に、パパさんがー!?
パパさんがこの俺様に屁かけたってかー!?
ホントかー、それ~?
「そ、れ、が、またー、臭かったのょ~。 可哀そうにポチったら、もろにかけられたもんだからさ。 気絶しちゃってね」
「・・・」
「いや、なに、何だ~。 そのな、うん。 昨夜(ゆんべ)焼肉食っちまったもんからな、うん。 ワハハハハハ。 焼肉砲って訳だ。 ワハハハハハ。 うん、これは効く。 うん、これは」
チ、チッキショー!!
なんてこったい!!
「最低」
「さ、最低って。 オマエ・・・」
おぅ。
そうだそうだ美琴。
もっと言ってやれ、もっと。
お、何だ?
美琴のヤツこっちに来るぞ。
しゃがんで俺様を指差したぞ。
何する気だ?
「おぅおぅ、ポチ」
何だょ?
「気絶したってか~?」
らし~な。
悪(わり)ぃかよ。
「何で死なねんだ?」
え!?
『な、何で死なねんだ?』って・・・。
オ、オメェ、何気(なにげ)にスゲー事、軽~く言うな。
「死にゃ良かったんだ。 こんなバカ猫」
・・・。 (こ、言葉が、言葉が出ねーえ)
「大体、アタシは猫が大っ嫌いなんだょ。 お姉ちゃんと違って」
俺様もオメェが大っ嫌いだょ~。
「ったく、お姉ちゃんもお姉ちゃんだ。 こんなバカ猫拾って来るから、飼わなきゃなんなくなっちゃて」
え!?
お、俺様、拾われて来たんか?
初めて聞いたぞ、そんな話。
「今更そんな事言ってもしょうがないでしょ」
「だってママ。 コイツ、ほ~~~んと可愛くないだもん」
「アリスは可愛いって言ってるぞ」
「パパは黙ってて」
「パパも可愛いと思うがなぁ。 屁もかけられるし」
「だからパパは黙ってて!!」
「はいはい」
「そんな事より美琴、ご飯どうするの? 早く着替えてらっしゃいパジャマのまんまじゃない」
「は~い」
「ご飯にする。 パンがいい?」
「パン」
お!?
パンって言ったぞ。
つーことは、ミルクが出るじゃねーか、ミルクが。
良~し、ここは一つ美琴に甘えるとするか。
嫌だヶど。
ヨッシャ―!!
美琴に続け。
部屋のドア閉める前に入んなきゃ。
(ガチャ!!)
オットー!?
危うくセーフ。
「お!? 何だポチ。 オマエいつの間に人の部屋入ったんだ」
オメェと一緒にじゃねぇか、気が付かなかったんか。
しっかし、オメェほんとスタイル好いな~。
美琴は身長165cmはある、多分。
ママさんもその位ある。
パパさんは180cmを超える大男だ。
しかし、理由は分からないがアリスは148cmしかない。
ナゼだ?
「こら!! バカ猫。 あたしの着替えるとこ見てたのか。 このスケベ猫」
あぁ、見てたよ。
それがどーした。
しっかし、オメェそのみじけぇスカート何とかなんねぇのか?
パンツ見えちまうじゃねぇか。
今日は白か。
ベージュの方が汚れ目立たなくって良いんじゃねぇか。
ま、どうでもいい事なんだけどょ。
お!?
何だ?
真っ黒いパンツ箪笥から出したぞ。
「おい、ポチ。 これ知ってるか? これ」
知らねぇよ。
「これはブルマーっていってだな~。 パパみたいなスケベ親父にスカート覗かれてもだな~。 下着見られないために穿くもんなんだょ」
へ~、ブルマー?
そうか、そんな物が有ったんかぁ。
知らなかったぞ。
コイツも結構考えてるじゃねぇか。
しっかし、階段かなんかで下から見上げて 『見えたー!!』 と思ったら 『真っ黒ブルマーこんにちわ』 ってか。
クククククク。
ガッカリするオッサン達の顔が目の前にちらつくぜ。
クククククク。
オットー!?
忘れてたぞ、こいつに甘えんの。
「ニャー」
「な、なんだょ急に人の足に擦り寄って。 気ん持ち悪(わり)ぃな~。 外出ろ、外」
「フミャー」 (こら!? ドア開けて俺様を蹴り出すんじゃねー)
「美琴~。 仕度出来たわよ~。 何してんの~、早くしなさ~い」
「は~い」
「どけポチ。 邪魔なんだよ」
「フミャ」 (チッキショー、俺様の体を足で払うんじゃねぇ)
コイツほんとにアリスの妹か~?
それにしちゃ性格悪(わり)ぃな。
ま、階段駆け下りるとこなんか似てるっちゃ似てるか。
ところで諸君は疑問に思わんかな。
ナゼ、姉の名前が洋風の 『アリス』 で、妹が純和風の 『美琴』 かって?
実際、我輩にも良くは分からないのだが。
何でも、ママさんがルイス・キャロルの “鏡の国のアリス” が好きで、女の子なら 『アリス』、男の子なら 『ジャヴァウォック』(“鏡の国のアリス” に出てくる変なヤツ)にしたかったらしい。
でもょ~、女の子で良かったょな~、女の子で。
もし、アリスが男の子だったらジャヴァウォックだったんだぜ、ジャヴァウォック。
その名もナント 『田原ジャヴァウォック』。
クククククク。
そんな名前付けられた日にゃ、アンタ。 反抗期んなったら 『金属バットこんにちわ』 間違いなしだわな、金属バットこんにちわ。
と。
まぁ、アリスは良いとして問題は美琴だ。
ママさんとしては上が 『アリス』 なだけに、下は 『アリサ』 とか 『アイリ』 といった名前にしたかったらしい。
ところが、何故かパパさんが異常に美琴にこだわったらしく、
「僕ちゃん、美琴が良いー!! 美琴がー!!」
とか何とか喚きながら床の上、仰向(あおむ)けんなって手足をバタつかせて半ば強引に決めたとの事だ。
まるで駄々っ子だぜー、駄々っ子。
普通、大人がやるか~、そんな事。
でもな~、パパさんお茶目だからな~。
やりそうな気もしないでもない。
っというよりパパさんならやりそうな気がする。
ウ~ム。
ちょっと怖い。
大方、初恋の相手かなんかの名前が美琴だったんでどうしても付けたかった。
まぁ、そんな所だろう。
ママさんも薄々感ずいているようだが、全く顔に出さない。
これも役者の違いか?
どう贔屓目(ひいきめ)に見てもパパさんが勝てるような相手じゃないからなぁ~、ママさんは。
オットー!?
こんな事してる場合じゃなかったぞー。
早くしないとミルクが無くなる、我輩の大好きなミルクが。
「お!? おー、ビックリした~!? な~んだ、ポチじゃねぇか。 何だ、いきなり? 人の足に体こすり付けてんじゃねーょ、ビックリすんだろう」
「ニャー」 (美琴~。 ミルクくれょー、ミルク~)
「なんだ、お前~。 急に愛想使って? 気ん持ち悪(わり)ぃな~」
「ン? これか、これ? ン? もしかしてお前ミルク欲しいのか? ン?」
「ニャー」 (うん、欲しいんだょミルク~)
「ホレッ。 ホレホレホレッ。 美味いぞー」
「ニャー」 (な~。 そんなじらさないで、くれょミルク~)
「ホレホレホレ」
「ニャーニャーニャー」
「ホレホレホレ」
「ニャーニャーニャー」
「ホレホレホレ。 って、やんねぇょ。 誰がやるかお前なんかに」
「ニャー」 (そ、そんな事言わねぇーで、くれょミルク。 な。 くれょ~)
「やーだょ。 おとつい来な。 あ~、うめっ」
あ!?
これ見よがしにゴクゴクと。
アァー!?
ぜ、全部飲みやがった、ゴクゴクと。
チッキショウー、何てヤツだ!!
下痢すんぞ。
「あー、美味かった~!?」
しっかし、オメぇってヤツぁ、ホ~~~ントやなヤツだな~。
オメェみてぇなヤツは電車ん中で体触られちめぇ、ギラギラ脂ぎったオッサンに。
チッキショー!!
「お。 何だポチ。 その反抗的な目は? ン? ミルクが欲しきゃお姉ちゃんにもらえ、お姉ちゃんに。 お前拾ってきたのお姉ちゃんなんだからな」
「まぁまぁ美琴。 そんな意地悪して。 いいわょ、ママがやるから。 ホラ、ポチおいで」
「ニャー」 (ヨッシャー、さすがママさん)
「でもなぁ、ママ。 ポチは煮干の頭食わん猫だからなぁ。 あんまり甘やかすのもなぁ」
「パパの言う通りー!!」
「ななな。 だろ? な。 そうだよな、美琴」
そ、そんな事言うんじゃねぇょ、パパさん。
ママさんの気が変わるじゃねぇか、ママさんの気が~。
「良いじゃないの、その位」
よっ。
さすがママさん。
話が分かる。
「誰だったかしらね~。 オナラでポチ気絶させたの」
「ン? ウ~ム。 まぁ、それもそうだな。 うん。 カレーライス砲も控えてる事だしな。 うん。 ま、いっか、ワハハハハハ」
「アハハハハハ。 もう、パパったら。 いい加減にしなさい。 アハハハハハ」
「最低」
「さ、最低って。 オマエ・・・」
何なんだ、コイツらのこの会話は。
ったくコイツら~ったら、この俺様を完璧なまでに玩具(おもちゃ)にしやがって。
なんてヤツらだ、全く。
少しは動物愛護の精神はねぇのかーーーーー!!!!!
