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「セピア色した白い本/page 103 『遺書』」

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 103 『遺書』」





それは・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女の25才の誕生日の事だった。

そして・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女は泣いていた。

大切なあの人からの遺書を読みながら。
その遺書にはこう書かれてあった。

『やっとの思いでライバルたちを蹴落としてオマエをゲットしたのに、ソイツらよっか俺の人生は短かったんだよな。 でも、その誰よりも俺の人生はずっとずっと充実していたし、ずっとずっと幸せだったんだ。 それは・・・。 それは、オマエと一緒に過ごせたから。 た~ったの1年半だったヶど。 でも、俺の人生はずっとずっと充実していたし、ずっとずっと幸せだった、ソイツらよっか。  否、世界中の誰よっか』

女はここまでは我慢が出来た。
だが、この次で・・・。

『だからもう俺の事は忘れて、そして・・・。 チョッと悔しいヶど、他の誰かと幸せになってくれ。 ・・・。 ゴメン。 悔しくなんかない。 それを願ってる、心から。 じゃぁな、麻美。 サヨナラ』

これを読んで女が叫んだ。

「『サヨナラ』じゃないよ健ちゃん! サヨナラじゃー!!」

そして、

『ハッ!?』

女の目が覚めた。
それから、

「ゆ、夢!? 夢か~。 ハァ~」

そう呟きながら身を起こした。
そして涙を拭きながら、横でスヤスヤ眠っている赤ちゃんの顔を覗き込んだ。
生まれて間もない赤ちゃんの顔を。
大切なあの人にそっくりな。

大切なあの人の・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・忘れ形見の。。。











page 103 『遺書』お・す・ま・ひ


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「セピア色した白い本/page 102 『遺影』」

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 102 『遺影』」





女が呟いた・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・死んだ恋人の遺影に向かって。

「健ちゃん、いっつも笑ってるね。 アタシは泣いてるのに・・・」











page 102 『遺影』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 101 『波長』





ントー・・・

前回までのは五年ぐらい前に書いたヤツ

で!?

こっから先は

つい最近書いた分

つーこって

コレ ・↓・



ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 101 『波長』」





男は感じていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ある女と波長が合うのを。

会う度に二言三言(ふたこと・みこと)、挨拶程度の言葉を交わすぐらいの付き合いだったが、それでもナゼか男は波長が合うと確信していた。
その女は近所の22才のOLで、男はそのダブルスコアの44才。
しかも独身。
だから男は年齢的負い目もあり、又、その女の両親とも自治会などのイベントで比較的親しい交流もあったりしていたので、その女をどうこうしようという気は全くなかった。

そんなある日。

自治会主催のイベント(その日は草取り)に珍しくその女が出て来た。
いつもは母親・・たま~に父親・・が出て来ていたのだが、その日はナゼかその女だった。
男が他の自治会員たちとは少し離れた場所で一人、木の枝を切っていた時、ふと見ると、その足元近くで女も一人で草を取っていた。
その姿がとても愛らしかったので、男が何とはなしに声を掛けた。

「やぁ! 久しぶり!!元気!?」

草取りの手を休め、顔を上げて女が答えた。

「はい。元気です」

「今日(きょう)はお母さんじゃなかったんだ?」

「はい。母は外(はず)せない予定があって・・・。代わりに私が・・・」

「フ~ン。そう~。でも、いっつも君だと嬉しいっかな~」

男の何気ないこのチョッとお道化(どけ)た、しかし本音の一言に、女が、

「クスッ」

っとではなく、

「ウフッ」

っと笑った。
その笑顔を見た瞬間、男の胸に強烈な愛(いと)おしさがこみ上げ、思わずこんな言葉が口から飛び出した。

「キスしていっ?」

「え!?」

突然の男のこの信じられない言葉に・・もっとも、言った男本人はもっと信じられなかったのだが・・気が動転して両目をまん丸く、

「カッ!!」

と見開き、一瞬、ビックリタヌキ状態でその場に固まる女。
暫(しば)し瞬(まばた)き一つせずに、否、出来ずに男の目を覗き込んだ。
男は男で、どうしていいか分からずやはりその場で固まっていた。
そのまま永遠に感じられる数秒が経過した。
やがて気を取り直した女がユックリと視線を地面に移し、一言こう言った。

「いいよ」

「!?」

そぅ。

女もまた感じていたのだ。
その男と波長が合うのを。

だから・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男のそばにいたかったのだ。











page 101 『波長』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 100 『ブロック』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 100 『ブロック』」





「麻美さぁ、何で健ちゃん選んだの? 秋山先輩の方がずっとカッコいいのに」

そう言いながら麻美と呼ばれた女に、その女のクラスメイトが、今、高校野球の対抗試合でキャッチャーをやっている健ちゃんと、ピッチャーの秋山先輩を順に指差した。

「うん。 健ちゃんだってカッコいいよ」

「そっかなぁ?」

「うん。 確かにさ。 見た振りじゃ、秋山先輩には勝てないヶど・・・」

「でしょ。 だったら何で秋山先輩振って健ちゃんな訳?」

その時、

(カキーン!!)

相手バッターがセンターフライを打ち上げた。
状況は、1点リードで九回裏、ワンナウト三塁。
犠牲フライには微妙な深さだった。
だが、
三塁ランナーは躊躇(ちゅうちょ)なくタッチアップし、ホームバース目掛けて猛然と突っ込んで来た。
そこへセンターからの好返球。
キャッチャーがホームベースをがっちりブロックし、回り込んでくるランナーを体で止めてタッチ。
観衆が固唾を飲んで見守る中、

「アウト!!」

主審が大声でジャッジし、親指を伸ばした右手を高々と上げた。
その瞬間勝敗が決した。
そして主審の、

「ゲームセット!!」

の声で試合が終了した。
ここで、麻美と呼ばれた女がキャッチャーを指差してクラスメイトの女にこう言った。

「ね!?」

「え!? 何が、ね?」

「うん。 チョッと、ね」

「え!? 何? 『チョッと、ね』 って、意味分かんない?」

「うん。 分かんなくってもいいんだ。 健ちゃんの良さはきっとアタシにしか分かんないから」

「フ~ン。 ま。 いっか。 そうだね。 『蓼(たで)食う虫も好き好き』 っていうしね」

「うん。 そうそう。 健ちゃんはアタシの一ば~ん好きな虫」

「はいはいはい。 ご馳走さま、ご馳走さま、ご馳走さま」

「はいはいはい。 お粗末さま、お粗末さま、お粗末さま」

「アハハハハ」

「アハハハハ」

女は笑った心の底から。
クラスメイトの女も又、同様に。

そして、女は笑いながらこう思っていた。

『だって健ちゃん。 いつだってアタシの事、今みたいに守ってくれるから・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・体張って』











page 100 『ブロック』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 99 『嫉妬』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 99 『嫉妬』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫉妬していた。