「ポチ。 おいでミルクょ」
「ニャー」 (はーい、ママさん)
猫は記憶力が悪い。
第三話 完
「あーあー。 うるせーな~。 朝っぱらから~。 ポチがどしたって~。 ポチが~」
いよいよ田原家最後の家族の登場だ。
名前は 『美琴(みこと)』 16歳。
現役女子高生だ。
はっきり言って超美人だ。
加えて八頭身のボインボインでもある。
更に成績優秀ときている。
トップクラスらしい。
それも都内有数の名門校の。
性格は姉のアリスとは全く逆で気が強い上に几帳面だ。
美琴がどういうヤツかは我輩に対する態度を見れば追々分かって頂ける事と思う。
が!?
断言しよう。
この美琴ってヤツは、超ーーーーー!!!!! やなヤツだ。
そしてコイツが二階の四畳半の住人だ。
ちなみに六畳の和室はパパさんとママさんが使っている。
「おう、美琴か。 いや、何、な~。 うん、チョッとな~。 うん、チョッとだ。 ワハハハハハ」
「『うん、チョッとな~。 うん、チョッとだ』 じゃないでしょう。 もう、パパったらポチにオナラかけたのょ」
な、何ー!?
オ、オナラかけたってー!?
こ、この俺様に、パパさんがー!?
パパさんがこの俺様に屁かけたってかー!?
ホントかー、それ~?
「そ、れ、が、またー、臭かったのょ~。 可哀そうにポチったら、もろにかけられたもんだからさ。 気絶しちゃってね」
「・・・」
「いや、なに、何だ~。 そのな、うん。 昨夜(ゆんべ)焼肉食っちまったもんからな、うん。 ワハハハハハ。 焼肉砲って訳だ。 ワハハハハハ。 うん、これは効く。 うん、これは」
チ、チッキショー!!
なんてこったい!!
「最低」
「さ、最低って。 オマエ・・・」
おぅ。
そうだそうだ美琴。
もっと言ってやれ、もっと。
お、何だ?
美琴のヤツこっちに来るぞ。
しゃがんで俺様を指差したぞ。
何する気だ?
「おぅおぅ、ポチ」
何だょ?
「気絶したってか~?」
らし~な。
悪(わり)ぃかよ。
「何で死なねんだ?」
え!?
『な、何で死なねんだ?』って・・・。
オ、オメェ、何気(なにげ)にスゲー事、軽~く言うな。
「死にゃ良かったんだ。 こんなバカ猫」
・・・。 (こ、言葉が、言葉が出ねーえ)
「大体、アタシは猫が大っ嫌いなんだょ。 お姉ちゃんと違って」
俺様もオメェが大っ嫌いだょ~。
「ったく、お姉ちゃんもお姉ちゃんだ。 こんなバカ猫拾って来るから、飼わなきゃなんなくなっちゃて」
え!?
お、俺様、拾われて来たんか?
初めて聞いたぞ、そんな話。
「今更そんな事言ってもしょうがないでしょ」
「だってママ。 コイツ、ほ~~~んと可愛くないだもん」
「アリスは可愛いって言ってるぞ」
「パパは黙ってて」
「パパも可愛いと思うがなぁ。 屁もかけられるし」
「だからパパは黙ってて!!」
「はいはい」
「そんな事より美琴、ご飯どうするの? 早く着替えてらっしゃいパジャマのまんまじゃない」
「は~い」
「ご飯にする。 パンがいい?」
「パン」
お!?
パンって言ったぞ。
つーことは、ミルクが出るじゃねーか、ミルクが。
良~し、ここは一つ美琴に甘えるとするか。
嫌だヶど。
ヨッシャ―!!
美琴に続け。
部屋のドア閉める前に入んなきゃ。
(ガチャ!!)
オットー!?
危うくセーフ。
「お!? 何だポチ。 オマエいつの間に人の部屋入ったんだ」
オメェと一緒にじゃねぇか、気が付かなかったんか。
しっかし、オメェほんとスタイル好いな~。
美琴は身長165cmはある、多分。
ママさんもその位ある。
パパさんは180cmを超える大男だ。
しかし、理由は分からないがアリスは148cmしかない。
ナゼだ?
「こら!! バカ猫。 あたしの着替えるとこ見てたのか。 このスケベ猫」
あぁ、見てたよ。
それがどーした。
しっかし、オメェそのみじけぇスカート何とかなんねぇのか?
パンツ見えちまうじゃねぇか。
今日は白か。
ベージュの方が汚れ目立たなくって良いんじゃねぇか。
ま、どうでもいい事なんだけどょ。
お!?
何だ?
真っ黒いパンツ箪笥から出したぞ。
「おい、ポチ。 これ知ってるか? これ」
知らねぇよ。
「これはブルマーっていってだな~。 パパみたいなスケベ親父にスカート覗かれてもだな~。 下着見られないために穿くもんなんだょ」
へ~、ブルマー?
そうか、そんな物が有ったんかぁ。
知らなかったぞ。
コイツも結構考えてるじゃねぇか。
しっかし、階段かなんかで下から見上げて 『見えたー!!』 と思ったら 『真っ黒ブルマーこんにちわ』 ってか。
クククククク。
ガッカリするオッサン達の顔が目の前にちらつくぜ。
クククククク。
オットー!?
忘れてたぞ、こいつに甘えんの。
「ニャー」
「な、なんだょ急に人の足に擦り寄って。 気ん持ち悪(わり)ぃな~。 外出ろ、外」
「フミャー」 (こら!? ドア開けて俺様を蹴り出すんじゃねー)
「美琴~。 仕度出来たわよ~。 何してんの~、早くしなさ~い」
「は~い」
「どけポチ。 邪魔なんだよ」
「フミャ」 (チッキショー、俺様の体を足で払うんじゃねぇ)
コイツほんとにアリスの妹か~?
それにしちゃ性格悪(わり)ぃな。
ま、階段駆け下りるとこなんか似てるっちゃ似てるか。
ところで諸君は疑問に思わんかな。
ナゼ、姉の名前が洋風の 『アリス』 で、妹が純和風の 『美琴』 かって?
実際、我輩にも良くは分からないのだが。
何でも、ママさんがルイス・キャロルの “鏡の国のアリス” が好きで、女の子なら 『アリス』、男の子なら 『ジャヴァウォック』(“鏡の国のアリス” に出てくる変なヤツ)にしたかったらしい。
でもょ~、女の子で良かったょな~、女の子で。
もし、アリスが男の子だったらジャヴァウォックだったんだぜ、ジャヴァウォック。
その名もナント 『田原ジャヴァウォック』。
クククククク。
そんな名前付けられた日にゃ、アンタ。 反抗期んなったら 『金属バットこんにちわ』 間違いなしだわな、金属バットこんにちわ。
と。
まぁ、アリスは良いとして問題は美琴だ。
ママさんとしては上が 『アリス』 なだけに、下は 『アリサ』 とか 『アイリ』 といった名前にしたかったらしい。
ところが、何故かパパさんが異常に美琴にこだわったらしく、
「僕ちゃん、美琴が良いー!! 美琴がー!!」
とか何とか喚きながら床の上、仰向(あおむ)けんなって手足をバタつかせて半ば強引に決めたとの事だ。
まるで駄々っ子だぜー、駄々っ子。
普通、大人がやるか~、そんな事。
でもな~、パパさんお茶目だからな~。
やりそうな気もしないでもない。
っというよりパパさんならやりそうな気がする。
ウ~ム。
ちょっと怖い。
大方、初恋の相手かなんかの名前が美琴だったんでどうしても付けたかった。
まぁ、そんな所だろう。
ママさんも薄々感ずいているようだが、全く顔に出さない。
これも役者の違いか?
どう贔屓目(ひいきめ)に見てもパパさんが勝てるような相手じゃないからなぁ~、ママさんは。
オットー!?
こんな事してる場合じゃなかったぞー。
早くしないとミルクが無くなる、我輩の大好きなミルクが。
「お!? おー、ビックリした~!? な~んだ、ポチじゃねぇか。 何だ、いきなり? 人の足に体こすり付けてんじゃねーょ、ビックリすんだろう」
「ニャー」 (美琴~。 ミルクくれょー、ミルク~)
「なんだ、お前~。 急に愛想使って? 気ん持ち悪(わり)ぃな~」
「ン? これか、これ? ン? もしかしてお前ミルク欲しいのか? ン?」
「ニャー」 (うん、欲しいんだょミルク~)
「ホレッ。 ホレホレホレッ。 美味いぞー」
「ニャー」 (な~。 そんなじらさないで、くれょミルク~)
「ホレホレホレ」
「ニャーニャーニャー」
「ホレホレホレ」
「ニャーニャーニャー」
「ホレホレホレ。 って、やんねぇょ。 誰がやるかお前なんかに」
「ニャー」 (そ、そんな事言わねぇーで、くれょミルク。 な。 くれょ~)
「やーだょ。 おとつい来な。 あ~、うめっ」
あ!?
これ見よがしにゴクゴクと。
アァー!?
ぜ、全部飲みやがった、ゴクゴクと。
チッキショウー、何てヤツだ!!
下痢すんぞ。
「あー、美味かった~!?」
しっかし、オメぇってヤツぁ、ホ~~~ントやなヤツだな~。
オメェみてぇなヤツは電車ん中で体触られちめぇ、ギラギラ脂ぎったオッサンに。
チッキショー!!