ある日二人の間に現れた女の子に男が夢中になってしまったからだった。
自分の見ている目の前で平気でその子を抱(かか)え上げ、抱き締め、挙句の果てにキスまでするのだ。
しかし女は嫉妬していたとはいえ、それほど傷付いている様子はなかった。

否、

寧ろ微笑ましそうに笑ってさえいた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・可愛い我が子と愛する夫の戯(たわむ)れる姿を見て。











page 99 『嫉妬』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 98 『犬の散歩 ②』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 98 『犬の散歩 ②』」





その日は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・雨だった。

それも、土砂降りというほどではなかったが結構な雨だった。
それでも女は傘を差し、嫌がるペットの犬を無理やり散歩に連れ出した。
行った先は毎日行く公園。
しかも、いつもと同じ時間に同じ場所。

しかし女以外、誰もいなかった。

当然だ。
その日は結構な雨だったんだから。
でも、女は全くためらう事無くそこへ行った。

それは、

毎日、同じ時間、同じ公園の同じ場所にやって来る憧れのあの人が、もしかしたら今日も来てくれるかも知れないから。


すると・・・











page 98 『犬の散歩 ②』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 97 『犬の散歩 ①』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 97 『犬の散歩 ①』」





男は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それほど犬好きという訳ではなかった。

それでもペットの犬の散歩は欠かさなかった。
毎日。
同じ時間、同じ公園の同じ場所に向かった。

そしてその日は、土砂降りというほどではなかったが結構な雨だった。

それでも男は傘を差し、嫌がるペットを無理やり引っ張って公園に向かった。
忠実な犬は仕方なく主人に従った。
公園に着くと直ぐ、男はいつもの場所を目指した。
するとそこに、結構な雨だというのに一匹だけ常連の犬がいた。
その犬は男の犬のお気に入りだったらしく、その犬を見るや男の犬が尻尾を振り振りその犬目掛けてダッシュした。
当然、男もその後を追った。
勿論、出来る限り大急ぎで。

というのもそこには、男が毎日会うのを楽しみにしているその犬の飼い主と思われる女が、傘を差して立っていたから。

それも・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ニッコリほほ笑んで。。。











page 97 『犬の散歩 ①』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 96 『手を握って離さない』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 96 『手を握って離さない』」





男はデート中、いつも女の手を握って離さなかった。
特にデパートの中や、ジュエリーを扱う店や、ブランドショップなどではそれが甚(はなは)だ顕著だった。
女の友達たちはいつもそれを羨(うらや)んだ。

だが、

その友達たちは何も知らない。
男が手を離さない理由(わけ)を。

それは、

離すと直ぐ女が買い物をしたがるからだったのだ。

当然・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・支払いは男もちで。。。











page 96 『手を握って離さない』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 95 『曲がり角』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 95 『曲がり角』」





『あ~ぁ』

男は落胆していた。
そこは最後の曲がり角だった。
そこを曲がると、今一緒に歩いている同級生の女の家に着いてしまうのだ。
男は曲がり角に来る度に、

『今度こそ、今度こそ』

そう思っていた。
しかしその度にチャンスを逃していた。
否。
勇気を出す事が出来ないでいた。

「僕は君が好きだ」

そう告白する・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その勇気を出す事が。。。











page 95 『曲がり角』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 94 『プンプンプン』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 94 『プンプンプン』」





プンプンプン・・・。

女はむくれていた。
外出前のた~ったの1時間のメイクに、男が、

「なげー、なげー、クッソなげ~~~!!」

などとブツクサ文句を言ったからだった。

チックショー!?
何さー!?
魚釣りでは、半日、食いつかなくても辛抱する癖にーーーーー!!!!!

「アタシより、魚の方が大切な訳~~~!? キィーーーーー!!!!!」











page 94 『プンプンプン』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 93 『魚』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 93 『魚』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魚が大の苦手だった。

だがある日を境に食べられるようになった。
決して好きという訳ではないが、嫌いでもなくなった。

というのも、

憧れのあの人が寿司職人で、

「将来、俺・・・。 オマエと一緒に寿司屋をやりたいんだ。 だから俺に付いて来てくれないか?」

が、プロポーズの言葉だったから。











page 93 『魚』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 92 『電信柱』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 92 『電信柱』」





(ガッ、チャーーーーーン!! ドタッ!!)

「イッ、テー!!」

男が大声を上げた。
チャリで電信柱にぶつかり、地面にズッコケたのだ。
それは曲がり角での出来事だった。
男がチャリで角を曲がった瞬間、反対側を歩いて来た女と出会いがしらにぶつかりそうになったのだ。
男は高校のサッカー部員でゴールキーパー。
生まれ付き反射神経が良かった。
そのため反射的に急ハンドルを切り、間一髪セーフ。

だが、

ハンドルを切った先にあった電柱に運悪く激突。
幸い、角を曲がるため予(あらかじ)め減速していたので受けた衝撃はそれ程でもなかったが。

しかし、

それでもやはり電柱にモロにぶち当たってズッコケた以上、痛くない訳はない。
それで叫び声を上げたという訳だ。
そこへ女が駆け寄って来た。

「だ、大丈夫ですか?」

女が心配そうに声を掛けた。
女は女で状況から見て、若干の責任を感じていたのだろう。

「ダイジョブです」

そう言って男が立ち上がり自転車を起こした。
そこで初めて、

(チラッ!!)

女の顔を見た。

『ハッ!?』

女は素晴らしい美人だった。
しかも同じ高校の制服を着ていた。
男は思わず、

「き、綺麗!?」

そう口走った。

「・・・」

女は黙っていた。

「・・・」

男もそれ以上何も言わなかった。
そのまま二人は、

「・・・」

「・・・」

黙って見つめ合った。


そして・・・・・・











page 92 『電信柱』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 91 『クリスマスメール』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 91 『クリスマスメール』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・メールを書いていた。

クリスマスメールを。
それもクリスマスの次の日にクリスマスメールを。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・来年の。。。

『だって来年もまだこの恋、続いていて欲しいもの・・・』











page 91 『クリスマスメール』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 90 『三度目のプロポーズ』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 90 『三度目のプロポーズ』」





君への三度目のプロポーズ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それはどこで?