「お。 何だポチ。 その反抗的な目は? ン? ミルクが欲しきゃお姉ちゃんにもらえ、お姉ちゃんに。 お前拾ってきたのお姉ちゃんなんだからな」
「まぁまぁ美琴。 そんな意地悪して。 いいわょ、ママがやるから。 ホラ、ポチおいで」
「ニャー」 (ヨッシャー、さすがママさん)
「でもなぁ、ママ。 ポチは煮干の頭食わん猫だからなぁ。 あんまり甘やかすのもなぁ」
「パパの言う通りー!!」
「ななな。 だろ? な。 そうだよな、美琴」
そ、そんな事言うんじゃねぇょ、パパさん。
ママさんの気が変わるじゃねぇか、ママさんの気が~。
「良いじゃないの、その位」
よっ。
さすがママさん。
話が分かる。
「誰だったかしらね~。 オナラでポチ気絶させたの」
「ン? ウ~ム。 まぁ、それもそうだな。 うん。 カレーライス砲も控えてる事だしな。 うん。 ま、いっか、ワハハハハハ」
「アハハハハハ。 もう、パパったら。 いい加減にしなさい。 アハハハハハ」
「最低」
「さ、最低って。 オマエ・・・」
何なんだ、コイツらのこの会話は。
ったくコイツら~ったら、この俺様を完璧なまでに玩具(おもちゃ)にしやがって。
なんてヤツらだ、全く。
少しは動物愛護の精神はねぇのかーーーーー!!!!!
「ポチ。 おいでミルクょ」
「ニャー」 (はーい、ママさん)
猫は記憶力が悪い。
第三話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第二話
2017-01-29
第二話
「おはよぅ」
「あらパパ。 今日、早いのねぇ」
「うん。 アリスの声で目が覚めた」
当家の主の登場だ。
名前は 『田原武(たはら・たけし)』 45歳。
都内にある小さな企画会社の取締役らしい。
が、何の会社かは良く分からない。
何年か前 “バイアグラ” で一儲けしたと自慢していたが、ブームが去ってからはさっぱりらしく最近は名刺やハンコ、それに印刷物をブローカーでやっているらしい。
又、今流行の自費出版も請け負っているとの事だが、怪しい会社だ。
性格はお人好しでのんびりしている。
アリスはこの性格を受け継いだようだ。
血筋は争えない。
良く書画を好む風流人だ。
勿論、自分でも描く。
無類のカラオケ好きで、歌は玄人裸足(くろうとはだし)だ。
大酒のみでもある。
ついでにママさんの紹介もしておこう。
名前は 『田原明子(たはら・あきこ)』 同じく45歳。
結婚前は女性なら誰でも一度は憧れる。
あの “スッチー” だ。
男も違う意味で憧れるが。
性格はしっかり者だ。
というより、かなり気が強く、ヒトの話に耳を貸さない。
早い話、頑固者である。
それに亭主以上に大酒のみだ。
ただし、悪(わり)ぃがこれをばらした事は内緒にしておいて頂きたい。
心証を害したくない。
というのも、我輩のおまんまはこのヒトがくれるからだ。
この二人の馴れ初めがどうだったかは、分からない。
我輩がこの家に来た時にはすでに子供が二人も居たのだから。
アリスの歳を考えると結婚後20年以上経っていると思われる。
まぁ、猫の目から見ても “似合いの夫婦” ではある。
もっとも、性格が逆ならもっと良(い)いんだが。
会話もこんな感じだ。
「ポチ又、煮干の頭食わなかったのか?」
「そうなのょ」
「妙な猫だ。 普通食うょなぁ~」
「多分ね。 私、猫飼ったの初めてだから分かんないヶど」
お!?
パパさんなんか言いたげにこっち見てるぞ。
「おい、ポチ。 ちょと来い」
「ニャー」 (ン? なんだなんだ? ナンカくれんのか?)
「良し良し、いい子だいい子だ、ここに座れ。 な、鼻をこっちに向けてみろ。 な、こっちだこっち。 良~し良~し。 いい子だいい子だ」
お!? 何すんだ?
え!? オレ様の鼻をパパさんの尻につけて。
なんだなんだ?
え!? 何すんだ?
(ブッ!!)
「フミャー!!」 (ク、クッセー!!)
へ、屁ーかけやがったー!!
「ヨッシャー!! 狙い通りー。 命中ー!! ウム。 今日も元気だ屁が臭い。 な~んちゃって。 ワハハハハハ」
「アハハハハハ。 パパそんな事したらポチが可哀そうよ。 アハハハハハ」
ブヘッブヘッブヘッ。
チ、チッキショー!!
へ、屁ー、ぶっ掛けやがってー!!
ブヘッブヘッブヘッ。
な、なんてクセー屁だ!!
チ、チッキショー!!
い、一瞬飛びのくのが遅かったぜー。
く!?
め、目にしみる。
ブヘッブヘッブヘッ。
「どうだポチ? いい臭いだろー? なんつったて昨夜(ゆんべ)、焼肉食ってっからなー、焼肉をー。 どーだ~? ニンニク効いてんだろー、ニンニクー。 隠し味は生姜ってかー。 ワハハハハハ」
『ワハハハハハ』 じゃねーだろ 『ワハハハハハ』 じゃ。
お!?
め、目まいがする目まいが。
き、気が遠く遠~くなって・・・。
「わ!? やだ、パパくさぁ~い。 換気扇回ってるから臭いがこっちに来るでしょ。 しょうがないヒトなんだから~、全く。 ほんとポチもいい迷惑ょねぇ。 ねぇ、ポチ。 ・・・。 ウン!? ポチ!? ・・・? あら、パパ。 大変!! ポチ痙攣してるわょ」
「どれどれ。 お!? ホントだホントだ。 ポチのヤツ気絶してるぞ。 ウ~ム。 焼肉砲の威力は凄い!!」
「そんな事感心してる場合じゃないでしょ。 ほら、ポチポチ」
「動いてないなぁー、死んだのか? こら、ポチ!! 屁ぐらいで死ぬな」
「ふざけないでょパパ。 ホントにパパのおならは臭いのょ。 アリスなんかこないだ 『パパのおならはリーサルウエポン』 って言ってた位なんだから」
「リ、リーサリウエポンって・・・!? こらぁ、ポチ!! しっかりせんかー!!」
なんだなんだ?
遠くから声が。
う!?
遠くから。
(ビクッ)
ファ~、ア~。 あー、良く寝た。
お!?
パパさんとママさんの顔がこんな近くに。
なんだなんだ?
ナンカあったのか?
「あ!? 動いた動いた。 生きてる生きてる。 良かったなぁーママ。 ポチのヤツあくびしてるぞー」
「まったく、パパは悪ふざけが過ぎるんだから」
『動いた』 だの 『生きてる』 だの 『悪ふざけ』 だの・・・。
ナ~ンカあったみたいだな~。
何だ~、何があった~?
ウ~ム、思い出せない。
何だ~、何があったんだ~?
ウ~ム。
我輩は猫だ。
猫は記憶力が悪い。
だから残念ながら何も思い出せない。
もっともそのお陰で生きて行けるっちゃー、生きて行けるんだが。
いちいちなんでも覚えてたら、とてもじゃないが精神的に参っちまうからな、きっと。
「お!? そうだ。 ママ、頼みがあるんだが聞いてくれるか?」
「ン? ナ~ニ、頼みって」
「うん。 今夜はカレーにしてくれないか?」
「別に、良(い)いヶど。 どして?」
「うん。 明日は “カレーライス砲” を試して見たい」
「アハハハハハ。 もう、パパったら。 いい加減にしなさい。 アハハハハハ」
え!?
なんだなんだ?
カレーライス砲って何だ?
何の話だ?
え!?
なんか気になるぞ。
え!?
お、教えてくれ、何だ~?
ス、スッゲー気になるぞ、何だ~?
「あーあー。 うるせーなぁ~、朝っぱらから。 ポチがどしたって~。 ポチが~」
ま~た一人、妙なヤツが出て来やがった。
んでもって、こいつの登場で舞台は第三ラウンドに突入する事になる。
第二話 完
「おはよぅ」
「あらパパ。 今日、早いのねぇ」
「うん。 アリスの声で目が覚めた」
当家の主の登場だ。
名前は 『田原武(たはら・たけし)』 45歳。
都内にある小さな企画会社の取締役らしい。
が、何の会社かは良く分からない。
何年か前 “バイアグラ” で一儲けしたと自慢していたが、ブームが去ってからはさっぱりらしく最近は名刺やハンコ、それに印刷物をブローカーでやっているらしい。
又、今流行の自費出版も請け負っているとの事だが、怪しい会社だ。
性格はお人好しでのんびりしている。
アリスはこの性格を受け継いだようだ。
血筋は争えない。
良く書画を好む風流人だ。
勿論、自分でも描く。
無類のカラオケ好きで、歌は玄人裸足(くろうとはだし)だ。
大酒のみでもある。
ついでにママさんの紹介もしておこう。
名前は 『田原明子(たはら・あきこ)』 同じく45歳。
結婚前は女性なら誰でも一度は憧れる。
あの “スッチー” だ。
男も違う意味で憧れるが。
性格はしっかり者だ。
というより、かなり気が強く、ヒトの話に耳を貸さない。
早い話、頑固者である。
それに亭主以上に大酒のみだ。
ただし、悪(わり)ぃがこれをばらした事は内緒にしておいて頂きたい。
心証を害したくない。
というのも、我輩のおまんまはこのヒトがくれるからだ。
この二人の馴れ初めがどうだったかは、分からない。
我輩がこの家に来た時にはすでに子供が二人も居たのだから。
アリスの歳を考えると結婚後20年以上経っていると思われる。
まぁ、猫の目から見ても “似合いの夫婦” ではある。
もっとも、性格が逆ならもっと良(い)いんだが。
会話もこんな感じだ。
「ポチ又、煮干の頭食わなかったのか?」
「そうなのょ」
「妙な猫だ。 普通食うょなぁ~」
「多分ね。 私、猫飼ったの初めてだから分かんないヶど」
お!?