一度目は・・・子供の頃、公園の林の中にあった二人だけの秘密の隠れ家。

二度目は・・・僕が社会人デビューして初めてのボーナス支給日。

そして三度目は・・・

そぅ、三度目は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・天国で。。。

「待っててくれるね、僕が行くまで・・・」











page 90 『三度目のプロポーズ』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 89 『ジェットコースター』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 89 『ジェットコースター』」





男と女。
二人は高校の同級生。
そしてその日は日曜日。
東京は練馬区にある遊園地、 “年増園(としま・えん)” でデート中。
それも初デート。
その日の〆(しめ)はジェットコースター。
それを十分堪能して戻って来た。
男が言った。

「いや~。 スゲかったなぁ、今のジョット」

「うん。 アタシまだドキドキだよ」

そう言って、女がさり気なく自分の左腕を男の右腕に絡(から)めて来た。
男の心臓もドキドキだった。
でもそのドキドキはジェットコースターの所為(せい)ではなかった。

男の右上腕部が女の左乳に・・・・・・ジャスト・オン。。。

ドキドキドキ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青春物語 ― 完 ―




メデタシメデタシ。。。











page 89 『ジェットコースター』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 87 『ウンザリ』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 87 『ウンザリ』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウンザリしていた。

恋人を紹介する度に、

「ねぇ、彼のどこが良かったの?」

後で必ずそう聞かれるからだ。
確かに女の恋人は、超絶美人と言われる女と比べると不釣り合いなほどダサかった。
デブで鈍臭(どん・くさ)く血の巡りもお世辞にもいいとは言えず、唯一、性格の良さだけが取り柄だった。
でも女にとってその男は、切っても切れそうにない腐れ縁で結ばれていたのだ。

それは、

通勤途中の電車の中で足を踏まれたのが初めての出会い。

次に、

会社帰りに寄った渋谷のデパートでお互い振り向きざまに偶然ぶつかったのが二度目。

更に、

女が自立のため引っ越した先の隣にこの男が住んでいたのが三度目。

もうね。
ここで女は万歳しちゃった訳よ。
このさぁ、ドラマにしたら絶対にチンポ 否 陳腐(ちんぷ)な作品になってしまうであろう奇妙な偶然に。
だって、女って弱いじゃん。
“運命” って言葉にさ。

そして男の方はそれ以上に・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弱かった。。。











page 87 『ウンザリ』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 86 『階段』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 86 『階段』」





男は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・身長168cm。

女は178cm。

だから階段はいつも男が先に上った。
上り切った時、周りに誰もいなかった。
それを確認して、

(クルッ!!)

不意に男が振り返り、女のおでこに、

(チュッ!!)

軽~くキスをした。

「ウフッ」

女が嬉しそうに笑った。

勿論・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一段下で。。。











page 86 『階段』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 85 『ショック』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 85 『ショック』」





男は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・強烈にショックを受けていた。

それはデート中の事だった。
彼女と道を手を繋いで歩いていると、前方から見た事のある男が自転車に乗ってやって来た。
二人は殆(ほとん)ど同時にその男の顔を見た。
それはその昔、彼女の叶わぬ恋の相手だった。

瞬間、

彼女がそれまで繋いでいた手を・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・離した。

それに強烈にショックを・・・











page 85 『ショック』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 84 『チョッとパーマ』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 84 『チョッとパーマ』」




『ウ~ン!? 何よ、コイツー!? 早く気付けよー!!』

女は少し焦(じ)れていた。
それまでのナチュラルのセミロングにその日はチョッとパーマを掛けてみた。
しかし、恋人のくせに男がそれに全く気付かないのだ。
いくら女がさり気なく髪をかき上げたり、時々、右手や左手の親指と人差し指で髪先をワザとカールしてみたりと盛んにアピールしてもだ。
女は思っていた。

『コ、コイツったら~。 今まで、アタシのどこ見てたんだよー!! ったく~』

そんなこんなでその日のデートのノリは今一だった。
もっともそれは女だけで、男はいつもとそれほど変わらなかったのだが。
まぁ、男と女。
付き合い始めて既に3年。
デートもそろそろ惰性になっていた事もあり、女が少々焦れていようがいまいが男には特にどうという事もなかったのだ。
そして一通りの事をしてから、男が女を女の家の近くまで送って来た。
辺りに誰もいないのを見計らって、別れのキスをした。

「じゃ、な」

「うん。 じゃぁ、ね」

二人は手を振って別れた。
小走りに女が家に向かった。
その後ろ姿に男が呼び掛けた。

「オ~ィ!! 麻美ー!!」

その声に反応し、女がピタッと立ち止りクルッと振り返った。
男と女の目が合った。
その瞬間、男が叫んだ。

「その髪型、スッゲー似合ってんぞー!! 気付いてねぇと思ってただろー!! バ~カー!! アハハハハ」

「うるさーい!! バカはお前だー!! 今頃言うなー!! アハハハハ」

「アハハハハ。 じゃ~なー、麻美ー!! アハハハハ」

「アハハハハ。 うん。 じゃぁねー、健ちゃん!! アハハハハ」

ハッピーな二人は楽しそうに笑いながら、互いに手を振り合って別れたのでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チャンチャン。。。





メデタシメデタシ。。。











page 84 『チョッとパーマ』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 83 『メガネ』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 83 『メガネ』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大柄な女子高生だった。

だから教室での席はいつも一番後ろだった。
しかし新学期を迎え、急に視力が落ちたと言ってメガネを掛けるようになった。
それと同時に、席も一番前に変えてもらった。
お蔭で黒板の文字が良く見えるようになったと喜んでいた。
勿論、新任の若くてハンサムな憧れのあの先生の顔も。

だが、

女以外は誰も知らない。

メガネのレンズに・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・度が入っていない事は。。。











page 83 『メガネ』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 82 『臨終の床』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 82 『臨終の床』」





男は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・臨終の床に就いていた。

愛する妻である女の左手を右手で握りしめていた。
そして残った全ての力を振り絞り、チョッと上体(じょうたい)を浮かせて女にこう語り掛けた。

「最後の最後まで、君には辛い思いばかりさせて済まない。 本当に済まない」

それがその男の最後の言葉だった。
妻である女は男の右手を両手で握りしめて胸に取り、肩を震わせながら無言で泣いていた。
女は知っていたのだ。

本当は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男が一番辛い思いをしていたという事を。。。











page 82 『臨終の床』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 81 『合格発表』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 81 『合格発表』」





男は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自分の出身大学の職員だった。

そしてその大学の合格発表の日。
合格者番号掲示板を見て一喜一憂している受験生たちの顔を、遠目から見ながら男は思い出していた。

『そう言やぁ、あの時・・・。 掲示板にあった自分の番号よりも嬉しかったのは、 『おめでとう』 そう言ってくれた初対面のアイツの一言だったけ~。 な~んか、懐かしいよな~』

そんな事を思っていると、

(ポン!!)

背後から誰かに肩を叩かれた。

『ん!?』

男が振り返ると、

「え!?」

目の前に妻が立っていた。
思わぬ出来事に一瞬ポカンとしている男に、女がブルーの花柄のシックな色合いの風呂敷に包まれた小箱を差し出した。

「ハィ!? お弁当!! 今朝、忘れて出たでしょ。 だから持って来て上げたのよ」

「わ、わざわざここまで?」

「うん。 わざわざここまで」

「・・・」

「って、ゆうか~。 お義母様(かあさま)のお誕生日のプレゼントの商品券。 デパートに買いに来たついでに寄ったの。 たった2駅違いでしょ。 だー、かー、ら~~~。 それにアタシたちの母校の合格発表の日でもあるし」

「な~んだ、そうかぁ。 チョッと驚いちゃったよ。 でも、良く俺がここにいんの分かったな?」

「うん。 直ぐ分かったよ。 校門入ったら目の前にいたから」

「お!? そうか」

「うん。 でも、やっぱ来て良かった。 懐かしいね、合格発表。 6年前だっけ?」

「あぁ」

「あの時、健ちゃん」

ここで女が掲示板を指差した。

「あっこで、躍り上がって喜んでたもんね。 落っこった子たちの気持ち、全く考えないで」

「し、仕方ねぇじゃん。 ホントに嬉しかったんだから」

「 (クスッ) でも、目の前でさ。 健ちゃん、あんまり喜んでるもんだから、初対面なのに、ついアタシ。 他人事(ひとごと)みたいに 『おめでとう』 って言っちゃったヶど、良く考えたらアタシも受かってたんだよね」

「そう。 『おめでとう』 って、他人事みたいにな」

「アハハハハ。 そうでしたそうでした。 アハハハハ」

女が楽しそうに笑った。
その笑顔を見ながら男はこう思った。

『その笑顔だったんだぜ。 あの時、俺のハートをガッチリつかんだのは・・・』











page 81 『合格発表』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 80 『支度』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 80 『支度』」





(ピィー!!)

病室に電子音が鳴り響いた。
次に、

「2014年12月11日、午後2時27分。 ご臨終です」

と担当医が言った。

担当医と看護婦が緊急ボタンで呼ばれて入室して来た数分後の、それまで波打っていた男の脈の波形が波打つのを止めた瞬間だった。
その男は、担当医と看護婦、それにその場にいた担当医を呼んだその男の妻である女に看取られながら静かに息を引き取った。

男の妻の女は涙ぐんではいたが、気丈にも涙は流してはいなかった。
というのも担当医が入室して来るチョッと前。
男にまだ意識があった時。
男が女の目をジッと見つめ、弱々しい声でそっと囁いていたのだ。
こんな事を。

「僕は君より先に死ぬんじゃないんだ。 支度をするために君より先に行くんだけなんだ」

「え!? 支度!?」

「あぁ、そうさ。 支度さ」

「何の?」

「今度こそ、君に貧乏な思いをさせないための・・・さ」

『!?』

男の最後の告白に、もう女の口から殆(ほとん)ど言葉は出なくなった。
そんな女に男が続けた。

「だから出来るだけユックリ来てほしいんだ。 時間が必要だからね。 そのためには」

「・・・」

「だから悲しまないでくれるね?」

「・・・」

「そして最後に一つ約束して欲しい事があるんだ」

「約束?」

「あぁ。 僕は君を決して迎えには行かないからね。 君の方から来て欲しいんだ、僕の待ってる所へ」

「・・・」

「だって・・・」

男はここで言葉を切った。
しかし女の目は見つめたままだった。
それから喉の奥から声を絞り出した。

「その方が次も又、僕の方からプロポーズしやすいだろ。 だ・・か・・ら・・さ。 約束してくれるね」

そう言いながら男は残った最後の力を振り絞り、弱々しく立てた右手小指を震わせながらユックリと女に向けて伸ばした。
女はその男の右手を支えるために左手で軽くつかみ、男の小指に自分の右手の小指を絡(から)めて指切りをした。
そして、

「うん」

男の目を見つめたまま軽く頷いた。

「うん」

男も満足気に女と同じように、しかし殆(ほとん)ど声を出さずに頷いていた。
それが二人の最後の会話だった。
もうこの二人に言葉は必要なかった。
ただ見つめ合うだけで心が通じていた。
やがて、女にジッと見つめられながら男の目から光が消え、そのまま意識を失った。

そして・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二度と戻る事はなかった。

時に、
男、享年72歳。
女、70歳。
の時の出来事だった。











page 80 『支度』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 79 『逃げ道』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 79 『逃げ道』」





「ダメだよ、健ちゃん!? ズルいよ」

女がチョッと膨(ふく)れて男にそう言った。

「え!? 何が?」

意味が分からず男が聞き返した。

「ケンちゃんの今の告白。 そんな言い方ズルいよ」

「・・・」

「『オレ、麻美の事、好きかもしれない』 なんて、そんな言い方」

「・・・」

「ダメだよ、健ちゃん!! 逃げ道作っちゃ。 だからやり直し!!」

「・・・」

「・・・」

 ・・・

「ゴメン、麻美。 やり直す」

「うん。 やり直せ!!」

「あぁ」

ここで男が、

「スゥ~。 フゥ~」

一度大きく深呼吸をして、気持ちを整えた。
それから女の目をジッと見つめて辺り構わず大声で叫んだ。

「アダダが好きで~す!! アダダの事が大好きで~~~す!!  いつまでも変わらないでー!! 死ぬほど好きダダダーーー!!」

瞬間、

「プッ!?」

女が吹いた。
そして笑った。

「アハハハハ、アハハハハ、アハハハハ、・・・。 もぅー、健ちゃんたら~。 ムードぶち壊し~。 アハハハハ、アハハハハ、アハハハハ、・・・」

女は笑った。
心の底から、屈託なく。
嬉しそうに、いつまでも。
だってどんな告白の仕方だろうと、大好きな人から “好き” って言われればやっぱり嬉しい。

だから女は、

「アハハハハ、アハハハハ、アハハハハ、・・・」

心の底から笑っていた。
そしてその日から二人の物語が始まったのだった。
いつまでも変わる事のない、二人の愛の物語が。

その時、

「ママー!! どしたの~? 考え込んじゃってー!?」

女の背後から娘の呼び掛ける声がした。
その声で、

『ハッ!?』

女は我に返った。
そんな女に娘が続けた。

「パパ待ってるよー!! 早くお墓参り行こー!!」

そぅ。
その日は一年前に死んだ娘の父親の命日だったのだ。
そして今、その死んだ娘の父親との思い出を胸に馳(は)せ、

「アハハハハ、アハハハハ、アハハハハ、・・・」

あの時の自分のあの笑い声が女の心の中に響いていた。
全く変わる事なく、生き生きと。
全く色あせる事なく、全てあの時のままに。

でも、一つだけ。
そう、一つだけ。

もう健ちゃんは・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いない。。。











page 79 『逃げ道』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 78 『お釣り ②』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 78 『お釣り ②』」





男は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リーマンだった。

そして毎晩、会社帰りに近所のコンビニに寄るのが常だった。
それは土日祝日も変わらなかった。
というか、土日祝日は自分の家から出掛けて行った。
そして千円札を出し、その日一押しのコンビニ弁当とコーヒーを買うのだ。
それは、一見してアルバイトと分かる女子大生風の店員からお釣りをもらいたかったからだった。
その店員は決まっていつも両手でお釣りを返してくれる。
それがとても心地良かった。
その女子大生風の店員は背の低いぽっちゃりタイプで、チャーミング。
笑顔の可愛い、愛くるしい女の子だった。
男が千円札を出すと、ニッコリほほ笑んで、