パパさんなんか言いたげにこっち見てるぞ。
「おい、ポチ。 ちょと来い」
「ニャー」 (ン? なんだなんだ? ナンカくれんのか?)
「良し良し、いい子だいい子だ、ここに座れ。 な、鼻をこっちに向けてみろ。 な、こっちだこっち。 良~し良~し。 いい子だいい子だ」
お!? 何すんだ?
え!? オレ様の鼻をパパさんの尻につけて。
なんだなんだ?
え!? 何すんだ?
(ブッ!!)
「フミャー!!」 (ク、クッセー!!)
へ、屁ーかけやがったー!!
「ヨッシャー!! 狙い通りー。 命中ー!! ウム。 今日も元気だ屁が臭い。 な~んちゃって。 ワハハハハハ」
「アハハハハハ。 パパそんな事したらポチが可哀そうよ。 アハハハハハ」
ブヘッブヘッブヘッ。
チ、チッキショー!!
へ、屁ー、ぶっ掛けやがってー!!
ブヘッブヘッブヘッ。
な、なんてクセー屁だ!!
チ、チッキショー!!
い、一瞬飛びのくのが遅かったぜー。
く!?
め、目にしみる。
ブヘッブヘッブヘッ。
「どうだポチ? いい臭いだろー? なんつったて昨夜(ゆんべ)、焼肉食ってっからなー、焼肉をー。 どーだ~? ニンニク効いてんだろー、ニンニクー。 隠し味は生姜ってかー。 ワハハハハハ」
『ワハハハハハ』 じゃねーだろ 『ワハハハハハ』 じゃ。
お!?
め、目まいがする目まいが。
き、気が遠く遠~くなって・・・。
「わ!? やだ、パパくさぁ~い。 換気扇回ってるから臭いがこっちに来るでしょ。 しょうがないヒトなんだから~、全く。 ほんとポチもいい迷惑ょねぇ。 ねぇ、ポチ。 ・・・。 ウン!? ポチ!? ・・・? あら、パパ。 大変!! ポチ痙攣してるわょ」
「どれどれ。 お!? ホントだホントだ。 ポチのヤツ気絶してるぞ。 ウ~ム。 焼肉砲の威力は凄い!!」
「そんな事感心してる場合じゃないでしょ。 ほら、ポチポチ」
「動いてないなぁー、死んだのか? こら、ポチ!! 屁ぐらいで死ぬな」
「ふざけないでょパパ。 ホントにパパのおならは臭いのょ。 アリスなんかこないだ 『パパのおならはリーサルウエポン』 って言ってた位なんだから」
「リ、リーサリウエポンって・・・!? こらぁ、ポチ!! しっかりせんかー!!」
なんだなんだ?
遠くから声が。
う!?
遠くから。
(ビクッ)
ファ~、ア~。 あー、良く寝た。
お!?
パパさんとママさんの顔がこんな近くに。
なんだなんだ?
ナンカあったのか?
「あ!? 動いた動いた。 生きてる生きてる。 良かったなぁーママ。 ポチのヤツあくびしてるぞー」
「まったく、パパは悪ふざけが過ぎるんだから」
『動いた』 だの 『生きてる』 だの 『悪ふざけ』 だの・・・。
ナ~ンカあったみたいだな~。
何だ~、何があった~?
ウ~ム、思い出せない。
何だ~、何があったんだ~?
ウ~ム。
我輩は猫だ。
猫は記憶力が悪い。
だから残念ながら何も思い出せない。
もっともそのお陰で生きて行けるっちゃー、生きて行けるんだが。
いちいちなんでも覚えてたら、とてもじゃないが精神的に参っちまうからな、きっと。
「お!? そうだ。 ママ、頼みがあるんだが聞いてくれるか?」
「ン? ナ~ニ、頼みって」
「うん。 今夜はカレーにしてくれないか?」
「別に、良(い)いヶど。 どして?」
「うん。 明日は “カレーライス砲” を試して見たい」
「アハハハハハ。 もう、パパったら。 いい加減にしなさい。 アハハハハハ」
え!?
なんだなんだ?
カレーライス砲って何だ?
何の話だ?
え!?
なんか気になるぞ。
え!?
お、教えてくれ、何だ~?
ス、スッゲー気になるぞ、何だ~?
「あーあー。 うるせーなぁ~、朝っぱらから。 ポチがどしたって~。 ポチが~」
ま~た一人、妙なヤツが出て来やがった。
んでもって、こいつの登場で舞台は第三ラウンドに突入する事になる。
第二話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ” 第一話
2017-01-29
第一話
「おっ、はよー!! ポチー!! 目ー、覚めたの一緒だねぇー!! ウリーーー!! ウリウリウリーーー! ウリウリウリーーー!!」
「ニャーーー!! ニャーニャーニャー!! ニャーニャーニャー!!」 (ウッ!? そ、その 「ウリウリウリーーー!」 って言いながら俺様の額にオメェーのおでこグリグリすんの止めてくれ。 た、頼むから止めてくれ)
オットー!?
言い忘れていたが我輩は “オス” だ。
もう分かってくれているとは思うが。
そしてこのおでこグリグリの妙な奴は、我輩の住んでいる 『田原家』 の長女 『アリス』 二十歳(はたち)。
名前はアリスだが生粋の日本人だ。
中肉中背。
美形ではないがなかなかチャーミングな顔立ちをしている。
頭は悪くないんだが、やる事がチョッと抜けているというかなんというか。
俗にいう “天然ボケ”。
そう。
天然ボケの典型だ。
性格はオットリしている。
が、
時に逆ギレする。
まぁ、めったにはしないんだが。
しか~~~し、
キレた時は手に負えない。
今年短大を卒業して東京の出版社に勤務している・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・らしい。
何故か恋人は居ない。
不思議な話だ。
我輩の目には 『可愛くて守ってやりたくなるような女』 に見えるのだが。
猫の見る目と人間の見る目は違うらしい。
まぁ、どうでも良(い)い事ではあるが。
さて、
この女だが、コイツが我輩の実質的な飼い主でもある。
「ほれ、ポチー。 高い高い高~~~い。 高い高い高~~~い」
「ニャーニャーニャー!! ニャーニャーニャー!!」 (あ、赤ん坊じゃねぇーんだから、そ、その 「高い高い高~~~い」 つぅーのも止めてくれ。 俺様の 『ア、ソ、コ』 がオメェーの目の前なっちまうだろー、オメェの目の前にー。 は、恥ずかしいじゃねぇーか。 オ、オメェー、しょ、処女じゃねぇーな)
と。
まぁ、こうして我輩のいつもの平凡な一日が始まるのであった。
そしてこうなる。
「アリス~!! 早く起きなさ~い!! ご飯できたよー!!」
「は~い、ママー!! 今行くー!! ほれ、ポチー!! ご飯いくよー!!」
「ニャー!!」 (待ってました)
我輩を抱っこして階段を一気に下るアリス。
パジャマ姿のまんまだ。
アリスの部屋は2階にある。
六畳の洋室だ。
2階には他に六畳の和室と四畳半の洋室があるのだが、その部屋の使用者がどんな奴らかは・・・。
いずれ明らかになる。
「あら、まだ着替えてないの?」
「うん。 ご飯食べてから」
「歯~、磨いたの?」
「うん。 ご飯食べてから」
「『うん。 ご飯食べてから』 って、アンタねぇ。 もう少し女の子らしくできないの。 身だしなみって言うものがあるでしょ、身だしなみってもんが~。 もういい歳なんだから~。 ま~ったく誰に似たのかしらねぇ~。 ホ~ントに、この子は」
「お母さん」
「・・・」
結構笑える会話だ。
退屈はしない。
「ご飯とパンどっち?」
パンって言え、パンって。
パンならミルクが出てくんだろ。
そうすりゃ 俺様もミルクにありつけんだからよー。
な!?
パンって言え、パンって。
「ご飯」
バッカやろ~~~!!
ご飯じゃねぇーだろ、ご飯じゃ~。
そんなにキッパリ言うんじゃねぇょ~。
ご飯だと味噌汁じゃねぇか~。
あ~ぁ、今日も又 “猫まんま” かょ~。
「ほら、ポチご飯だょー。 美味しいょー」
美味しかねぇーょ。
(カチャ、カチャ、カチャ)
だーからぁ~。
そうやってカチャ、カチャ、カチャって、ご飯と味噌汁混ぜんの止めてくんねぇかなぁ。
煮干がくずれちまうんだょ、煮干がぁ~。
煮干の頭が見分け付かなくなっちまうだろ~。
俺様、大っ嫌いなんだょ煮干の頭。
「ペッ、ペッ、ペッ」
「あ!? 又ポチ、煮干の頭残してるー」
わりーかよ。
「まぁまぁ、ぜーたくな猫だこと。 飼い主に似て」
お!?
ママさん言い返したぞ。
「ピキピキピキピキピキ・・・」
お!?
アリスのヤツ切れやがったぞ。
やな予感がするぞ。
「こら、ポチー!! 煮干の頭食えー!! ほら、食えー!! チャンと食えー!!」
「ニャーニャーニャー!! ニャーニャーニャー!!」 (よ、よせ、バカやろー、よせ。 や、止めてくれー。 頼むー。 煮干の頭、俺様の鼻にくっ付けんのー、止めてくれー!!)
チッキショー!!
俺様に当たりやがってー!!
「あ!? こんな事してたら遅刻しちゃう。 急がなくっちゃ。 ポチー!! 遅刻したらお前のせいだからね!!」
お前のせいだろ。
それからが素早い。
のんきな性格とは裏腹に一気に着替えとトイレを済ます。
勿論、
(シャカシャカシャカシャカシャカ・・・)
歯磨きも忘れない。
「行って来まぁ~す。 ポチ行って来るよー!!」
「ニャー」 (はいはい、行ってらっしゃい)
かくして本日の第一ラウンドは終了だ。
第一話 完
「おっ、はよー!! ポチー!! 目ー、覚めたの一緒だねぇー!! ウリーーー!! ウリウリウリーーー! ウリウリウリーーー!!」
「ニャーーー!! ニャーニャーニャー!! ニャーニャーニャー!!」 (ウッ!? そ、その 「ウリウリウリーーー!」 って言いながら俺様の額にオメェーのおでこグリグリすんの止めてくれ。 た、頼むから止めてくれ)
オットー!?
言い忘れていたが我輩は “オス” だ。
もう分かってくれているとは思うが。
そしてこのおでこグリグリの妙な奴は、我輩の住んでいる 『田原家』 の長女 『アリス』 二十歳(はたち)。
名前はアリスだが生粋の日本人だ。
中肉中背。
美形ではないがなかなかチャーミングな顔立ちをしている。
頭は悪くないんだが、やる事がチョッと抜けているというかなんというか。
俗にいう “天然ボケ”。
そう。
天然ボケの典型だ。
性格はオットリしている。
が、
時に逆ギレする。
まぁ、めったにはしないんだが。
しか~~~し、
キレた時は手に負えない。
今年短大を卒業して東京の出版社に勤務している・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・らしい。
何故か恋人は居ない。
不思議な話だ。
我輩の目には 『可愛くて守ってやりたくなるような女』 に見えるのだが。
猫の見る目と人間の見る目は違うらしい。
まぁ、どうでも良(い)い事ではあるが。
さて、
この女だが、コイツが我輩の実質的な飼い主でもある。
「ほれ、ポチー。 高い高い高~~~い。 高い高い高~~~い」
「ニャーニャーニャー!! ニャーニャーニャー!!」 (あ、赤ん坊じゃねぇーんだから、そ、その 「高い高い高~~~い」 つぅーのも止めてくれ。 俺様の 『ア、ソ、コ』 がオメェーの目の前なっちまうだろー、オメェの目の前にー。 は、恥ずかしいじゃねぇーか。 オ、オメェー、しょ、処女じゃねぇーな)
と。
まぁ、こうして我輩のいつもの平凡な一日が始まるのであった。
そしてこうなる。
「アリス~!! 早く起きなさ~い!! ご飯できたよー!!」
「は~い、ママー!! 今行くー!! ほれ、ポチー!! ご飯いくよー!!」
「ニャー!!」 (待ってました)
我輩を抱っこして階段を一気に下るアリス。
パジャマ姿のまんまだ。
アリスの部屋は2階にある。
六畳の洋室だ。
2階には他に六畳の和室と四畳半の洋室があるのだが、その部屋の使用者がどんな奴らかは・・・。
いずれ明らかになる。
「あら、まだ着替えてないの?」
「うん。 ご飯食べてから」
「歯~、磨いたの?」
「うん。 ご飯食べてから」
「『うん。 ご飯食べてから』 って、アンタねぇ。 もう少し女の子らしくできないの。 身だしなみって言うものがあるでしょ、身だしなみってもんが~。 もういい歳なんだから~。 ま~ったく誰に似たのかしらねぇ~。 ホ~ントに、この子は」
「お母さん」
「・・・」
結構笑える会話だ。
退屈はしない。
「ご飯とパンどっち?」
パンって言え、パンって。
パンならミルクが出てくんだろ。
そうすりゃ 俺様もミルクにありつけんだからよー。
な!?
パンって言え、パンって。
「ご飯」
バッカやろ~~~!!
ご飯じゃねぇーだろ、ご飯じゃ~。
そんなにキッパリ言うんじゃねぇょ~。
ご飯だと味噌汁じゃねぇか~。
あ~ぁ、今日も又 “猫まんま” かょ~。
「ほら、ポチご飯だょー。 美味しいょー」
美味しかねぇーょ。
(カチャ、カチャ、カチャ)
だーからぁ~。
そうやってカチャ、カチャ、カチャって、ご飯と味噌汁混ぜんの止めてくんねぇかなぁ。
煮干がくずれちまうんだょ、煮干がぁ~。
煮干の頭が見分け付かなくなっちまうだろ~。
俺様、大っ嫌いなんだょ煮干の頭。
「ペッ、ペッ、ペッ」
「あ!? 又ポチ、煮干の頭残してるー」
わりーかよ。
「まぁまぁ、ぜーたくな猫だこと。 飼い主に似て」
お!?
ママさん言い返したぞ。
「ピキピキピキピキピキ・・・」
お!?
アリスのヤツ切れやがったぞ。
やな予感がするぞ。
「こら、ポチー!! 煮干の頭食えー!! ほら、食えー!! チャンと食えー!!」
「ニャーニャーニャー!! ニャーニャーニャー!!」 (よ、よせ、バカやろー、よせ。 や、止めてくれー。 頼むー。 煮干の頭、俺様の鼻にくっ付けんのー、止めてくれー!!)
チッキショー!!
俺様に当たりやがってー!!
「あ!? こんな事してたら遅刻しちゃう。 急がなくっちゃ。 ポチー!! 遅刻したらお前のせいだからね!!」
お前のせいだろ。
それからが素早い。
のんきな性格とは裏腹に一気に着替えとトイレを済ます。
勿論、
(シャカシャカシャカシャカシャカ・・・)
歯磨きも忘れない。
「行って来まぁ~す。 ポチ行って来るよー!!」
「ニャー」 (はいはい、行ってらっしゃい)
かくして本日の第一ラウンドは終了だ。
第一話 完
アリスのニャンコその名は“ポチ”
2017-01-29
ントー
ポチのヤツが
日記の中で
盛んに
「パクんなー! パクんなー!!」
って
ほざきまくってヤツが
これ DEATH ・↓・
アリスのニャンコその名は“ポチ”
プロローグ
「ファ~。 あ~~~、良く寝た」
オットー!?
のんびり欠伸(あくび)なんかこいてる場合じゃなかった。
「おはよう諸君。 初めまして」
我輩がこの物語の主人公の 『ポチ』 である。
「よろしく」
きっと諸君はこの 『ポチ』 なんぞという名前から、
我輩を
“犬!?”
と思っておるに相違ない。
しか~~~し、
こんな名前でも我輩はれっきとした
“猫!?”
である。
動物学的に言うならば “ねこ科” に分類される純粋な猫なのだ。
もっとも、我輩は雑種らしいが・・・。
しからばなぜ 『ポチ』 なんぞという実に不愉快極まりない名前が付いたかという話はおいおい明らかにして行くとして、まずは本題に入る事にしよう。
プロローグ 完
ポチのヤツが
日記の中で
盛んに
「パクんなー! パクんなー!!」
って
ほざきまくってヤツが
これ DEATH ・↓・
アリスのニャンコその名は“ポチ”
プロローグ
「ファ~。 あ~~~、良く寝た」
オットー!?
のんびり欠伸(あくび)なんかこいてる場合じゃなかった。
「おはよう諸君。 初めまして」
我輩がこの物語の主人公の 『ポチ』 である。
「よろしく」
きっと諸君はこの 『ポチ』 なんぞという名前から、
我輩を
“犬!?”
と思っておるに相違ない。
しか~~~し、
こんな名前でも我輩はれっきとした
“猫!?”