「お釣りです」

そう言いながら男の右手の甲を自分の左手で下から軽く支え、右手でお釣りをつまんで手渡してくれるのだ。
男はその瞬間が大好きだった。
胸がときめいた。
そぅ。
男も又、その女に恋していたのだ。
だから毎晩、決まって9時過ぎにそのコンビニに行くのだった。

勇気を以って女のその週の休みが何曜日かを聞き出せる・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その日まで。。。











page 78 『お釣り ②』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 77 『お釣り ①』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 77 『お釣り ①』」





女は女子大生で・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・コンビニでアルバイトをしていた。

そして午後9時を過ぎるといつもそわそわする。
というのも午後9時過ぎに毎日決まってやって来る客がいるからだ。
年齢27、8才ぐらいでリーマン風。
背がスラリと高く、整った顔立ちでいつもパリッとスーツを着こなし、出来るオーラ全開の男の客が。
そのリーマン風の男は決まっていつも千円札を出し、その日一押しのコンビニ弁当とコーヒーを買って帰る。
当然、女はお釣りを渡す。

こうやって・・・

“上に向けられた男の手のひらを自分の左手で下から軽く支え、つまんだ右手でその手のひらの真ん中にお釣りを置く”

すると男は一言、男にしては少し高めの癖のない上品な声で、

「ありがとう」

そう言って帰って行く。
その瞬間、女の胸はいつもときめいた。
そぅ。
女はその男に恋をしているのだ。
それはお釣りの渡し方を見ればハッキリと分かる。

“上に向けられた男の手のひらを自分の左手で下から軽く支え、つまんだ右手でその手のひらの真ん中にお釣りを置く”

というそのお釣りの渡し方で。
だってそうじゃん。
その女は他の誰にもそんな真似は一度もした事がないんだから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・両手でお釣りを渡すような真似は。。。











page 77 『お釣り ①』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 76 『話し上手』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 76 『話し上手』」





男は不安だった・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彼女が話し上手な事が。

心配だったのだ、女が知り合う男知り合う男の心をいとも簡単につかんでしまうのが。
それもそのはず、話し上手な彼女はいつも皆(みんな)の人気者。
その上、スラリと細身でキュートな顔立ち、オマケに笑顔はチャーミング。
どこがどうとは上手く言えないが、実に上手に言葉を返す。
だからこの女なら、チョッとぐらい揚げ足を取られても誰も不快に感じない。
きっと、明るく爽やかな声と笑顔で言葉を返すからだろうと思われる。
そんな女はいつも皆(みんな)の人気者。
だから男は不安だった。

しかし、

いずれ男は気付くだろう、その女のいい意味での正体を。
チョッと観察すれば誰にでも分かるその女のいい意味での正体を。
ナゼ女は、揚げ足を取ってもさほど不快感を与えないのだろうか?

それは、

確かにその女は話し上手だった。
それを否定はしない。

だが、

それ以上にその女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞き上手だったのだ。。。











page 76 『話し上手』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 75 『旅行』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 74 『旅行』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・旅行が好きだった。

退屈しのぎには絶好だからだ。
国内・国外、短期・長期を問わず、女は旅行が大好きだった。
国内なら温泉や食べ歩き。
国外なら世界遺産やショッピング。
女は兎に角、暇と金さえあれば旅行に行った。

だって、

寂(さみ)しいじゃん。
休みの間は片思いのあの素敵な先輩に会えないんだから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どんなに会いたくても。。。











page 75 『旅行』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 74 『?』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 74 『?』」





“?”

のメールの返事は、

“!+?”

だった。

次の日。

挽取 勇吾(びくとる・ゆうご)著

『あゝ、無精(ぶしょう)』

の増刷が決まった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後、どのくらい売れるんだろうか?




【注】世界一短い手紙・・・ビクトル・ユーゴ―と出版社のやり取りよりアイデア拝借。。。











page 74 『?』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 73 『いつか』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 73 『いつか』」





いつか気付いて欲しい・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ワタシのこの思い。

愛するアナタに。



いつか知って欲しい・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ワタシのこの気持ち。

愛(いと)しいアナタに。


いつか分かって欲しい・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ワタシのこの愛。

大好きなアナタに。


そぅ。

いつか、いつか、いつか、いつか、いつか、・・・。


でも・・・


うぅん、嫌!?

そんなの嫌!?

すぐ気付いて!?

今すぐ気付いて!?

ワタシのこの思い、この気持ち、この愛!?

だって、

アナタが大大だ~い好きなんだもん。。。




って、

我らが素敵な化け物、あの田島陽子(だじま・ようこ)大明神に真顔で言われたら・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・君たちどうする???




【注】 田島陽子(だじま・ようこ)大明神・・・元どっかの大学教授らしい  頭のオカシイ見たぶり軽~く70オーバーの婚活女  1941年4月6日生まれ





メデタシメデタシ。。。











page 73 『いつか』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 72 『ねぇ!? 覚えてる?』」

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 72 『ねぇ!? 覚えてる?』」





女は言った・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ねぇ!? 覚えてる?」

ここでチョッと間を取った。
それからこう続けた。

「あの日、アナタが勇気をもって私に伝えてくれたアナタの気持ち。 『ア、ア、ア、アダダが好きで~す!? ア、ア、ア、アダダの裸が大好きで~す』 って、 すっごくムリして、真っ赤になって。


つー、まー、りー、・・・


『無理ーーー!! 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』

して、真っ赤になって。 あの言葉、今でもアタシの中で輝いてるんだよ。 ・・・。 だからお願い!? もう一回、もう一回だヶでいいから言って、夢の中ででもいいからもう一回言って。 お願い!! もう一回言って!!」

そう言って女は、

「ワァー!?」

泣き崩れた。

愛する男の・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・棺(ひつぎ)の前で。











page 72 『ねぇ!? 覚えてる?』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 71 『笑顔』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 71 『笑顔』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男の爽やかな笑顔が好きだった。

その男の笑顔は愛くるしく、いつも人目を惹きつけていた。
だから、女はその男の笑顔を見るのが好きだった。

でも、

その笑顔を見る度に女の心は痛んだ。

だって、その笑顔は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの娘のものだから。。。











page 71 『笑顔』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 70 『幸せ街道』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 70 『幸せ街道』」