である。
動物学的に言うならば “ねこ科” に分類される純粋な猫なのだ。
もっとも、我輩は雑種らしいが・・・。
しからばなぜ 『ポチ』 なんぞという実に不愉快極まりない名前が付いたかという話はおいおい明らかにして行くとして、まずは本題に入る事にしよう。
プロローグ 完
「セピア色した白い本/page 103 『遺書』」
2017-01-28
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 103 『遺書』」
それは・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女の25才の誕生日の事だった。
そして・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女は泣いていた。
大切なあの人からの遺書を読みながら。
その遺書にはこう書かれてあった。
『やっとの思いでライバルたちを蹴落としてオマエをゲットしたのに、ソイツらよっか俺の人生は短かったんだよな。 でも、その誰よりも俺の人生はずっとずっと充実していたし、ずっとずっと幸せだったんだ。 それは・・・。 それは、オマエと一緒に過ごせたから。 た~ったの1年半だったヶど。 でも、俺の人生はずっとずっと充実していたし、ずっとずっと幸せだった、ソイツらよっか。 否、世界中の誰よっか』
女はここまでは我慢が出来た。
だが、この次で・・・。
『だからもう俺の事は忘れて、そして・・・。 チョッと悔しいヶど、他の誰かと幸せになってくれ。 ・・・。 ゴメン。 悔しくなんかない。 それを願ってる、心から。 じゃぁな、麻美。 サヨナラ』
これを読んで女が叫んだ。
「『サヨナラ』じゃないよ健ちゃん! サヨナラじゃー!!」
そして、
『ハッ!?』
女の目が覚めた。
それから、
「ゆ、夢!? 夢か~。 ハァ~」
そう呟きながら身を起こした。
そして涙を拭きながら、横でスヤスヤ眠っている赤ちゃんの顔を覗き込んだ。
生まれて間もない赤ちゃんの顔を。
大切なあの人にそっくりな。
大切なあの人の・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・忘れ形見の。。。
・
・
・
・
・
page 103 『遺書』お・す・ま・ひ
それは・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女の25才の誕生日の事だった。
そして・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女は泣いていた。
大切なあの人からの遺書を読みながら。
その遺書にはこう書かれてあった。
『やっとの思いでライバルたちを蹴落としてオマエをゲットしたのに、ソイツらよっか俺の人生は短かったんだよな。 でも、その誰よりも俺の人生はずっとずっと充実していたし、ずっとずっと幸せだったんだ。 それは・・・。 それは、オマエと一緒に過ごせたから。 た~ったの1年半だったヶど。 でも、俺の人生はずっとずっと充実していたし、ずっとずっと幸せだった、ソイツらよっか。 否、世界中の誰よっか』
女はここまでは我慢が出来た。
だが、この次で・・・。
『だからもう俺の事は忘れて、そして・・・。 チョッと悔しいヶど、他の誰かと幸せになってくれ。 ・・・。 ゴメン。 悔しくなんかない。 それを願ってる、心から。 じゃぁな、麻美。 サヨナラ』
これを読んで女が叫んだ。
「『サヨナラ』じゃないよ健ちゃん! サヨナラじゃー!!」
そして、
『ハッ!?』
女の目が覚めた。
それから、
「ゆ、夢!? 夢か~。 ハァ~」
そう呟きながら身を起こした。
そして涙を拭きながら、横でスヤスヤ眠っている赤ちゃんの顔を覗き込んだ。
生まれて間もない赤ちゃんの顔を。
大切なあの人にそっくりな。
大切なあの人の・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・忘れ形見の。。。
・
・
・
・
・
page 103 『遺書』お・す・ま・ひ
「セピア色した白い本/page 102 『遺影』」
2017-01-28
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 102 『遺影』」
女が呟いた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・死んだ恋人の遺影に向かって。
「健ちゃん、いっつも笑ってるね。 アタシは泣いてるのに・・・」
・
・
・
・
・
page 102 『遺影』 お・す・ま・ひ
女が呟いた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・死んだ恋人の遺影に向かって。
「健ちゃん、いっつも笑ってるね。 アタシは泣いてるのに・・・」
・
・
・
・
・
page 102 『遺影』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 101 『波長』
2017-01-27
ントー・・・
前回までのは五年ぐらい前に書いたヤツ
で!?
こっから先は
つい最近書いた分
つーこって
コレ ・↓・
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 101 『波長』」
男は感じていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ある女と波長が合うのを。
会う度に二言三言(ふたこと・みこと)、挨拶程度の言葉を交わすぐらいの付き合いだったが、それでもナゼか男は波長が合うと確信していた。
その女は近所の22才のOLで、男はそのダブルスコアの44才。
しかも独身。
だから男は年齢的負い目もあり、又、その女の両親とも自治会などのイベントで比較的親しい交流もあったりしていたので、その女をどうこうしようという気は全くなかった。
そんなある日。
自治会主催のイベント(その日は草取り)に珍しくその女が出て来た。
いつもは母親・・たま~に父親・・が出て来ていたのだが、その日はナゼかその女だった。
男が他の自治会員たちとは少し離れた場所で一人、木の枝を切っていた時、ふと見ると、その足元近くで女も一人で草を取っていた。
その姿がとても愛らしかったので、男が何とはなしに声を掛けた。
「やぁ! 久しぶり!!元気!?」
草取りの手を休め、顔を上げて女が答えた。
「はい。元気です」
「今日(きょう)はお母さんじゃなかったんだ?」
「はい。母は外(はず)せない予定があって・・・。代わりに私が・・・」
「フ~ン。そう~。でも、いっつも君だと嬉しいっかな~」
男の何気ないこのチョッとお道化(どけ)た、しかし本音の一言に、女が、
「クスッ」
っとではなく、
「ウフッ」
っと笑った。
その笑顔を見た瞬間、男の胸に強烈な愛(いと)おしさがこみ上げ、思わずこんな言葉が口から飛び出した。
「キスしていっ?」
「え!?」
突然の男のこの信じられない言葉に・・もっとも、言った男本人はもっと信じられなかったのだが・・気が動転して両目をまん丸く、
「カッ!!」
と見開き、一瞬、ビックリタヌキ状態でその場に固まる女。
暫(しば)し瞬(まばた)き一つせずに、否、出来ずに男の目を覗き込んだ。
男は男で、どうしていいか分からずやはりその場で固まっていた。
そのまま永遠に感じられる数秒が経過した。
やがて気を取り直した女がユックリと視線を地面に移し、一言こう言った。
「いいよ」
「!?」
そぅ。
女もまた感じていたのだ。
その男と波長が合うのを。
だから・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男のそばにいたかったのだ。
・
・
・
・
・
page 101 『波長』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 100 『ブロック』
2017-01-27
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 100 『ブロック』」
「麻美さぁ、何で健ちゃん選んだの? 秋山先輩の方がずっとカッコいいのに」
そう言いながら麻美と呼ばれた女に、その女のクラスメイトが、今、高校野球の対抗試合でキャッチャーをやっている健ちゃんと、ピッチャーの秋山先輩を順に指差した。
「うん。 健ちゃんだってカッコいいよ」
「そっかなぁ?」
「うん。 確かにさ。 見た振りじゃ、秋山先輩には勝てないヶど・・・」
「でしょ。 だったら何で秋山先輩振って健ちゃんな訳?」
その時、
(カキーン!!)
相手バッターがセンターフライを打ち上げた。
状況は、1点リードで九回裏、ワンナウト三塁。
犠牲フライには微妙な深さだった。
だが、
三塁ランナーは躊躇(ちゅうちょ)なくタッチアップし、ホームバース目掛けて猛然と突っ込んで来た。
そこへセンターからの好返球。
キャッチャーがホームベースをがっちりブロックし、回り込んでくるランナーを体で止めてタッチ。
観衆が固唾を飲んで見守る中、
「アウト!!」
主審が大声でジャッジし、親指を伸ばした右手を高々と上げた。
その瞬間勝敗が決した。
そして主審の、
「ゲームセット!!」
の声で試合が終了した。
ここで、麻美と呼ばれた女がキャッチャーを指差してクラスメイトの女にこう言った。
「ね!?」
「え!? 何が、ね?」
「うん。 チョッと、ね」
「え!? 何? 『チョッと、ね』 って、意味分かんない?」
「うん。 分かんなくってもいいんだ。 健ちゃんの良さはきっとアタシにしか分かんないから」
「フ~ン。 ま。 いっか。 そうだね。 『蓼(たで)食う虫も好き好き』 っていうしね」
「うん。 そうそう。 健ちゃんはアタシの一ば~ん好きな虫」
「はいはいはい。 ご馳走さま、ご馳走さま、ご馳走さま」
「はいはいはい。 お粗末さま、お粗末さま、お粗末さま」
「アハハハハ」
「アハハハハ」
女は笑った心の底から。
クラスメイトの女も又、同様に。
そして、女は笑いながらこう思っていた。
『だって健ちゃん。 いつだってアタシの事、今みたいに守ってくれるから・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・体張って』
・
・
・
・
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page 100 『ブロック』 お・す・ま・ひ
「麻美さぁ、何で健ちゃん選んだの? 秋山先輩の方がずっとカッコいいのに」
そう言いながら麻美と呼ばれた女に、その女のクラスメイトが、今、高校野球の対抗試合でキャッチャーをやっている健ちゃんと、ピッチャーの秋山先輩を順に指差した。
「うん。 健ちゃんだってカッコいいよ」
「そっかなぁ?」
「うん。 確かにさ。 見た振りじゃ、秋山先輩には勝てないヶど・・・」
「でしょ。 だったら何で秋山先輩振って健ちゃんな訳?」
その時、
(カキーン!!)
相手バッターがセンターフライを打ち上げた。
状況は、1点リードで九回裏、ワンナウト三塁。
犠牲フライには微妙な深さだった。
だが、
三塁ランナーは躊躇(ちゅうちょ)なくタッチアップし、ホームバース目掛けて猛然と突っ込んで来た。
そこへセンターからの好返球。
キャッチャーがホームベースをがっちりブロックし、回り込んでくるランナーを体で止めてタッチ。
観衆が固唾を飲んで見守る中、
「アウト!!」
主審が大声でジャッジし、親指を伸ばした右手を高々と上げた。
その瞬間勝敗が決した。
そして主審の、
「ゲームセット!!」
の声で試合が終了した。
ここで、麻美と呼ばれた女がキャッチャーを指差してクラスメイトの女にこう言った。
「ね!?」
「え!? 何が、ね?」
「うん。 チョッと、ね」
「え!? 何? 『チョッと、ね』 って、意味分かんない?」
「うん。 分かんなくってもいいんだ。 健ちゃんの良さはきっとアタシにしか分かんないから」
「フ~ン。 ま。 いっか。 そうだね。 『蓼(たで)食う虫も好き好き』 っていうしね」
「うん。 そうそう。 健ちゃんはアタシの一ば~ん好きな虫」
「はいはいはい。 ご馳走さま、ご馳走さま、ご馳走さま」
「はいはいはい。 お粗末さま、お粗末さま、お粗末さま」
「アハハハハ」
「アハハハハ」
女は笑った心の底から。
クラスメイトの女も又、同様に。
そして、女は笑いながらこう思っていた。
『だって健ちゃん。 いつだってアタシの事、今みたいに守ってくれるから・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・体張って』
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page 100 『ブロック』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 99 『嫉妬』
2017-01-26
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 99 『嫉妬』」
女は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫉妬していた。
ある日二人の間に現れた女の子に男が夢中になってしまったからだった。
自分の見ている目の前で平気でその子を抱(かか)え上げ、抱き締め、挙句の果てにキスまでするのだ。
しかし女は嫉妬していたとはいえ、それほど傷付いている様子はなかった。
否、
寧ろ微笑ましそうに笑ってさえいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・可愛い我が子と愛する夫の戯(たわむ)れる姿を見て。
・
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page 99 『嫉妬』 お・す・ま・ひ
女は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫉妬していた。
ある日二人の間に現れた女の子に男が夢中になってしまったからだった。
自分の見ている目の前で平気でその子を抱(かか)え上げ、抱き締め、挙句の果てにキスまでするのだ。
しかし女は嫉妬していたとはいえ、それほど傷付いている様子はなかった。
否、
寧ろ微笑ましそうに笑ってさえいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・可愛い我が子と愛する夫の戯(たわむ)れる姿を見て。
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page 99 『嫉妬』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 98 『犬の散歩 ②』
2017-01-26
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 98 『犬の散歩 ②』」
その日は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・雨だった。
それも、土砂降りというほどではなかったが結構な雨だった。
それでも女は傘を差し、嫌がるペットの犬を無理やり散歩に連れ出した。
行った先は毎日行く公園。
しかも、いつもと同じ時間に同じ場所。
しかし女以外、誰もいなかった。
当然だ。
その日は結構な雨だったんだから。
でも、女は全くためらう事無くそこへ行った。
それは、
毎日、同じ時間、同じ公園の同じ場所にやって来る憧れのあの人が、もしかしたら今日も来てくれるかも知れないから。
すると・・・
・
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page 98 『犬の散歩 ②』 お・す・ま・ひ
その日は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・雨だった。
それも、土砂降りというほどではなかったが結構な雨だった。
それでも女は傘を差し、嫌がるペットの犬を無理やり散歩に連れ出した。
行った先は毎日行く公園。
しかも、いつもと同じ時間に同じ場所。
しかし女以外、誰もいなかった。
当然だ。
その日は結構な雨だったんだから。
でも、女は全くためらう事無くそこへ行った。
それは、
毎日、同じ時間、同じ公園の同じ場所にやって来る憧れのあの人が、もしかしたら今日も来てくれるかも知れないから。
すると・・・
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page 98 『犬の散歩 ②』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 97 『犬の散歩 ①』
2017-01-26
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 97 『犬の散歩 ①』」
男は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それほど犬好きという訳ではなかった。
それでもペットの犬の散歩は欠かさなかった。
毎日。
同じ時間、同じ公園の同じ場所に向かった。
そしてその日は、土砂降りというほどではなかったが結構な雨だった。
それでも男は傘を差し、嫌がるペットを無理やり引っ張って公園に向かった。
忠実な犬は仕方なく主人に従った。
公園に着くと直ぐ、男はいつもの場所を目指した。
するとそこに、結構な雨だというのに一匹だけ常連の犬がいた。
その犬は男の犬のお気に入りだったらしく、その犬を見るや男の犬が尻尾を振り振りその犬目掛けてダッシュした。
当然、男もその後を追った。
勿論、出来る限り大急ぎで。
というのもそこには、男が毎日会うのを楽しみにしているその犬の飼い主と思われる女が、傘を差して立っていたから。
それも・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ニッコリほほ笑んで。。。
・
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page 97 『犬の散歩 ①』 お・す・ま・ひ
男は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それほど犬好きという訳ではなかった。
それでもペットの犬の散歩は欠かさなかった。
毎日。
同じ時間、同じ公園の同じ場所に向かった。
そしてその日は、土砂降りというほどではなかったが結構な雨だった。
それでも男は傘を差し、嫌がるペットを無理やり引っ張って公園に向かった。
忠実な犬は仕方なく主人に従った。
公園に着くと直ぐ、男はいつもの場所を目指した。
するとそこに、結構な雨だというのに一匹だけ常連の犬がいた。
その犬は男の犬のお気に入りだったらしく、その犬を見るや男の犬が尻尾を振り振りその犬目掛けてダッシュした。
当然、男もその後を追った。
勿論、出来る限り大急ぎで。
というのもそこには、男が毎日会うのを楽しみにしているその犬の飼い主と思われる女が、傘を差して立っていたから。
それも・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ニッコリほほ笑んで。。。
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page 97 『犬の散歩 ①』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 96 『手を握って離さない』
2017-01-25
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 96 『手を握って離さない』」
男はデート中、いつも女の手を握って離さなかった。
特にデパートの中や、ジュエリーを扱う店や、ブランドショップなどではそれが甚(はなは)だ顕著だった。
女の友達たちはいつもそれを羨(うらや)んだ。
だが、
その友達たちは何も知らない。
男が手を離さない理由(わけ)を。
それは、
離すと直ぐ女が買い物をしたがるからだったのだ。
当然・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・支払いは男もちで。。。
・
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page 96 『手を握って離さない』 お・す・ま・ひ
男はデート中、いつも女の手を握って離さなかった。
特にデパートの中や、ジュエリーを扱う店や、ブランドショップなどではそれが甚(はなは)だ顕著だった。
女の友達たちはいつもそれを羨(うらや)んだ。
だが、
その友達たちは何も知らない。
男が手を離さない理由(わけ)を。
それは、
離すと直ぐ女が買い物をしたがるからだったのだ。
当然・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・支払いは男もちで。。。
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page 96 『手を握って離さない』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 95 『曲がり角』
2017-01-25
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 95 『曲がり角』」
『あ~ぁ』
男は落胆していた。
そこは最後の曲がり角だった。
そこを曲がると、今一緒に歩いている同級生の女の家に着いてしまうのだ。
男は曲がり角に来る度に、
『今度こそ、今度こそ』
そう思っていた。
しかしその度にチャンスを逃していた。
否。
勇気を出す事が出来ないでいた。
「僕は君が好きだ」
そう告白する・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その勇気を出す事が。。。
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page 95 『曲がり角』 お・す・ま・ひ
『あ~ぁ』
男は落胆していた。
そこは最後の曲がり角だった。
そこを曲がると、今一緒に歩いている同級生の女の家に着いてしまうのだ。
男は曲がり角に来る度に、
『今度こそ、今度こそ』
そう思っていた。
しかしその度にチャンスを逃していた。
否。
勇気を出す事が出来ないでいた。
「僕は君が好きだ」
そう告白する・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その勇気を出す事が。。。
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page 95 『曲がり角』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 94 『プンプンプン』
2017-01-25
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 94 『プンプンプン』」
プンプンプン・・・。
女はむくれていた。
外出前のた~ったの1時間のメイクに、男が、
「なげー、なげー、クッソなげ~~~!!」
などとブツクサ文句を言ったからだった。
チックショー!?
何さー!?
魚釣りでは、半日、食いつかなくても辛抱する癖にーーーーー!!!!!
「アタシより、魚の方が大切な訳~~~!? キィーーーーー!!!!!」
・
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page 94 『プンプンプン』 お・す・ま・ひ
プンプンプン・・・。
女はむくれていた。
外出前のた~ったの1時間のメイクに、男が、
「なげー、なげー、クッソなげ~~~!!」
などとブツクサ文句を言ったからだった。
チックショー!?
何さー!?
魚釣りでは、半日、食いつかなくても辛抱する癖にーーーーー!!!!!
「アタシより、魚の方が大切な訳~~~!? キィーーーーー!!!!!」
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page 94 『プンプンプン』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 93 『魚』
2017-01-25
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 93 『魚』」
女は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魚が大の苦手だった。
だがある日を境に食べられるようになった。
決して好きという訳ではないが、嫌いでもなくなった。
というのも、
憧れのあの人が寿司職人で、
「将来、俺・・・。 オマエと一緒に寿司屋をやりたいんだ。 だから俺に付いて来てくれないか?」
が、プロポーズの言葉だったから。
・
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page 93 『魚』 お・す・ま・ひ
女は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魚が大の苦手だった。
だがある日を境に食べられるようになった。
決して好きという訳ではないが、嫌いでもなくなった。
というのも、
憧れのあの人が寿司職人で、
「将来、俺・・・。 オマエと一緒に寿司屋をやりたいんだ。 だから俺に付いて来てくれないか?」
が、プロポーズの言葉だったから。
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page 93 『魚』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 92 『電信柱』
2017-01-25
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 92 『電信柱』」
(ガッ、チャーーーーーン!! ドタッ!!)