「人生には・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・地図に載ってない道がある。

そ、れ、は、俺とオマエが歩む道。 ナンチッテ。 テヘへ」

チョッと哲学者っぽく男がそう言って、最後に照れ臭そうに笑った。

「ウフフ」

その笑顔に釣られて女も笑った。
それからこう言った。

「し、あ、わ、せ、か、い、ど、う。 それがアタシたちの歩む道」

「お!? ナイスな切り替えし!?」

「でしょ。 アタシ自身あんだ、この手の会話」

「うん。 分かる」

「見直した?」

「否」

「え!?」

「・・・」

「・・・」

「惚れ直した」

「お!? ナイス!?」

「だろ? 俺、自信あんだぜ、この手の会話」

「うん。 分かる」

「やっぱ俺たちって、超~~~お似合いだよな」

「うん。 アタシたち超~~~お似合い!!」

ここで男が女の目をジッと見つめた。
それから思わせ振りに、閉じたチョキにした右手で自分の右眉の端(はじ)を、くだけた敬礼っぽく軽く弾(はじ)いてこう言った。

「俺のベイビーは、ハッピーかい?」

「うん。 ハッピー!! アタシ、ハッピー!! ベイリー・ハッピー!! ベイリー・ベイリー・ハッピー!!」

「ソイツぁ、ナイスだ!! 最高だ!! アハハハハ」

「うんうんうん!! ナイスナイスナイス!! 最高最高最高!! アハハハハ」

「アハハハハ」

「アハハハハ」

  ・・・

「アハハハハ」

「アハハハハ」

  ・・・

青春って・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいなぁ。。。











page 70 『幸せ街道』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 69 『遥(はる)かな心に』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 69 『遥(はる)かな心に』」





届いていますか?

ワタシのこの愛

遥(はる)かなアナタの心に


映りますか?

ワタシのこの笑顔

アナタの瞳に


見つめてくれますか?

愛に輝くワタシの瞳を


アナタが好き、アナタが好き、アナタが好き、・・・


この言葉

千度唱(せんど・とな)えてこの胸に

万度唱(まんど・とな)えてかの胸に


届いていますか?

ワタシのこの愛

遥かなアナタの心に


アナタが好き、アナタが好き、アナタが好き、・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・死ぬほどアナタが好き。。。











page 69 『遥(はる)かな心に』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 68 『幸せ』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 68 『幸せ』」





「必ず君を幸せにするよ」

女の目をジッと見つめ、自信と確信に満ちた態度で男が女にそう言った。
これを聞き、女は嬉しそうにニッコリほほ笑んだ。

でも、

女にしてみれば、そんな言葉は本当はもうどうでも良かった。

だって女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とっくに幸せだったから。。。











page 68 『幸せ』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 67 『天国と地獄』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 67 『天国と地獄』」





男は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・宗教には全く興味がなかった。

天国の存在も信じていなければ地獄など無いとキッパリ切り捨てていた。
だが、
皮肉にもそんな男が恋した相手は敬虔なカトリック信者でスラリとした超美人だった。
そして3年間のラブラブ期間を経て、晴れて二人は結婚した。
勿論、カトリック教会で。

それから10年。

男はタバコを燻(くゆ)らせながら、台所で鼻歌交じりで食器を洗っている、スッカリ体形の変わってしまった女の後姿を何となく眺めていた。
すると女は、そんな男の視線に全く気付かずに一発、

(ブー)

屁をひった。
それを見て、

(フゥ~)

タバコの煙を吐き出しながら男はしみじみとこう思った。

『やっぱり天国と地獄はあった・・・』











page 67 『天国と地獄』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 66 『あるデイトレーダー』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 66 『あるデイトレーダー』」





男は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やり手のデイトレーダーだった。

デイトレーダーと言ってもその日一日の売買のみならず、ショートの取引も行っていた。
そして月に二百万円以上儲けるのは当たり前というほどで、時には五百万円を超える事さえあった。
30才で脱サラし、それまで貯めていた貯金とその時もらった僅かばかりの退職金を元手に倍々と確実に増やして行き、5年後の35才にして今ではJR原宿駅が徒歩圏の超高級マンションを手に入れ、貯金も億を超えていた。
しかも最近付き合い始めたモデルを思わせる超美人の彼女との婚約も決まり、毎日がウハウハ状態だった。
そして、派手好みの彼女のプライドを満たすため、結婚指輪は大奮発して5カラット、3億円の超豪華なダイヤの指輪をサプライズプレゼントしようと決心した。
しかしそうするには、手元にある金だけではとてもとても賄(まかな)いきれなかった。
そのため手っ取り早く儲けるには、それまで株は現物取引のみという自分が作った投資ルールを破り、信用取引した方が早いと踏んだ。
そして数日間株価と業績を慎重にウオッチし、某輸入企業の株を信用買いする事に決めた。
後はいつそれを実行するかだけだった。

すると、3日もしないでそのチャンスが訪れた。

市場が調整に入ったのだ。

そして狙った株価が予め決めておいた額を下回った。
男は即座に大量の信用買いに入った。
すると翌日。
男の狙った通り、その企業の株価が上昇し始めた。
男の読みではもう1日(いちにち)、2日(ふつか)上昇するはずだったが、結果としてその通りなった。
男はたったの3日で数億円を手に入れる事が出来る体勢になった。
後はいつ売るかに掛かっていた。
そして男が信用買いして3日目の後場(ごば)の午後2時を回った所で、男が不意に強烈な便意を催し、トイレに入った直後、急激な円安になった。
日銀の大規模な金融緩和に加え、アメリカが緊縮財政に入るとの噂が東京市場に流れたのだ。
これを受け、円は一時115円台から一気に120円を突破した。
そのため、輸出関連産業の株価が大きく買われ、急上昇したのに対し、輸入関連はこの3日間の上昇分を一気に大きく下回ってしまった。
しかも運の悪い事に男の買った株は最悪で、ストップ安。
トイレから出て来てその事実を知った男は愕然として、無情にもパソコン画面に映し出されている自分が買った株価の下落ぶりに見入っている事しか出来なかった。

そぅ。

男は一瞬にして数億の借金を抱えしまったのだ。
しかも、次の日、又その次と下落が止まらなかった。
そして一向に男が買った金額に戻る気配を見せなかった。
男は経験的に知っていた。
自分が買った時の株価に戻るには、それこそ日経平均が千円以上上昇しなければならない事を。
そしてそれを呑気に待ってはいられない事を。
その結果。
男は手に入れたマンションも貯金もそしてとても美しいフィアンセも、それから輝かしい自分の将来も、全てをホンの数日にして失ってしまったのだった。

その数日後・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・JR山手線原宿駅構内で人身事故を知らせる車内放送があった。











page 66 『あるデイトレーダー』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 65 『最後のメール』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 65 『最後のメール』」





男と女。
女と男。

今、男と女が携帯でメールのやり取りをしている。

こんな感じの・・・

先ず、女が送った。

 -昨日、チャンと会って話したでしょ。 アタシもうアナタとは付き合えないの。

男の返事はこうだった。

 =そんな事言うなよ。 な。 もう一回やり直したいんだ。 俺、オマエと別れたくないんだ。 オマエが好きだから。

それからこう続いた。

 -アナタはそうでも、ワタシは違うの。

 =そんな事言うなよ。 頼むよ、麻美。 な。 考え直してくれよ。

 -それはムリ。


      つー、まー、りー、・・・


『無理ーーー!! 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』

 =そこを何とか。 な。 考え直してくれよ。

 -しつこいよ、健ちゃん。 もうアタシたち、元には戻れないの。 それに丁度今、アタシの降りる駅に着いたから携帯切るゎ。 だからお願い、もう二度とメールしないで。 じゃ、これが最後のメールだからね。 二度としないで。 じゃぁね、健ちゃん。 サヨナラ。

それを最後に女が携帯の電源を切った。

丁度その時、

(ガラッ!!)

電車のドアが開いた。
乗客たちが次々に降りて行く。
女が最後だった。
降りようとして前を見た瞬間。
女がその場で凍てついた。
ナゼか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男が乗ろうとして待っていたのだ。

同時に、

『ハッ!?』

『ハッ!?』

二人は驚いた。
男もまさかその電車に女が乗っているとは夢にも思っていなかったのだ。

そして世界が止まった。
呆然と見つめあう二人。
微動だにしなかった。
否、
出来なかった。

だが、次の瞬間。

(ガラッ!!)

電車のドアが閉まった。

『ハッ!?』

『ハッ!?』

ようやく我に返った二人。

しかし、無情にも既に電車は動き出していた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男の元から女を連れ去るように。。。











page 65 『最後のメール』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 64 『作家志望』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 64 『作家志望』」





男は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・作家志望だった。

自分では、才能豊かだと錯覚していた。(当ブログ管理人みたく・・・トホホ)

ある日。

そんな男の元へ仕事の依頼が舞い込んだ。
それは、その男の管理している小説ブログをたまたま目にした編集者からだった。
その依頼内容は、

“神”、 “帰依”、 “祈り”、 “懺悔”、 “感嘆”、 “自分”、 “女性”、 “疑問”、 “生命”、 “神秘”、 “妊娠”、 “姦淫”、 “時間”、 “推理”、 “迷い”、 “悩み”、 “思考”、 “気持ち”、 “変化”。 “苛立ち”、 “本当”、 “死”、 “願望”、 “自殺”、 ”出産”。

この24のテーマを盛り込んだ小説を書くようにという物だった。
男は歓喜雀躍(かんぎ・じゃくやく)し、即座に書き上げ、速攻、メールで依頼主に原稿を送った。

だが、

残念ながらその男の書いた小説は没にされた。
悲観する男。
ナゼ自分の力作が没になったか分からなかった。
ガックリ項垂(なだ)れ、パソコンのディスプレイをボンヤリ眺めていた。
そこには今送ったばかりの原稿が映し出されていた。

その内容はこうだった。

     ★   ★   ★

 女は祈った。
 懺悔の祈りを。

 「あぁ、神様!! お願いです。 アタシの祈りをお聞き届け下さい。 それが叶うなら、生涯あなた様に帰依いたします。 というのも、それがいつかは分かりませんが、気が付いたらアタシ妊娠してました。 でも、相手が誰だか分かりません。 多分、あの人だとは思ふヶ怒、定かではありません。 あぁ、どうか神様!! 迷えるアタシをお許し下さい。 考え出すと気が変になりそうです。 あぁ、もう!! ホントにもう! 死ねるものなら死にたい!!」

 と。。。


つまり、

最後の ”出産” が・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・抜けていたのだ。。。











page 64 『作家志望』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 63 『絵空事』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 63 『絵空事』」





『アナタが好き』

なんて言葉は絵空事。

でも、

それを憧れのあの人の写真の前で言ってみた。

「アナタが好き」

・・・。

もう一度言ってみた。

「アナタが好き」

・・・。

更にもう一度。

「アナタが好き」

・・・。

ウ~ム。

やっぱり絵空事。

だって、

あの人にはもう・・・











page 63 『絵空事』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 62 『探し物は何ですか?』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 62 『探し物は何ですか?』」





「ウ~ン。 ここにもねぇなぁ」

男が目を皿のようにしてあちらを覗き込んだり、こちらを引っくり返したりして真剣に何かを探していた。
カバンの中、机の中、本棚の本の間、テレビ台の上、ソファーの下、果(は)ては仏壇の小さな引出しの中まで真剣に 「ないない」 言いながら探していた。
見かねて女が聞いた。

「何さがしてんの?」

「メガネ」

「掛けてんじゃん」

「え!?」



 ♪

  探し物は何ですか?

  見つけにくい物ですか?

   ・・・

   ・・・

   ・・・

  Woo woo woo ~~~

   ・・・

   ・・・

   ・・・

 ♪











page 62 『探し物は何ですか?』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 60 『白鳥麗子でございます。 ②』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 60 『白鳥麗子でございます。 ②』」





白鳥麗子でございます。

アタシったら~

生まれついてのお金持ち。
大地主の一人娘ざ~ますので。

だーから~、

欲しい物は何でも手に入る。
ブランド物の衣類だって、バッグだって、シューズだって、ウォッチだって、何だって。

そーれに~、

齷齪(あくせく)働く必要なんてない。
毎日毎日、高級車を乗り回し、ディナーは決まって三ツ星レストラン。
高級ワインを味わいながらフレンチにイタリアン。
電車やバスなど生まれてこの方乗った事なし。

アタシったら~

生まれついてのお嬢様。

だーから~、

欲しい物は何でも手に入る。
ブランド物の衣類だって、バッグだって、シューズだって、ウォッチだって、何だって。

でも~、

アナタのハートだけは・・・どうしても。。。

何で???

美魔女なのに・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60過ぎの。

それも・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・×(バツ)10の。

おっかしいな~???











page 60 『白鳥麗子でございます。 ②』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 60 『白鳥麗子でございます。 ①』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 60 『白鳥麗子でございます。 ①』」





白鳥麗子でございます。

アタシったら~

生まれついてのお金持ち。
大地主の一人娘ざ~ますので。

だーから~、

欲しい物は何でも手に入る。
ブランド物の衣類だって、バッグだって、シューズだって、ウォッチだって、何だって。

そーれに~、

齷齪(あくせく)働く必要なんてない。
毎日毎日、高級車を乗り回し、ディナーは決まって三ツ星レストラン。
高級ワインを味わいながらフレンチにイタリアン。
電車やバスなど生まれてこの方乗った事なし。

アタシったら~

生まれついてのお嬢様。

だーから~、

欲しい物は何でも手に入る。
ブランド物の衣類だって、バッグだって、シューズだって、ウォッチだって、何だって。

でも~、

アナタのハートだけは・・・どうしても。。。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何で???











page 60 『白鳥麗子でございます。 ①』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 59 『睡眠不足』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 59 『睡眠不足』」





男はこの頃、睡眠不足気味だった。

どんなに疲れていても眠れないのだ。
というのも、今、男は幸せの絶頂にいるからだった。
最近、恋人が出来たのだ。
それも超が付くほど可愛い恋人が。
そのため、眠ろうとして目を瞑(つむ)ると必ずその娘の笑顔が浮かんで来て、その可愛い笑顔に眠りが邪魔されてしまうのだ。

だから、

男はこの頃、仕事中に居眠りをしてしまう。
それもこんな事を言われる日も近いと思われるほど頻繁に。

“ You are fired! ” (オマエはクビだ!!)