「イッ、テー!!」
男が大声を上げた。
チャリで電信柱にぶつかり、地面にズッコケたのだ。
それは曲がり角での出来事だった。
男がチャリで角を曲がった瞬間、反対側を歩いて来た女と出会いがしらにぶつかりそうになったのだ。
男は高校のサッカー部員でゴールキーパー。
生まれ付き反射神経が良かった。
そのため反射的に急ハンドルを切り、間一髪セーフ。
だが、
ハンドルを切った先にあった電柱に運悪く激突。
幸い、角を曲がるため予(あらかじ)め減速していたので受けた衝撃はそれ程でもなかったが。
しかし、
それでもやはり電柱にモロにぶち当たってズッコケた以上、痛くない訳はない。
それで叫び声を上げたという訳だ。
そこへ女が駆け寄って来た。
「だ、大丈夫ですか?」
女が心配そうに声を掛けた。
女は女で状況から見て、若干の責任を感じていたのだろう。
「ダイジョブです」
そう言って男が立ち上がり自転車を起こした。
そこで初めて、
(チラッ!!)
女の顔を見た。
『ハッ!?』
女は素晴らしい美人だった。
しかも同じ高校の制服を着ていた。
男は思わず、
「き、綺麗!?」
そう口走った。
「・・・」
女は黙っていた。
「・・・」
男もそれ以上何も言わなかった。
そのまま二人は、
「・・・」
「・・・」
黙って見つめ合った。
そして・・・・・・
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page 92 『電信柱』 お・す・ま・ひ
(ガッ、チャーーーーーン!! ドタッ!!)
「イッ、テー!!」
男が大声を上げた。
チャリで電信柱にぶつかり、地面にズッコケたのだ。
それは曲がり角での出来事だった。
男がチャリで角を曲がった瞬間、反対側を歩いて来た女と出会いがしらにぶつかりそうになったのだ。
男は高校のサッカー部員でゴールキーパー。
生まれ付き反射神経が良かった。
そのため反射的に急ハンドルを切り、間一髪セーフ。
だが、
ハンドルを切った先にあった電柱に運悪く激突。
幸い、角を曲がるため予(あらかじ)め減速していたので受けた衝撃はそれ程でもなかったが。
しかし、
それでもやはり電柱にモロにぶち当たってズッコケた以上、痛くない訳はない。
それで叫び声を上げたという訳だ。
そこへ女が駆け寄って来た。
「だ、大丈夫ですか?」
女が心配そうに声を掛けた。
女は女で状況から見て、若干の責任を感じていたのだろう。
「ダイジョブです」
そう言って男が立ち上がり自転車を起こした。
そこで初めて、
(チラッ!!)
女の顔を見た。
『ハッ!?』
女は素晴らしい美人だった。
しかも同じ高校の制服を着ていた。
男は思わず、
「き、綺麗!?」
そう口走った。
「・・・」
女は黙っていた。
「・・・」
男もそれ以上何も言わなかった。
そのまま二人は、
「・・・」
「・・・」
黙って見つめ合った。
そして・・・・・・
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page 92 『電信柱』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 91 『クリスマスメール』
2017-01-25
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 91 『クリスマスメール』」
女は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・メールを書いていた。
クリスマスメールを。
それもクリスマスの次の日にクリスマスメールを。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・来年の。。。
『だって来年もまだこの恋、続いていて欲しいもの・・・』
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page 91 『クリスマスメール』 お・す・ま・ひ
女は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・メールを書いていた。
クリスマスメールを。
それもクリスマスの次の日にクリスマスメールを。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・来年の。。。
『だって来年もまだこの恋、続いていて欲しいもの・・・』
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page 91 『クリスマスメール』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 90 『三度目のプロポーズ』
2017-01-25
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 90 『三度目のプロポーズ』」
君への三度目のプロポーズ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それはどこで?
一度目は・・・子供の頃、公園の林の中にあった二人だけの秘密の隠れ家。
二度目は・・・僕が社会人デビューして初めてのボーナス支給日。
そして三度目は・・・
そぅ、三度目は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・天国で。。。
「待っててくれるね、僕が行くまで・・・」
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page 90 『三度目のプロポーズ』 お・す・ま・ひ
君への三度目のプロポーズ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それはどこで?
一度目は・・・子供の頃、公園の林の中にあった二人だけの秘密の隠れ家。
二度目は・・・僕が社会人デビューして初めてのボーナス支給日。
そして三度目は・・・
そぅ、三度目は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・天国で。。。
「待っててくれるね、僕が行くまで・・・」
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page 90 『三度目のプロポーズ』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 89 『ジェットコースター』
2017-01-25
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 89 『ジェットコースター』」
男と女。
二人は高校の同級生。
そしてその日は日曜日。
東京は練馬区にある遊園地、 “年増園(としま・えん)” でデート中。
それも初デート。
その日の〆(しめ)はジェットコースター。
それを十分堪能して戻って来た。
男が言った。
「いや~。 スゲかったなぁ、今のジョット」
「うん。 アタシまだドキドキだよ」
そう言って、女がさり気なく自分の左腕を男の右腕に絡(から)めて来た。
男の心臓もドキドキだった。
でもそのドキドキはジェットコースターの所為(せい)ではなかった。
男の右上腕部が女の左乳に・・・・・・ジャスト・オン。。。
ドキドキドキ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青春物語 ― 完 ―
メデタシメデタシ。。。
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page 89 『ジェットコースター』 お・す・ま・ひ
男と女。
二人は高校の同級生。
そしてその日は日曜日。
東京は練馬区にある遊園地、 “年増園(としま・えん)” でデート中。
それも初デート。
その日の〆(しめ)はジェットコースター。
それを十分堪能して戻って来た。
男が言った。
「いや~。 スゲかったなぁ、今のジョット」
「うん。 アタシまだドキドキだよ」
そう言って、女がさり気なく自分の左腕を男の右腕に絡(から)めて来た。
男の心臓もドキドキだった。
でもそのドキドキはジェットコースターの所為(せい)ではなかった。
男の右上腕部が女の左乳に・・・・・・ジャスト・オン。。。
ドキドキドキ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青春物語 ― 完 ―
メデタシメデタシ。。。
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page 89 『ジェットコースター』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 87 『ウンザリ』
2017-01-25
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 87 『ウンザリ』」
女は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウンザリしていた。
恋人を紹介する度に、
「ねぇ、彼のどこが良かったの?」
後で必ずそう聞かれるからだ。
確かに女の恋人は、超絶美人と言われる女と比べると不釣り合いなほどダサかった。
デブで鈍臭(どん・くさ)く血の巡りもお世辞にもいいとは言えず、唯一、性格の良さだけが取り柄だった。
でも女にとってその男は、切っても切れそうにない腐れ縁で結ばれていたのだ。
それは、
通勤途中の電車の中で足を踏まれたのが初めての出会い。
次に、
会社帰りに寄った渋谷のデパートでお互い振り向きざまに偶然ぶつかったのが二度目。
更に、
女が自立のため引っ越した先の隣にこの男が住んでいたのが三度目。
もうね。
ここで女は万歳しちゃった訳よ。
このさぁ、ドラマにしたら絶対にチンポ 否 陳腐(ちんぷ)な作品になってしまうであろう奇妙な偶然に。
だって、女って弱いじゃん。
“運命” って言葉にさ。
そして男の方はそれ以上に・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弱かった。。。
・
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page 87 『ウンザリ』 お・す・ま・ひ
女は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウンザリしていた。
恋人を紹介する度に、
「ねぇ、彼のどこが良かったの?」
後で必ずそう聞かれるからだ。
確かに女の恋人は、超絶美人と言われる女と比べると不釣り合いなほどダサかった。
デブで鈍臭(どん・くさ)く血の巡りもお世辞にもいいとは言えず、唯一、性格の良さだけが取り柄だった。
でも女にとってその男は、切っても切れそうにない腐れ縁で結ばれていたのだ。
それは、
通勤途中の電車の中で足を踏まれたのが初めての出会い。
次に、
会社帰りに寄った渋谷のデパートでお互い振り向きざまに偶然ぶつかったのが二度目。
更に、
女が自立のため引っ越した先の隣にこの男が住んでいたのが三度目。
もうね。
ここで女は万歳しちゃった訳よ。
このさぁ、ドラマにしたら絶対にチンポ 否 陳腐(ちんぷ)な作品になってしまうであろう奇妙な偶然に。
だって、女って弱いじゃん。
“運命” って言葉にさ。
そして男の方はそれ以上に・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弱かった。。。
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page 87 『ウンザリ』 お・す・ま・ひ
セピア色した白い本/page 86 『階段』
2017-01-24
ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 86 『階段』」
男は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・身長168cm。
女は178cm。
だから階段はいつも男が先に上った。
上り切った時、周りに誰もいなかった。
それを確認して、
(クルッ!!)
不意に男が振り返り、女のおでこに、
(チュッ!!)
軽~くキスをした。
「ウフッ」
女が嬉しそうに笑った。
勿論・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一段下で。。。
・
・
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page 86 『階段』 お・す・ま・ひ
男は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・身長168cm。
女は178cm。
だから階段はいつも男が先に上った。
上り切った時、周りに誰もいなかった。
それを確認して、
(クルッ!!)
不意に男が振り返り、女のおでこに、
(チュッ!!)
軽~くキスをした。
「ウフッ」
女が嬉しそうに笑った。
勿論・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一段下で。。。
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page 86 『階段』 お・す・ま・ひ