そぅ。

今、その男は幸せの絶頂にいる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今は。。。











page 59 『睡眠不足』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 58 『ロング・マフラー』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 58 『ロング・マフラー』」





「ねぇ、健ちゃん。 チョッと付き合って」

女が男にそう言った。

「何だよ、麻美!? 改まって・・・」

男が女にそう聞き返した。

「うん。 好きな人にあげるプレゼント、一緒に選んで欲しいんだ」

『え!? 好きな人!?』

男は驚いた。
実はその男はその女が好きだったのだ。

男と女。

同(おな)い年で幼馴染(おさな・なじみ)の同(おんな)じ大学の大学生同士。
子供の頃からズ~ッと一緒に遊んで来た大の仲良し。
お医者さんごっこをした事さえある仲だった。
だから女の口から好きな人という言葉を聞いた瞬間、

(ガーーーン!!)

男は後頭部を思いっ切り殴られたような衝撃を受けた。
だが、それを必死に隠して一言、

「あぁ」

そう言って同意した。
もっとも顔は、血の気が完全に失せていたのだが。
しかし、中々いいのが見つからず、結局女が手編みのロング・マフラーをプレゼントする事となった。

後日。

大学からの帰りしな、男が聞いた。

「この間の、あのマフラーどした?」

「うん。 ここに持ってるよ」

「え!? 受け取ってもらえなかったんか?」

「うぅん。 そんな事ないよ。 だって今から渡すんだから」

「え!?」

「・・・」

「・・・」

後には、一本のロング・マフラーを仲良く首に巻いて帰る二人の姿があった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・幼かったあの頃のように。。。











page 58 『ロング・マフラー』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 57 『乙女』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 57 『乙女』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自分で自分が分からなくなっていた。

もうとっくの昔に、三十路(みそじ)の大台に乗っているのに、今、その女は純真な乙女になっている。
そんな自分が分からないし、理解出来なかった。
最近付き合い始めた十(とお)も年下の男の事を考えると、パーフェクトなまでに無垢な乙女になってしまうのだ。
一流大学をトップで卒業し、一流企業でキャリアを積んで来たその女は、それまで結婚など考えた事もなければ、否、寧(むし)ろ結婚を小ばかにしてさえいた。
そんな女が、毎日毎日、来る日も来る日も、明けても暮れても、それはそれは甘い甘~~~いスイートホームを夢見ているのだ。
そんな自分にパニックになり、盛んに、仲の良い友達や親しくしている会社の同僚たちにアドバイスを求めたり、片っ端から恋愛関係の本を読んだり、ネットの恋愛相談コーナーに匿名(とくめい)で相談したりした。

しかし、

どれも自分を納得させてはくれなかった。
そして今もまだ、その女はパニクっているのだ。
仕事が手に着かぬほどに。

まぁ、簡単な事なんだがな。
その答えはさ。

つー、まー、りー、

恋する女は、恋する乙女。
幾つになろうと、どんな地位についていようと関係なし。

恋する女はいつだって夢見る夢子なのさ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから愛する価値がある。。。











page 57 『乙女』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 56 『奥手』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 56 『奥手』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・引っ込み思案だった。

というよりも、赤面対人異性恐怖症といってもいいほどの “奥手” だった。
といった方が正しいか?
他の事なら結構大胆なのだが、事、男に関してはからっきし臆病だった。

だが、

ある男の出現でその女は一変した。
その出現した男に女は惚れたのだ。
そして驚くべき事に自分から素直にその気持ちを伝えた。
つまり、女はその男に愛の告白をする勇気をもらったという事だ。

しかし、

実はその男もその女に負けず劣らずの “奥手” だった。
そしてその男もその女に勇気をもらっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その女の愛の告白を正直に断る勇気を。。。











page 56 『奥手』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 55 『アニメなら』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 55 『アニメなら』」





(チョン)

女が俯(うつむ)きがちに無言で、ユックリと歩き去ろうとしている男のワイシャツの背中を右手親指、人差し指、中指でつまんだ。

「行っちゃダメ!!」

の代わりだ。
アニメならここで男は立ち止まる。
しかし現実は違った。
男は立ち止まらず、そのまま歩き去って行った。
それも振り返る事なく。
呆然とその場に立ち尽くし、その歩き去って行く男の後ろ姿を見つめる女。
やがて男は女の視界から消えた。

それと同時に・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その女の恋も終わった。。。











page 55 『アニメなら』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 54 『 p.s. I love you ・・・ No.2 』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 54 『 p.s. I love you ・・・ No.2 』」





p.s. I love you ・・・


大好きなアナタへ・・・


アナタがテニスの試合に勝った時

アナタが大学受験に合格した時

アナタに何かいい事があった時

その喜びを二倍に。


そして・・・


アナタがテニスの試合に負けた時

アナタが大学受験に失敗した時

アナタに何か悪い事が起こった時

その悲しみを半分に。


それをワタシにさせて下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大好きなアナタと一緒に。。。











page 54 『 p.s. I love you ・・・ No.2 』 お・す・ま・ひ


セピア色した白い本/page 53 『汗』

ショート・ショート・ショート 「セピア色した白い本/page 53 『汗』」





女は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・落ち着かない様子だった。

辺りをキョロキョロ見回していた。
そんな女に男が聞いた。

「なぁ、麻美? さっきから何キョロキョロしてんだ?」

「うん。 チョッとね。 チョッと気になって」

「何がだ?」

「うぅん。 別に大した事じゃないんだ」

そう答えて女はキョロキョロ辺りを見回すのを止めた。
でも、本音を言えばやはり周りが気になっていた。
実を言うと、女は自分たちが奇異(きい)な目で見られているんじゃないかと心配だったのだ。
というのも、ホンの昨日まで女は街中で手を繋いで歩いているカップルを見ては、

『良くあんな事出来るなぁ? 手に汗掻(か)かないのかなぁ? 掻いてたら気持ち悪いのに』

そんな事を思っていたからだった。

そして今、その女は男と手を繋いで歩いていたのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ついさっき、告白されて付き合い始めた男と。。。











page 53 『汗』 お・す・ま・ひ


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コマル

Author:コマル
ジョーク大好き お話作んの大好き な!? 銀河系宇宙の外れ、太陽系第三番惑星『地球』 の!? 住人 death 。

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